概要
翼状片とは、白目の表面を覆っている半透明の結膜が、黒目の部分に当たる角膜にかかる形で広がる病気です。翼状片は、眼球を地球の形にたとえると、赤道に相当する水平線領域に発症することが多いです。
翼状片は紫外線にさらされることを原因として発症すると考えられており、高齢者にみることが多い疾患です。また、ドライアイとの関連性を指摘されることもあります。両目に生じることもまれではありません。白目と黒目に生じる見た目の変化は明らかであり、ときに視力の異常を来します。視力障害をきたすときには、手術による治療が必要となります。
原因
眼球の表面は、黒目に当たる角膜と、白目に当たる眼球結膜から構成されています。眼球に入った光は、角膜を経て水晶体や硝子体といった眼球内の構造物を通り網膜へと投射されます。網膜に到達した光情報は、視神経を介して大脳へと伝達されることからものが見えるようになります。
ものをしっかりと認識するためには、角膜を始めとして水晶体や硝子体の透明度が重要です。透明性が何かしらの原因で遮断されると、視覚に対しての悪影響を来すことになります。また、角膜の形態がしっかりと保たれていることが重要であり、ゆがむと乱視症状を呈することがあります。
翼状片は、眼球結膜から角膜に渡って、半透明性の白色の膜が広がってしまう病気です。翼状片では、透明性やきれいな形状を保つことが重要である角膜を、白色病変が覆ってしまうため、光の通過や屈折が障害を受けることになります。その結果、視力低下や乱視などを呈することになります。
翼状片は、紫外線による眼球損傷が誘因となり引き起こされると考えられています。そのため、屋外での仕事に従事する方に発症することが多いです。ほこりやちりなども原因となりえます。また、ドライアイとの関連性を指摘されることもあります。
翼状片は、眼球に対しての障害が蓄積することで発症します。そのため幼児期に発症することは少なく、高齢者にみることが多いです。両目に生じることもまれではありません。
似たような見た目を呈する眼の状態として、「瞼裂斑」と呼ばれるものがあります。瞼裂斑は、眼にできたシミのようなものであり、白目に当たる眼球結膜にタンパク質や脂肪、カルシウムなどが沈着して黄色い変色を来した状態です。瞼裂は鼻に近い眼球結膜に生じることが多いですが、翼状片とは異なり角膜を覆うような形で広がることはありません。
症状
翼状片の症状は軽度のものから重度のものまでさまざまです。翼状片が拡大をしている状況では、眼球結膜の充血や異物感などを自覚することがあります。異物感としては、眼が乾く、かゆい、焼けるような感覚がある、ホコリが入り込んだような感じがする、などさまざまなものがあります。
翼状片では眼の見た目の変化も明らかであり、白目から黒目に広がる形で白い構造物が覆うことになります。黒目の部分に広く異常構造物が入り込むと、眼球内への光の透過性が阻害されることになります。さらに角膜の形態も歪むことになり、視力低下や乱視などの症状を呈するようにもなります。また、翼状片により眼球運動が障害を受け、ものが二重に見える複視症状を呈することもあります。
検査・診断
翼状片は、鏡でご自身の眼を観察することから疑われることになります。眼科的には細隙灯顕微鏡を用いて、詳細に患部を観察することから病気を診断します。また、翼状片では乱視や視力低下を来すこともあるため、一般的な視力検査や乱視の検査などの評価も行います。
治療
翼状片自体は悪性の組織ではありませんが、眼の違和感や充血などの症状を引き起こしたり、場合によっては視覚に対しての悪影響(乱視や視力低下、複視など)を及ぼしたりすることになります。そのため、こうした症状に対応するために、点眼薬や手術で治療を行うことが検討されます。根本的な治療方法は手術になります。
手術療法は、通常日帰りで行うことが可能です。局所麻酔を用いて、異常組織に当たる翼状片を摘出することになります。ただし、翼状片を摘出するのみでは再発することも多く、結膜弁移植や自己結膜移植といった再発予防策を同時に行うことも重要です。しかし、特に若い方(50歳未満)では、こうした予防策を講じても再発する確率はなおも高いことには留意が必要です。
その他の再発予防法として、手術中にマイトマイシンCと呼ばれる薬剤を使用することもあります。マイトマイシンCは抗がん剤の一種であり、翼状片の原因となる異常細胞増殖を抑制するために使用されます。
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