概要
眼皮膚白皮症は、目や皮膚、髪の毛の色素が薄くなる病気です。目や皮膚、髪の毛の色素はメラニンと呼ばれ、眼皮膚白皮症はメラニン合成に関わる遺伝子の異常を原因として発症します。また、皮膚や髪の毛などの色が薄くなる以外にも、感染症にかかりやすくなったり出血をしやすくなったりすることがあります。
20種類以上のタイプがあり、症状の現れ方はタイプによって異なります。根治的な治療方法は確立しておらず、日常生活において紫外線を避ける工夫を行うことが大切です。
原因
眼皮膚白皮症は、皮膚、髪の毛、目の色に関わるメラニンと呼ばれる色素の合成過程に関わる遺伝子の異常によって発症します。
このような遺伝子の異常は常染色体潜性(劣性)遺伝という形式で遺伝することが分かっており、両親が同じタイプの眼皮膚白皮症の場合は、ほぼ100%で子どもにも発症します。一方、父親か母親のどちらかが発症している場合に子どもが発症する確率は、タイプによりますが、多くても0.5%以下と考えられています。
症状
症状の現れ方はタイプによって異なります。
メラニンの合成が少ないために皮膚や目、髪の毛の色素が薄くなる非症候型と、色素が薄くなることに加えて全身症状を伴う症候型の大きく2つに分類されます。
メラニンの合成が少なくなると、全身の皮膚が白い、本来黒目の部分が青や灰色になる、髪の毛の色が茶褐色から白色になるといった見た目の症状がみられます。また、いずれの型でも視力障害や目の震え(眼振)などの眼症状がみられ、皮膚がんになりやすくなることも分かっています。
症候型の場合は色素が薄くなるといった症状以外に、出血しやすくなる、免疫機能の低下、神経症状などの全身症状を生じ、中には中年以降になって間質性肺疾患や大腸炎などを合併するタイプも報告されています。
検査・診断
皮膚、髪の毛、目などの色調から眼皮膚白皮症が疑われるときは、以下のような検査が行われます。
眼底検査・視力検査
眼皮膚白皮症を発症すると、目の奥に特徴的な変化が生じやすいため、はじめに眼底検査を行うことが推奨されています。また、視力低下が生じるケースも多いため、視力検査も行うのが一般的です。
血液検査
眼皮膚白皮症の中には血液が固まりにくくなる症状が現れることがあります。血液が固まりにくくなることで出血などの症状が出やすい場合には、血液の凝固機能を評価するために血液検査を行います。
画像検査
中高年以降では、間質性肺疾患や大腸炎などを合併することがあります。これらの発症が疑われた場合には、CTなどを用いた各種画像検査を行います。
病理検査
髪の毛が銀灰色である場合には、髪の毛を顕微鏡で観察して色素細胞などを調べる病理検査を行うことがあります。
遺伝子検査
眼皮膚白皮症は遺伝子の変異によって引き起こされるため、原因となる遺伝子の異常があるかを調べる遺伝子検査*を行うことがあります。遺伝子検査の結果、眼皮膚白皮症に関与する遺伝子に異常が認められた場合は確定診断となります。また状況に応じて、遺伝子検査の前後に遺伝カウンセリング**を行う場合があります。
*遺伝子検査:血液などからDNAを採取し、遺伝子変異の有無を調べる検査。
**遺伝カウンセリング:遺伝子検査を受けるにあたり、遺伝の専門医や遺伝カウンセラーと直接相談ができる場のこと。遺伝に関するさまざまな医学的情報の提供、心理面や社会面などに関する支援を受けることができる。
治療
眼皮膚白皮症の根本的な治療方法はありません。ただし、診断が下された場合には、皮膚がんなどのリスクを軽減する目的で、できるだけ早いうちから紫外線を遮断する対策や、生活空間の整備をすることが推奨されています。
具体的には、サンスクリーン(日焼け止め)の使用、屋外活動の長さや時間帯の制限、帽子や長袖の衣服などの着用といったことが挙げられます。
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