べーちぇっとびょう

ベーチェット病

最終更新日
2020年10月09日
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2020/10/09
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

ベーチェット病とは、全身のさまざまな部位に炎症が繰り返し生じることが特徴的な病気です。免疫のはたらきが過剰になって自身の体の組織を攻撃してしまう“膠原病(こうげんびょう)”の一種と考えられていますが、現時点で明確な発症メカニズムは解明されていません(2020年10月時点)。

ベーチェット病の症状の現れ方には大きな個人差がありますが、主な4つの症状は口腔内のアフタ性潰瘍・外陰部の潰瘍・皮疹などの皮膚症状・ぶどう膜炎(目の炎症)とされています。このような症状がよくなったり悪くなったりしながら繰り返し現れるのがベーチェット病の特徴ですが、重症の場合には内臓や神経、血管などにも炎症をもたらし、ときには命に関わることも多々あります。

また、治療は炎症を免疫のはたらきを抑えるステロイドの投与が行われますが、それぞれの症状を緩和する治療も同時に行わなければならないため、治療に難渋することも少なくありません。また、重症の場合は免疫抑制剤を使用しなければならないケースも多く、さまざまな副作用に注意する必要があります。

原因

現在のところ、ベーチェット病の明確な発症メカニズムは解明されていません(2020年10月時点)。

一方、遺伝などで“この病気を発症しやすい体質”が根底にあり、そこに免疫をつかさどる血液細胞の一種である白血球が過剰にはたらく感染症などが生じることが発症の引き金になるとの説もあります。近年では、どのような遺伝子の異常が関与しているのか多くの研究が進められているのが現状です。

症状

ベーチェット病は体のさまざまな部位に繰り返し“炎症発作”が引き起こされる病気です。

症状の現れ方は人によって異なりますが、発症するとほぼ100%で口の中になかなか治らない口内炎や外陰部の粘膜に潰瘍が多数できるようになります。また、皮膚には1~数cmほどの赤いしこりやにきびのような発疹が見られることも多く、目の網膜などを含む“ぶどう膜”と呼ばれる部分に炎症を引き起こすぶどう膜炎を発症することが多いとされています。

これらの症状はよくなったり悪くなったりを繰り返し、次第に症状が悪化していくことも少なくありません。特にぶどう膜炎は悪化すると失明を引き起こすことがあるため注意が必要です。

そのほか、重症な場合にはこれらの症状だけでなく、関節や副睾丸などに炎症を起こしたり消化管・血管・神経といった重要な器官にも炎症が及んだりすることがあり、消化管に穴が開く、形成された動脈瘤が破裂するといった命に関わる症状が引き起こされることもめずらしくありません。

検査・診断

ベーチェット病は膠原病の一種ですが、ほかの膠原病のようにその病気の特徴的な“自己抗体(自分の組織を攻撃するたんぱく質)”は存在しません。そのため、口内炎・外陰部潰瘍・皮膚症状・ぶどう膜炎といった4つの代表的な症状が見られるかなどを参考にして診断されます。

一方、この病気が疑われるときは体の炎症の程度を調べるために血液検査が行われ、それぞれの症状に適した検査が行われます。具体的には、皮疹に対する病理検査(皮疹の組織を採取して顕微鏡で詳しく観察する検査)、吐血や下血に対する内視鏡検査、視力低下に対する細隙灯(さいげきとう)検査、神経症状に対する髄液検査・頭部MRI検査などが挙げられます。

治療

ベーチェット病の治療は、症状の現れ方にかかわらず薬物療法が主体となります。

基本的に“炎症発作”が生じたときは、炎症と免疫のはたらきを抑えるステロイド剤が使用されますが、消化管・血管・神経などに炎症が及ぶような重症のケースでは免疫抑制剤が使用されるケースも多々あります。

ベーチェット病では炎症を抑える根本的な治療以外にも、それぞれ現れる症状を改善するための対症療法も行われます。具体的には関節炎の痛みに対する鎮痛薬の投与、血管炎に伴う血栓症に対する抗凝固剤投与などの薬物療法も必要となり、消化管に穴が開くといった場合には手術が必要となります。

予防

ベーチェット病は発症メカニズムが解明されていないため、明らかに効果のある予防法はないのが現状です。

しかし、疲れやストレスなどが原因で症状が悪化・再燃しやすくなることが知られているため、ベーチェット病と診断された場合は十分な休養・睡眠を確保し、生活リズムを整えて食生活などにも注意することが大切です。また、近年の研究では喫煙習慣も症状を悪化させることが分かっているので、喫煙習慣がある方は禁煙を目指す必要もあります。

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