原因
成人型淋菌性結膜炎と新生児膿漏眼とに分けられます。成人型は性行為感染症(sexually transmitted disease:STD)であり、泌尿生殖器を介した淋菌との直接的な接触感染、あるいは自家接種による接触感染です。1回の性行為での感染伝達率は30%といわれています。一方、新生児膿漏眼は淋菌感染妊婦から経産道的に新生児に垂直感染します。
症状
眼瞼腫脹、高度な結膜充血・浮腫を伴うビロード状の偽膜形成、白黄色・クリーム状の膿性眼脂がみられます。特に、膿漏眼といわれる多量の膿性眼脂が特徴です。発症早期にまれに角膜に潰瘍を形成し、角膜穿孔を起こすこともあります。
検査・診断
問診、臨床所見から淋菌感染を疑った場合、結膜眼脂の塗抹検鏡が迅速な診断に有用です。塗抹検鏡で、好中球に貪食されたソラマメ型のグラム陰性双球菌がみられます。しかし、モラキセラ属との鑑別が難しいため、必ず培養検査を併用します。また、薬剤耐性菌が多いため、薬剤感受性検査が必須です。
近年では、眼脂・結膜擦過物を検体として、免疫クロマトグラフィを用いた迅速診断キットやクラミジアと同時検出できる遺伝子検出試薬キットが使用できるようになりました。
治療
淋菌性結膜炎は適切な治療が行われないと角膜に炎症が波及し角膜が穿孔して、失明に至ることがあります。特に淋菌は近年、多剤耐性化が顕著であるため、薬剤感受性試験の結果を参考にし、抗菌薬を選択します。さらに角膜潰瘍がみられた場合には、積極的に抗菌薬の全身投与も行います。角膜が穿孔した場合には、角膜移植術などの外科的処置を考えますが、十分な抗菌薬投与を行った上で検討します。
淋菌性結膜炎は性感染症であることが多く、確定診断された場合にはパートナーの感染の有無のチェック、治療も必要となります。
医師の方へ
「淋菌性結膜炎」を登録すると、新着の情報をお知らせします