まんせいようつうしょう

慢性腰痛症

最終更新日:
2021年03月08日
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2021/03/08
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概要

慢性腰痛症(慢性腰痛)とは、3か月以上続く腰痛のことです。腰痛は発症からの期間に応じて、急性腰痛(発症後1か月以内)、亜急性腰痛(1~3か月)、慢性腰痛(3か月以上)に分けられます。

厚生労働省の2019年国民生活基礎調査によると、日本人の自覚症状のうち、腰痛は男性で1位、女性で2位という結果が出ており、男女合わせるともっとも多い症状です。また、生涯で腰痛を経験する人は8割以上にのぼるといわれています。

慢性腰痛の原因には骨や関節などの病気が関わっていることもありますが、生活習慣やストレスなども強く関係しています。そのため、検査をしてもはっきりとした異常が見つからないということが少なくありません。異常が見つかったとしても加齢的な変化だけの場合や、原因と思われる病気の治療を行っても腰痛が治らないこともよくあります。

慢性腰痛の治療は薬物療法とリハビリテーションが中心となりますが、病気以外の原因が大半を占め、複数の原因が混在していることも多々あるため、適切な治療を行うためには痛みの根源となる原因を把握することが重要となります。

原因

慢性腰痛の原因となる主な病気に、腰部椎間板(ようぶついかんばん)ヘルニア、椎間関節症、変形性脊椎症腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)骨粗しょう症などがあります。まれに内臓疾患や腫瘍(しゅよう)によって慢性腰痛が起こる場合もあります。このように検査で原因を特定できる腰痛を特異的腰痛といいます。

反対に、検査を行っても原因が特定できない腰痛を非特異的腰痛といい、腰痛患者さんに比較的多いといわれています。その原因として、家事や仕事などで前かがみになって腰に負担がかかる姿勢をとり続けていることや、痛みやその不安から体を動かさず不自然な姿勢になっていること、神経が過敏になっていることなどが考えられます。また、ストレスや抑うつなどの心理的要因が腰痛の慢性化を招くこともあります。

症状

急性腰痛では腰に激しい痛みが生じ、痛みのために腰を前後に曲げるのが困難になりますが、ほとんど場合1週間以内に痛みが治まります。一方の慢性腰痛は、急性腰痛よりも痛みは弱く、腰全体の鈍痛や重だるさが続くのが特徴です。お尻や足に広がる痛みやしびれを伴うこともあります。

検査・診断

まず問診や身体検査を行い、必要に応じてX線検査やMRI検査などの画像検査で腰痛の原因となる病気があるか調べます。さらに詳しく調べるために、脊髄(せきずい)造影や椎間板造影、筋電図検査などの精密検査を行うこともあります。原因にかかわらず、腰痛が3か月以上続いている場合に慢性腰痛と診断されます。

治療

病気が原因となっている場合、その病気に対する治療が第一です。治療は薬物療法やリハビリテーション、腰部の安静(コルセット)が中心ですが、このような保存的療法で改善が見られないときや日常生活に大きな支障をきたしているときなどではブロック注射や、場合によっては手術を検討します。

非特異的腰痛と考えられる場合は、抗うつ薬や抗てんかん薬、オピオイド鎮痛薬を追加することがあります。

オピオイド鎮痛薬はモルヒネに代表される医療麻薬で、がん患者さんによく用いられるものですが、慢性腰痛でもほかの薬や治療法でも効果が見られない場合に使用を検討します。

また、痛みそのものに対する治療として神経ブロック療法があります。これは腰の神経やその周辺に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みの信号が脳に伝わるのを一時的に遮断する治療です。効果は一時的なものですが、その間は痛みが軽減するため、痛みの悪循環を解消できることがあります。

心理的要因に対しては、気持ちの持ち方や根本的な不満や不安の解消なども重要になるため、薬物療法に加えて、認知行動療法やカウンセリングを行うこともあります。認知行動療法とは、私たちのものの考え方や受け取り方(認知)にはたらきかけて、気持ちを楽にしたり行動をコントロールしたりする治療方法のことで、非特異的腰痛の治療に追加することがあります。

予防

慢性腰痛は、立ったり座ったりしたときの姿勢が前かがみとなって腰に負担がかかり生じることが多いため、普段から腰に負担のかからない姿勢を心がけることが大切です。

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