概要
胃腫瘍とは、胃がんやリンパ腫、GISTなど胃に生じる腫瘍性病変のことを指します。胃腫瘍は悪性疾患のみならず良性疾患も含まれており、複数の病気を含む包括的な疾患概念であるといえます。
胃腫瘍の種類はさまざまであり、治療方法もそれに応じて大きく異なります。初期の段階では症状が現れないこともありますが、病変(病気による変化)が大きくなることで、腹痛などの症状が現れることもあります。
原因
胃腫瘍には、胃がんやリンパ腫、GIST、カルチノイド腫瘍、ポリープなど多くのものが含まれています。
胃には腺組織や粘膜上皮、神経細胞などの多くの細胞が存在しており、これら構成成分から腫瘍が発生することで先に挙げたような多岐に渡る腫瘍が生じる可能性があります。
胃腫瘍のなかでも多いのは、胃がんやポリープ性病変です。これには、喫煙習慣や塩分の多い食生活、ヘリコバクターピロリ菌との関連性などが指摘されています。また、なかには生まれつきの遺伝子異常が関与しているものもあります。
そのほかにも、GISTであればKITやPDGFRaと呼ばれるタンパク質に関与した異常が原因となることが知られており、カルチノイド腫瘍の場合は自己免疫疾患やMEN1症候群と呼ばれる病気と関連して発症するといわれています。
症状
病変が小さいときには特別な症状をきたすことなく経過することも少なくはありません。しかし、病変が大きくなることで胃の不快感や腹痛、疲労感などの症状を引き起こすことがあります。
病変部位から出血をきたすこともあり、これに関連した吐血やタール便(黒色便)、貧血などがみられることもあります。貧血が生じると、疲れやすい、動悸がする、顔色が悪くなるなどの症状にもつながります。
検査・診断
胃腫瘍の検査では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)により胃の中の病変の確認が行われます。上部消化管内視鏡検査では、病変部位を直接的に観察できるため、潰瘍や盛り上がりなどの特徴的な変化の確認ができます。
また、必要に応じて病変部位を採取する生検検査を行うことも可能であり、それを用いて病理検査を行い病気に特徴的な詳細な変化を評価することもできます。
そのほかにも、バリウム検査を行うことがあります。また、病変が胃以外にも広がることがあるため、これを確認するために超音波検査やCT検査、MRI検査などが適宜検討されます。
治療
胃腫瘍の治療方法は、原因となっている病気や病変の広がり具合によって大きく異なります。初期の胃がんやポリープなどであれば、内視鏡を用いて病変を切除することが可能なケースもあります。
進行した胃がんやGISTなどの場合は、手術を行うことで胃の一部もしくは全部を摘出することもあります。
また、薬物療法(化学療法や分子標的薬治療など)などが選択される場合もあります。根治が望めないような状況では、症状緩和を目的とした対症療法的な手術療法、放射線療法などが選択されることもあります。
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