ぼうこうそんしょう

膀胱損傷

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

腎臓で作られた尿を貯める機能を持つ膀胱が損傷することです。膀胱は骨盤骨に守られた位置に存在しており、外部からの力には強い臓器です。しかし、小児では骨盤骨の発達が未熟なため損傷を受けやすいといわれています。また、尿が多く溜まっている状態では損傷を受けやすい構造になっています。

原因

原因には2種類あります。医原性の場合では外科、産婦人科、泌尿器科などの骨盤内の手術の際に損傷してしまうことです。また、泌尿器科の手術の一つである経尿道的膀胱腫瘍切除術を行った際に損傷してしまうことです。外傷性では尿が充満しているときに下腹部に強い外力が加わった場合が考えられます。さらに骨盤骨折に伴って損傷されることがあります。

また、これ以外にも骨盤内放射線治療後で膀胱がもろくなっている方や、統合失調症など精神疾患での薬物の副作用で尿が出にくくなり、膀胱が異常に膨張していることがあります。その場合には、軽い外力にて膀胱が破裂する危険性があります。

症状

血尿、下腹部痛、尿が出ない、などが主な症状としてあげられます。また、原因であげた放射線治療後の方や精神疾患の患者さんでは軽度の外力での膀胱破裂では、軽度の外力をいつ受けたか、どういった状況で受けたのかなどがはっきりしないため診断が困難なことがあります。このような場合は、腹膜炎を合併することによる発熱や腹痛の症状をきたすことが多いです。

検査・診断

膀胱造影を行います。これは尿道カテーテルを挿入し、造影剤を膀胱内に注入し透視(レントゲンをリアルタイムに撮影する)を行います。膀胱損傷がない場合は。造影剤は膀胱内にとどまります。しかし、膀胱損傷がある場合は膀胱の外へ造影剤が漏れてみえます。また、最近では尿道カテーテルを留置し、造影剤を膀胱内に注入したあとにCTをとります。CTで造影剤の膀胱の外へ漏れがないかを確認する方法もあります。

尿が腹腔内に漏れ、腹水がみられる場合は、お腹から針を刺し腹水を抜き、腹水を検査することがあります。検査の結果、採取した腹水が尿と特定されると、膀胱損傷と診断されます。

治療

骨盤内は腹膜といる膜で分けられています。膀胱損傷は腹膜よりなかの損傷(腹腔内損傷)、または腹膜の外の損傷(腹腔外損傷)に分けられます。腹腔内か腹腔外かによって、治療方針は大きく異なります。

腹腔内損傷

腹腔内損傷では、腹腔内に細菌感染した尿が流出することにより腹膜炎を発症する危険性があります。基本的に開腹手術で腹腔内の尿を取り除くことが必要です。具体的には、尿のドレナージ(腹腔内に溜まった尿を体外に出すこと)を行います。その後は、腹腔内へのドレーン(管)留置を行い尿が腹腔内に溜まらないようにします。損傷部位が明らかな場合は、損傷部位を縫合します。

腹腔外損傷

通常、尿道カテーテル留置のみで自然と膀胱損傷部位が塞がり、治癒します。尿道カテーテル抜去時に再度、膀胱に造影剤を注入し、漏れがないか確認します。

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