原因
ベーチェット病の原因は不明ですが、何らかの遺伝的素因に感染病原体やそのほかの環境因子が加わり、白血球の機能が過剰となり、炎症を引き起こすと考えらえています。遺伝的素因の中で最も重要視されているのは、白血球の血液型ともいえるヒトの組織適合性抗原であるヒト白血球抗原(HLA)の中のHLA-B51というタイプで、それ以外のヒトと比べると5~10倍高頻度に発症するとされています。世界的にみるとベーチェット病患者は地中海から中近東、日本を含む東アジアにかけて集積していますが、いずれもHLA-B51の頻度が多い地域です。そのほか、日本ではHLA-A26も多いタイプとされています。しかし、ハワイ移住した日本人にはほとんど発症がないこと、ベルリンに移住したトルコ人の発症率はドイツ人よりはるかに多いが、トルコよりは低くなることなどから、環境因子の重要性を裏付ける成績も蓄積されています。
ベーチェット病になってもなぜ、神経症状が出る人と出ない人に分かれるか、その理由も明らかでありませんが、神経型、中でも慢性進行型患者は特にHLA-B51の頻度が高く、男性、喫煙者に多いという統計も示されています。また、眼病変の治療薬として使用されるシクロスポリンが急性型を誘発することがあり、神経型と診断された場合には使用してはいけません。
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