はんこんせいだつもうしょう

瘢痕性脱毛症

最終更新日:
2024年08月19日
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2024/08/19
更新しました
2017/04/25
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概要

瘢痕性脱毛症とは、何らかの原因で頭皮が傷ついて毛包*が破壊され、傷跡(瘢痕)から毛が生えなくなる病気の総称です。

原因は多岐にわたりますが、大きく分類すると毛包に炎症が生じる“原発性瘢痕性脱毛症”と、毛包が炎症以外の原因で破壊される“続発性瘢痕性脱毛症”の2つに分かれます。原発性瘢痕性脱毛症は発生頻度が低く、免疫系が毛を作る細胞を攻撃することで発症します。一方、続発性瘢痕性脱毛症は、皮膚の病気、やけど、けが、腫瘍などによって引き起こされます。

発症原因が分かっている場合はそれらの治療を行うほか、原発性瘢痕性脱毛症の場合には炎症を抑えるステロイドの注射や飲み薬などの薬物療法を中心に行います。

*毛包:毛穴の内部で筒状になって毛を取り囲み、毛の生産に携わる細胞

原因

瘢痕性脱毛症は、髪の毛を作る毛包が破壊されることで発症します。

毛包には、毛の元となる“毛母細胞”や、毛包の再生に携わる“毛包幹細胞”が存在します。特に毛包幹細胞のあるバルジ領域という箇所に強いダメージが加わって破壊されると毛が生えなくなります。

瘢痕性脱毛症の原因は多岐にわたりますが、原発性瘢痕性脱毛症は、毛孔性扁平苔癬(もうこうせいへんぺいたいせん)禿髪性毛包炎(とくはつせいもうほうえん)、皮膚エリテマトーデスなどの病気によって毛包が直接破壊されることで発症します。一方で続発性瘢痕性脱毛症は、先天性皮膚欠損症や皮膚がんをはじめとした皮膚の病気、感染症、やけど、けが、長時間の圧迫などによって頭皮が傷ついた結果発症するとされています。

症状

毛包が破壊されることで毛が生えなくなります。症状の現れ方は原因によって異なりますが、続発性瘢痕性脱毛症の場合は、頭皮が傷ついた部分の毛が生えなくなるため、発症部位や範囲は人によって大きく異なります。

一方、原発性瘢痕性脱毛症は毛包へのダメージが広がっていくことがあり、早期段階で適切な治療をしなければ毛が生えない範囲が広がることもあります。また、脱毛が進行する前段階として、毛包内にがたまって頭皮が赤く腫れるなどの症状がみられることもあります。

検査・診断

瘢痕性脱毛症が疑われるときは、原因を特定するために以下のような検査を行います。

頭皮生検

頭皮の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。生検では皮膚の炎症の有無や、炎症部位に集まる免疫細胞の種類などを調べることができ、確定診断を下すためにも重要な検査です。

血液検査

瘢痕性脱毛症は、皮膚エリテマトーデスのような何らかの自己免疫疾患によって引き起こされることがあります。そのため、原因を特定することを目的として血液検査を行うことがあります。

トリコスコピー

専用の器具を使って頭皮の表面を拡大して観察し、脱毛の状態を確認する検査です。禿髪性毛包炎などでは、1つの毛孔から多数の毛髪が出ている状態(tufted hair)がみられるほか、症状が進行した場合には毛孔が不明瞭となります。

治療

瘢痕性脱毛症の治療方法は発症原因によって大きく異なります。

続発性瘢痕性脱毛症の場合は、原因となっている病気やけがなどの治療を行うことが大切です。また、原発性瘢痕性脱毛症は毛包の炎症が広がって脱毛部位が広範囲になる可能性もあるため、早期段階から炎症を抑えるためのステロイドの注射や飲み薬を用いた薬物療法が行われます。

いずれのタイプも、瘢痕部位から毛が再び生えることはないため、精神的な負担などが生じることもあります。場合によっては、植毛や脱毛箇所を縫い縮める手術なども検討されます。また、ミノキシジルの外用薬などを使用することもあります。

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