原因
心臓から肺に送り込まれた血液は、動脈から毛細血管、毛細血管から静脈の順に流れます。毛細血管を通るあいだに血液の流れは緩やかになり、酸素や二酸化炭素のガス交換がなされます。また、毛細血管は非常に細い血管なので、仮に動脈中に異物が入り込んでもフィルターとしての役割を担うことができ、全身への異物の散布を防いでいます。
肺動静脈瘻は、動脈と静脈の仲介者でもあるこの毛細血管が存在しなくなってしまう病気です。肺動静脈瘻は、先天性のものと後天性のものに分けることができます。
先天性
先天性疾患としては、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)に関連した肺動静脈瘻があります。この病気は、遺伝子の異常を原因として発症します。肺動静脈瘻以外にも、鼻粘膜、脳血管、肝臓、消化管粘膜などに類似の血管奇形がみられます。
後天性
後天的なものとしては、肝硬変、外傷などの合併症として肺動静脈瘻になることもあります。
静脈内で形成された血栓は、血液の流れに乗じて心臓から肺へと運ばれることがあります。血栓が肺に到達するとさまざまな弊害を起こしますが、通常であればフィルターとしての役割を持つ毛細血管がこれをキャッチし、心臓から全身に流れる動脈系に乗らない仕組みになっています。しかし、毛細血管が破綻している肺動静脈瘻では、肺から心臓、心臓から全身へと異物が運ばれる危険性が高まります。特に脳へと異物が運ばれると、脳梗塞を引き起こすことがあるため注意が必要です。
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