概要
脊髄空洞症とは、脊髄の中に脳脊髄液と呼ばれる液体がたまることで脊髄内に空間ができる病気のことです。発症すると脊髄が圧迫され、麻痺などさまざまな神経症状が引き起こされます。国の指定難病ですが、適切な治療を行うことで症状の進行を抑えられるケースも多いとされています。
脊髄空洞症の原因は、生まれつきの脳や脊髄の形態異常、脊髄の腫瘍や脊髄の血管の異常など多岐にわたりますが、はっきりした原因が分からないことも少なくありません。治療は手術が主体となりますが、しびれなどの症状がある場合は症状を緩和させるための薬物療法も行われます。
原因
脊髄内に脳脊髄液がたまる原因はさまざまですが、後頭部に存在する小脳が脳から続く脊髄のほうへ生まれつき落ちくぼんでいる“キアリ奇形”が代表的です。一方で、脊髄空洞症は脊髄や脊髄を包む髄膜などの組織の炎症や腫瘍、脊髄血管の出血や梗塞、外傷による脊髄損傷なども原因となり得るとされていますが、原因がはっきり分からないケースもあります。
また、通常は遺伝する病気ではありませんが、まれに血縁者の発症があることから何らかの遺伝的な要因が関与している可能性があるという考えもあります。
症状
脊髄空洞症を発症すると、内部にたまった脳脊髄液が内側から脊髄を圧迫してダメージを与えるため、さまざまな神経症状が引き起こされます。
症状が現れる部位は空洞が形成された部位や大きさによって異なりますが、多くは片方の腕の脱力、感覚障害、痛み、しびれ、重苦しさなどの症状から始まるとされています。そして進行して空洞がさらに大きくなると、反対側の腕や足などにもしびれ、脱力、感覚障害といった症状が現れるようになり、筋肉の萎縮も伴うようになります。また、空洞が脳にまで広がっていくと物の飲み込みが悪くなるなど脳の神経の異常による症状が現れるようになります。
一方で、脊髄空洞症では自律神経にも障害が及ぶことがあり、発汗の異常や立ちくらみなどの症状がみられることも少なくありません。
検査・診断
脊髄空洞症が疑われる場合、脊髄の内部に空洞が形成されていることを確認するため、MRIやCTミエログラフィーなどの画像検査が必要です。また、ほかの病気と鑑別するために、X線などの画像検査が行われることもあります。
治療
脊髄空洞症の治療は、しびれなどの症状を緩和するための薬物療法と形成された空洞を縮小するための手術が行われます。手術には、“大後頭孔拡大術”と“空洞短絡術”という2つの方法があります。
大後頭孔拡大術は、脊髄が頭蓋骨を通る“大後頭孔”という穴を広げて脳脊髄液の流れを改善する手術です。主に生まれつき大後頭孔から脊髄へ小脳が落ち込んでいるキアリ奇形が原因のケースで行われます。一方、空洞短絡術は脊髄の空洞内にチューブを通して本来脳脊髄液が流れる部位とつなげることで、空洞内に脳脊髄液がたまるのを防ぐ手術です。
選択される手術方法は発症原因や全身の状態などによって異なります。
予防
脊髄空洞症は明確な発症メカニズムが不明な点も多く、現在のところ確実な予防法はありません。
しかし、この病気は適切な治療を行わないと脊髄の空洞が広がり、強い運動麻痺が生じて車いす生活を余儀なくされるケースも少なくありません。何らかの神経症状が続くときは、軽く考えずに医師の診察を受けるようにしましょう。
医師の方へ
脊髄空洞症の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。
「脊髄空洞症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
関連の医療相談が5件あります
左腕を動かすと肩から上腕にかけて激しい痛み
今日、左腕の激しい痛みで病院にかかりました。元々、胸郭出口症候群と診断された事がありましたが、その診断を受けた時は右鎖骨の痛みで今回は左腕の激しい痛みがあります。 症状としては、うでを胸から上にあげようとすると筋肉痛に似たそれよりも激しい痛みがあります。特に腕を前に上げようとする時が1番痛みが激しいです。 また、力を入れたり重い荷物をもったりすると痛みが強くなります。 今回、湿布薬・塗り薬・内服薬(胃薬、鎮痛剤、筋肉をほぐす薬)をいただき、首のレントゲンを撮ったあとストレートネックになっていることを説明していただき、首の牽引と肩回しの運動、温熱療法、湿布処置をしていただきました。 病名までは聞かず、ほんとに以前診断された胸郭出口症候群なのかわかりません。 また、以前今回とは違う病院で診て頂いたとき、重い荷物を持たない事、指先を動かす細かい作業は避ける事、首の運動をしない事と説明を受けました。 今回は日常生活でどんな事なら気を付けたらいいとかあるのでしょうか? また病名はつくのでしょうか?
予防接種を受けても大丈夫でしょうか
脊髄空洞症がありますが 三種混合とおたふくの 予防接種を受けなければなりませんが 同時に受けて大丈夫でしょうか
手の痺れ、だるさ
現在の体の不調は 両手の痺れ、腕のだるさ、足の痺れ、左右の顔の痺れ、肩凝り、首痛、頭痛、目の奥の痛み、めまい、です。 今年の2月頃から、肩凝りがひどく、そこから 頭痛、目の奥の痛みが出ました。 その時は目が原因だと思い眼科に行き目薬をもらいました。 4月に入り首も痛くなり、1週間程前から 痺れも出てきました。 痺れは片側の痺れが強くなったり弱くなったり無くなったり様々です。 3日前に整形外科に行ってレントゲンを撮ったのですが、骨には異常はなく、牽引と薬で様子見という事になりました。 でも、ネット調べていると、 首のヘルニアだったり、自律神経失調症、脳梗塞などの症状にも当てはまります。 なので、別の病院(神経や脳など見れるような所)にも行くべきなのか、先生に言われた通り薬で様子見をするべきなのか迷っています。
右下肢・大腿四頭筋、ハムストリングの末梢神経損傷をリハビリで治療中。
先日、標記について、早速 当初『脊髄空洞症の入院検査・診断・治療をおこなった大学病院』のリハビリテーション科の、著名なリハビリテーション科医のセカンドオピニオンを申し込みました。 神経損傷で軸索が断裂するとはどういうことですか。伏在神経は運動器を動かす神経ではないので、大腿四頭筋やハムストリングが動かなくなる、ということが理解できません。伏在神経ブロック注射を、どこにどう行うかの説明もありませんでした。ブロック注射を行っている間、腸骨稜から~四頭筋~膝~前脛骨左側~かかと~足親指にかけて、強烈な痛みが発生し、2回中断しましたが、中止することなく最後までやりきり。その後、痙攣・攣縮・痛みが4日間続きました。早速。リハビリ科から、当面足の可動域を広げ、軽いストレッチを行い、約1カ月後松葉杖で歩けるようになりました。麻酔科・神経内科・脳神経外科・整形外科・リハビリテーション科、とあわただしく医師が往診してきましたが、皆、主治医ではなく、神経損傷であったと聞いたのは、50日を経過していました。 すぐに、リハビリテーション専門病院に転院し、ストレッチ・筋トレを開始し、ちょうど60日が経過し、松葉杖なしの三俣杖で1600歩程度歩ける様になりました。リハビリを開始して4か月程度の期間で治らなければ、後遺障害が残るということですが、そのあたりを詳しく教えて頂ければありがたいのですが。受傷日から4か月半が経過しました。まだ当院では3か月入院可能とのことです。室内 での細かい動作や、中腰での動作や、杖なしで何かを出来るところまでは至っていませんが、季節もよくなり、リハビリには最適です。それはそうと、なぜ、伏在神経フロックでここまで悪化したのか、大学病院ではだれも可能性さえ教えてくれず、だんまり を決め込んでいました。何とか、回復して以前のように歩ける様になりたく日々頑張っています。なんでもいいので、教えて下さい。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。