はいどうじょうみゃくろう

肺動静脈瘻

別名
肺動静脈奇形
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

肺動静脈瘻とは、肺に分布する血管の病気のひとつです。インターネット上では「肺動静脈奇形」と検索されていることも多いようです。

遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)と呼ばれる先天性疾患に合併することもあれば、肝硬変外傷などの合併症として後天的に発症することもあります。無症状のまま経過することも少なくないですが、その一方で、血痰や喀血などの呼吸器症状が現れたり、脳梗塞など重篤な合併症を引き起こしたりする可能性もあるので注意が必要です。

原因

心臓から肺に送り込まれた血液は、動脈から毛細血管、毛細血管から静脈の順に流れます。毛細血管を通るあいだに血液の流れは緩やかになり、酸素や二酸化炭素のガス交換がなされます。また、毛細血管は非常に細い血管なので、仮に動脈中に異物が入り込んでもフィルターとしての役割を担うことができ、全身への異物の散布を防いでいます。

肺動静脈瘻は、動脈と静脈の仲介者でもあるこの毛細血管が存在しなくなってしまう病気です。肺動静脈瘻は、先天性のものと後天性のものに分けることができます。

先天性

先天性疾患としては、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)に関連した肺動静脈瘻があります。この病気は、遺伝子の異常を原因として発症します。肺動静脈瘻以外にも、鼻粘膜、脳血管、肝臓、消化管粘膜などに類似の血管奇形がみられます。

後天性

後天的なものとしては、肝硬変外傷などの合併症として肺動静脈瘻になることもあります。

静脈内で形成された血栓は、血液の流れに乗じて心臓から肺へと運ばれることがあります。血栓が肺に到達するとさまざまな弊害を起こしますが、通常であればフィルターとしての役割を持つ毛細血管がこれをキャッチし、心臓から全身に流れる動脈系に乗らない仕組みになっています。しかし、毛細血管が破綻している肺動静脈瘻では、肺から心臓、心臓から全身へと異物が運ばれる危険性が高まります。特に脳へと異物が運ばれると、脳梗塞を引き起こすことがあるため注意が必要です。

症状

肺動静脈瘻は、程度に応じて出現する症状が異なります。軽度のものでは無症状のまま経過し、健康診断などでレントゲン写真を撮影した際に疑われることがあります。また、先天性疾患である遺伝性出血性末梢血管拡張症であっても、肺に関連した症状が幼少期から出るとは限らず、成人になってから病気が明らかになることも少なくはありません。

肺動静脈瘻は異常血管であり、高い圧力が静脈にかかりやすいため出血を起こしやすくなります。そのため、血液まじりの痰がみられることがあります。肺動静脈瘻の分布が広い場合には、血液の酸素化が不十分になってしまい、チアノーゼ(全身の色や顔色が悪くなり、特に指先や唇などが紫色になる状態)や運動時の易疲労感、全身倦怠感、呼吸困難などにつながります。また、心臓に負担がかかりやすいため、心不全がみられることもあります。

そのほかに注意すべきものとして、脳梗塞脳膿瘍があります。肺動静脈瘻は毛細血管による異物のフィルター機能が損なわれている病気であるため、細菌や血栓などがダイレクトに脳へと運ばれてしまう危険性があります。この場合に脳梗塞や脳膿瘍が引き起こされることとなり、手足の麻痺、感覚障害、けいれん、意識障害などの重篤な症状が現れます。

検査・診断

肺動静脈瘻は、胸部単純レントゲン写真に異常な像として写ることで疑われることがあります。その後、造影剤を用いてCT検査(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)や血管造影を用いることで診断することが可能です。

肺動静脈瘻は、遺伝性出血性末梢血管拡張症に合併することもあります。そのため、肺以外に同じような病変がないかどうかの確認や、遺伝子検査を行うことも検討されます。

経過中に低酸素血症や脳梗塞脳膿瘍なども合併する危険性があります。血液検査により酸素の状態や炎症の状況を評価したり、頭部CTやMRIを用いて脳の病変評価を行ったりすることもあります。

治療

肺動静脈瘻は、無症状の段階で診断されることもありますが、重篤な合併症のリスクを考慮して基本的には治療介入が行われます。治療方法としては血管内治療が主であり、場合によって手術療法も考慮されます。肺動静脈瘻は、遺伝性疾患の一症状として発症することもあります。家族歴や、他の臓器での合併症の有無、遺伝子検査などを通して遺伝性疾患に関連した肺動静脈瘻であることが確認された場合、遺伝カウンセリングの導入も検討することになります。
 

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