予防
腸チフスは経口感染するため、排泄後や、料理・食事の前などに十分な手洗いを行うことが予防につながります。
特に腸チフスが流行している地域に渡航する際には以下の点に注意しましょう。
- 食べ物は十分に加熱する
- 肉は常に低温で保存し、中心部まで加熱する(75℃で1分間以上)
- 生水や安全な水からつくられていない氷は控え、ボトル入りのミネラルウォーターや煮沸した水を選ぶ
- 生野菜やフルーツは丁寧に洗う
- 生肉や卵を扱った手指や調理器具はその都度洗浄・消毒する
また、他人への感染を防ぐために、患者はできるだけ浴槽につからずシャワー浴とし、他人と一緒の入浴は避ける必要があります。
なお、チフス菌に対するワクチンには弱毒生ワクチン(4回経口接種)と不活化ワクチン(1回筋肉注射)がありますが、日本では未承認のため一般的な医療機関では接種できません(2024年6月現在)。しかし、南アジアをはじめとする流行地への渡航予定がある場合は渡航前の予防接種が推奨されることもあり、国内未承認の輸入ワクチンを取り扱うトラベルクリニックなどの医療機関での接種を検討しましょう。ただし、予防効果はワクチン接種者の60~70%ほどに留まり、100%の予防効果があるわけではありません。また、一度接種すると2~3年間効果があるとされていますが、腸チフスに似たパラチフスには効果が見込めません。
医師の方へ
「腸チフス」を登録すると、新着の情報をお知らせします