症状
肺動脈性肺高血圧症では、右心室に負担がかかり、血液がうまく肺に流れなくなってしまいます。また、肺は血液に酸素を供給するために重要な臓器ですが、このはたらきも阻害されてしまいます。
それによって、全身に酸素が不十分な血液が滞るため、疲れやすさを感じるようになり、階段を上ったり歩いたりすると疲れを自覚することがあります。また、脳にも不十分な血液が供給されることになり、立ちくらみやめまいを感じます。血液が全身に溜まることで、足を中心としたむくみを自覚することもあります。
病気の状態が進行すると、運動をしていなくても呼吸困難を自覚するようになります。横になった際に症状が悪化するため、座った姿勢を好むようになり、このことを起座呼吸と呼びます。
むくみは全身に広がり、かすれ声(声帯のむくみ)、ピンク色の痰や咳、喘鳴(ゼーゼーとした呼吸)などの症状を認め、慢性的な呼吸困難を自覚します。
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BMPR2変異によるHPAHの予後――早期発見を目指した運動負荷検査の取り組み
遺伝性肺動脈性肺高血圧症(hereditary pulmonary arterial hypertension:HPAH)は、遺伝学的な背景が関連する重度な肺高血圧症を主徴とする、極めてまれな疾患である。平出 貴裕氏(慶應義塾大学医学部内科学教室循環器内科 難治性循環器疾患病態学寄付研究講座 特任助
【第7回日本肺高血圧・肺循環学会レポート】肺高血圧症治療の現状――PAH、CTEPHに対する診断・治療、肺移植の現状(4500字)
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膠原病に伴う肺高血圧症は、生命予後が不良な膠原病における重篤な臓器病変の1つである。ここ20年ほどの間に有効な治療薬が診療に導入され短期の生命予後は劇的に改善したが、さらに効果的な治療法の確立を目指し研究が続けられている。桑名 正隆氏(日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野 教授)
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