概要
毒キノコ中毒とは、ツキヨタケやクサウラベニタケなどのキノコがもっている毒によって引き起こされる中毒を指します。食用でないキノコを自己判断で誤って食べてしまい、毒キノコ中毒を発症する事例は後を絶たず、厚生労働省からも注意喚起がなされています。原因となるキノコを摂取した後、数十分から数時間の間で、消化器症状や神経症状などが引き起こされます。
原因
毒キノコ中毒は、毒を有するキノコを摂取することで引き起こされます。原因となるキノコとして、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、ニガクリタケなどを例に挙げることができます。これらのキノコはホンシメジやヒラタケ、ナメコなどに外観が類似しています。そのため、キノコ狩りの際に誤って採取し、それを毒キノコと知らずに食べてしまうことがあります。
症状
キノコの種類によっても異なりますが、摂取後、数十分から数時間の間で症状が引き起こされます。毒キノコ中毒では、消化器症状や神経症状などが引き起こされます。具体的には、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、倦怠感、脱水症状などを生じることがあります。
そのほかにも、幻覚や幻視、めまい、うわごと、血圧の低下、けいれんなどの症状を生じることもあります。重篤な場合には、腎不全や肝不全、ショックを起こすことがあり、最悪の場合、命にかかわることがあります。
検査・診断
毒キノコ中毒の診断においては、毒を有するキノコを摂取したという状況を確認することが重要です。摂取したキノコの特徴などの情報が、治療の選択に役立つこともありますが、多くは症状から診断されます。脱水や腎障害、肝障害などの合併症が引き起こされることもあるため、血液検査や尿検査などを行い、臓器障害の程度を評価することがあります。
治療
毒キノコ中毒を生じた際の治療は、対症療法が中心となります。症状や臓器障害に応じた治療が選択されます。具体的には、脱水がある際には補液を、けいれんを起こしている際には抗けいれん薬などが行われます。腎機能の低下が著しい際には、血液透析の導入も考慮されます。
摂取したキノコが毒キノコである可能性がある場合、症状が出現していない早期の段階であれば、催吐(嘔吐を促す)、胃洗浄、活性炭・下剤の投与などが行われることがあります。
予防
キノコ狩りの際、それが食べても問題ないキノコであるのか、判断がつかない場合には摂取を避けることが重要です。
毒キノコ中毒に際しては、さまざまな迷信が知られています。茎が縦にさけるキノコは食べることができる、塩漬けにしたりナスと炒めたりすると毒が消える、などは迷信の例で、これらは間違いです。その他にも、色が鮮明なものは毒がある、匂いがよいものは毒がない、なども間違った迷信であることが知られています。
こうした迷信にだまされることなく、自信のない際にはキノコを食べないことが重要です。
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