しきかくいじょう

色覚異常

最終更新日:
2021年10月20日
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2021/10/20
更新しました
2017/04/25
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概要

色覚異常とは、正常とは異なった色の感じ方・見え方をすることです。

色は網膜に存在する錐体(すいたい)によって見分けていますが、先天的・後天的な要因によって錐体に異常をきたすことで色覚異常を発症します。特に先天性の場合は生まれつきであるため自覚症状に乏しいことも多く、周りから指摘されたり、検査を行わないと分からなかったりすることがあります。一方、後天性の多くは高齢者で、加齢によるものだと考えられています。

色覚異常があると日常生活に支障が出ることがありますが、早期発見・受診し、自分の症状に合わせた対処を行うことで、ほとんど不自由がない生活を送ることができるといわれています。

種類

錐体には3つの種類があり、それぞれ見分けられる色が異なります。色覚異常は、どの錐体に異常が生じるかによって“1型色覚”“2型色覚”“3型色覚”という3つの種類に分けられます。

色覚異常の種類

  • 1型色覚……赤に敏感なL錐体に異常がある色覚異常です。
  • 2型色覚……緑に敏感なM錐体に異常がある色覚異常です。
  • 3型色覚……青に敏感なS錐体に異常がある色覚異常です。もっともまれなタイプの色覚異常といわれています。

1型と2型では黄緑と橙、緑と茶色や灰色、青と紫、ピンクと灰色などの区別がつきにくいといわれています。そのほか、1型のみピンクと水色などの識別が困難になります。

原因

色覚異常は、網膜に存在する錐体に異常が生じることで発症します。その原因は先天性色覚異常と後天性色覚異常に大別できます。

先天性色覚異常

生まれつき色覚異常がある先天性色覚異常は、遺伝的なことが原因です。症状は進行することはなく、色覚以外の眼の機能については正常なことが一般的です。

日本人の場合、男性の5%、女性の0.2%にみられるといわれており、男性に多い理由としては、色覚異常の遺伝子がX染色体に存在していることが挙げられます。

性染色体はXとYを1本ずつ持つと男性、Xを2本持つと女性になります。男性はX染色体を1本しか持っていないため、保有する1本のX染色体に色覚異常の遺伝子が存在すれば、通常は色覚異常となります。一方、女性は2本X染色体を持っているため、仮に1本のX染色体に色覚異常の遺伝子が存在していても、通常は色覚異常が表に出ることはありません。ただし、2本のX染色体が両方とも色覚異常の遺伝子を持っていた場合には色覚異常となります。

後天性色覚異常

後天性色覚異常は、主に白内障や網膜病変、緑内障を原因として発症します。

たとえば、白内障は高齢者では非常に頻度の高い病気で、加齢に伴い白内障を生じる人が増えます。この場合は、本来透明度の高い水晶体が黄色く変化したり、瞳が小さくなり光が通過しにくくなったりすることで異なる色が認知されるようになります。

症状

色覚異常では、異常を受ける錐体細胞によって色の見え方が異なります。

先天性色覚異常:赤と緑の見分けがつきにくい

先天性色覚異常では、多くの場合“赤”と“緑”の見分けがつきにくいです。このことは日常生活で重要な意味を持ちます。具体的には、信号機の“止まれ”と“進め”が判断しにくくなります。

そのほか、黄緑と橙、緑と茶や灰色、青と紫、ピンクと灰色や水色などを混同しやすいです。そのため、肉などの焼き具合が判断しにくいことや、夕暮れ時の運転で前方車のテールランプが判りにくいということもあります。

このように見分けが付きにくい色の組み合わせはありますが、実際の程度は患者によって異なります。

後天性色覚異常:茶色がかった色を認識する

加齢による後天性色覚異常では、多くの場合は白内障と関連して発症します。この場合は、常時サングラスをかけたような茶色がかった色を認識することがあります。

また、青色の光が通過しにくくなり、徐々にものが黄色や茶色、赤みがかって見えます。こうした加齢性変化に関連して、転倒や食欲低下などが生じると考えられています。

検査・診断

色覚異常が疑われる場合はまず、石原色覚検査表を用いた検査が行われます。この検査はかつて小学校4年生の子どもを対象に多くの小学校で行われていましたが、2021年現在は希望者のみに実施されるようになりました。

また、石原色覚検査表を用いた検査で異常が指摘された場合、どの種類の色覚異常なのか確定診断のため、アノマロスコープ検査やパネルD-15テストなどが行われます。

石原色覚検査表を用いた検査

石原色覚検査表とはモザイクのように敷き詰められた色の中に数字や記号が形取られた表のことで、それを患者に読み取ってもらうことで色覚異常の有無を確認する検査です。

アノマロスコープ検査・パネルD-15テスト

アノマロスコープ検査は、特殊な検査機器を用いて患者の錐体の機能を確認します。また、パネルD-15テストは15色あるパネルを患者に順に並べてもらい、色覚異常の程度を判定します。

治療

先天性色覚異常では、根本的に色の識別力を高める治療方法はありません。ただし、治療がないからといって色覚異常が悪化することはありません。その特徴を知り、適切な対処を行うことで、日常生活ではほとんど不自由することなく過ごすことができます。

後天性色覚異常は、原因となる病気の治療によって症状が改善したり、治ったりすることもあります。

セルフケア

色を見分けるときの工夫

色を間違えやすい条件としては主に(1)薄暗い環境(2)くすんだ色(3)対象の物が小さいことがあります。そのため、色を見分ける際は明るい場所で確認するようにしましょう。

また、色以外の情報、たとえば形や模様などで判断できるようにするとよいでしょう。色は疲れていたり、急いでいたりする際に間違えやすい傾向にあるため、焦らずにゆっくり見分けるようにすることも大切です。

進学・職業上の注意点

色覚異常では、運転免許証(普通自動車第1種免許のみ)の取得、進学、就職することも可能です。しかし、一部学校や職業では制限が加わることがあります。

たとえば、進学に際しては学校や分野によっては制限を設けていることもあります。また、交通関係の職業では、信号機の見誤りが事故につながるため制限されることもあります。そのため、進学や就職にあたり、自分の症状の程度や傾向などを十分に理解し、そのうえで確認・選択するようにしましょう。

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