概要
血圧朝活とは
血圧朝活とは、日本高血圧学会が推奨する「早朝高血圧」の予防と改善を目指すための取り組みの1つです。「血圧朝活」は朝の血圧測定の習慣づけを指しますが、ほかの取り組みと併せて行うことで、早朝高血圧の予防と改善につながります。
早朝高血圧とは、起床から数時間に血圧が上昇している状態を指します。特に早朝に血圧が急激に上昇すると、脳血管や心血管に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患のリスクが高まるとされています。日中や診察時の血圧は正常範囲に収まっているにもかかわらず、早朝のみ高血圧がみられる方もいるため、気付かれにくいという特徴があります。
高血圧とそのリスク
高血圧(高血圧症)は、慢性的に動脈の血圧が上昇している状態を指します。一般的な基準として、医療機関での測定血圧が140/90 mmHg以上、または家庭での測定血圧が135/85 mmHg以上の場合に高血圧とされます。ただし、収縮期血圧が130mmHgを超えると、循環器疾患の発症リスクが高まるといわれています。
2026年現在、日本国内で高血圧である方は約4,300万人といわれていますが、このうち33%の方は自身が高血圧と気付かず治療を受けていないとされています。
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクとして、最も重要なものとされています。循環器疾患の発症は早朝に多く、早朝の血圧をコントロールすることが、発症予防として重要といわれています。
目的
血圧朝活では、患者さん自身が家庭で血圧を測定することで、自身の血圧を把握することを目的としています。
さらに、必要に応じて生活習慣や生活環境を改善することにより血圧を下げ、循環器疾患の発症リスクを減らすことも目的となります。具体的には、家庭での朝の血圧を125mmHg未満に保つことが1つの指標となります。
高血圧に対する取り組み
高血圧を発見・管理し、循環器疾患を予防・改善していくために、血圧朝活を含め以下のような取り組みが推奨されています。
キオスク血圧測定の普及と利用
日常生活で立ち寄りやすい場所に設置された血圧計(キオスク血圧計)で、利用者が自身の血圧を把握できるように促す試みです。フィットネスジム、医療施設、自治体の施設、職場などへの設置が進められています。
キオスク血圧測定により、自覚症状のない高血圧を早期に発見することが期待されています。キオスク血圧計を見かけたら、積極的に測定してみるとよいでしょう。
家庭での血圧測定の習慣化(血圧朝活)
キオスク血圧測定や健康診断など、公共の場での測定で130 mmHgを超えた場合、家庭での毎朝の血圧測定が推奨されています。血圧測定を通して、ご自身の朝の血圧を把握し、生活習慣の改善や医療機関の受診など、適切な対処につなげましょう。
具体的な測定方法の詳細については、後述の「血圧の測り方」を参照してください。
生活習慣・生活環境の改善
血圧を下げる取り組みとしては、まず生活習慣や生活環境の改善を図ります。「血圧を適切に保つための10のヒント」として、日常生活で実践するとよい事項がまとめられています。
具体的な実践方法の詳細については、後述の「血圧を適切に保つための10のヒント」を参照してください。
血圧の測り方
ご自身の血圧を正確に把握するためには、決められた方法で測定を行うことが重要です。血圧朝活では、以下の方法が推奨されています。
機器の選択
品質の保証がなされた血圧計を使用しましょう。また、上腕式血圧計と呼ばれる、上腕部にベルト(カフ)を巻き付けるタイプの血圧計を使用することが望ましいとされています。上腕式血圧計がない場合も、ご家庭の血圧計やキオスク血圧計を使用して測定するとよいでしょう。
測定のタイミング
起床後1時間以内に測定します。膀胱に尿がたまっている状態では血圧が上がりやすくなるため、測定前に排尿を済ませましょう。また、食事後には血圧が下がるといわれています。正確な測定のためにも、食事の前に測りましょう。
血圧を測る前に薬を飲むと、測定結果に影響を与える場合があります。朝に服用する薬がある場合は、服用のタイミングについて医師と相談するとよいでしょう。
なお、起床後1時間以内の測定が難しい場合は、午前中に測定した値を朝の血圧としてもかまいません。その場合は、測定した場所や時刻を記録しておきましょう。
測定方法
椅子に座った状態(座位)で1~2分間安静にしてから測定します。上腕(二の腕)にカフを巻いて、測定中はカフの中心が心臓の高さになるように保ちましょう。1分間の間隔を空けて2回測定し、その平均値をとります。測定した値は、あとで確認できるようにメモやスマートフォンアプリなどに記録しておくとよいでしょう。
血圧を適切に保つための10のヒント
血圧を適切な範囲に保つために、減塩をはじめとした生活習慣・生活環境の改善を行いましょう。日本高血圧学会は、日常生活で実践する事項として「血圧を適切に保つための10のヒント」を推奨しています。
1.食塩(ナトリウム)の摂取を減らしましょう
食塩は1日6g未満が目標です。食塩を多く含む漬物や加工食品を控えて低塩調味料・食品に替えましょう。味付にお酢、香辛料やハーブなどを使いましょう。食品を選ぶ際、栄養成分表示で食塩相当量を確認しましょう。麺類のスープを全部は飲まないようにしましょう。
2.カリウムを積極的に摂りましょう
カリウムの豊富な、野菜(350g/日)、果物(200g/日)、低脂肪の牛乳・乳製品を摂りましょう。減塩と共に積極的にカリウムを摂って「尿ナトカリ比」*を下げましょう。
注意:医療者にカリウム制限を指示されている方は除きます。
*「尿ナトカリ比」とは食塩の主成分であるナトリウムと、カリウムの比を示しています。ナトカリ比が高いことは食塩の摂りすぎに加えてカリウムの摂取不足が推測され、高血圧や心臓病、脳卒中などを起こしやすいとされています。
3.太りすぎに注意しましょう
BMI 25kg/m2以上の方は25kg/m2未満を目指しましょう。
4.運動する習慣を身に付けましょう
ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分以上、低強度の筋力トレーニングのようなレジスタンス運動(スクワットやプランクなど)は毎日20分、両方合わせて行う場合は週2~3回程度。合計で週200分程度が理想です。
5.アルコールの飲み過ぎに気を付けましょう
エタノールで男性20~30mL/日以下(おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当)、女性は10~20mL/日以下が目標です。
6.禁煙をしましょう
加熱式たばこなどの新型たばこも含めて喫煙をやめましょう。禁煙する際は食事内容や量に気を付け、運動をするなどして体重増加に注意しましょう。
7.寒すぎに注意
冬季室温は18℃以上をキープしましょう。寒い部屋では血圧が高くなる傾向があり、特に高齢者や高血圧の人では注意が必要です。
8.良質な睡眠をとりましょう
6~8時間の質の良い睡眠をとることは高血圧の予防や改善に役立ちます。
9.便秘を避けましょう
いきむことで血圧は上がります。便秘は心臓病や脳卒中とも関連します。毎日の排便を心掛けましょう。
10.リラックスを心がけましょう
ストレスは血圧を上昇させる要因です。できるだけストレスを避け、リラックスできる時間を持ちましょう。リラックスする方法は、静かな環境や運動、社交的活動や家族団らんなど様々ありますので、個々に合ったものを見つけましょう。
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受診の目安、検査・治療
ご自身の血圧を把握・管理することも重要ですが、必要に応じて医療機関の受診を検討しましょう。医療機関では検査や生活指導が行われますが、必要に応じて薬物療法が行われることもあります。
受診の目安
家庭で測定した際、収縮期の血圧が135mmHgであること、または130mmHg以上が続くことが受診の目安になります。健康診断やご自身での血圧測定で高血圧が疑われる場合は、かかりつけ医や循環器内科への相談を検討するとよいでしょう。
定期的な血圧測定を続けることで、一時的な血圧上昇なのか、継続してみられる高血圧なのかを判断しやすくなります。また、血圧測定の日時や結果の記録をつけておくと、受診する際に役立ちます。
医療機関での検査・治療
医療機関を受診した場合、問診や血圧の測定のほか、血液検査や尿検査などが行われることもあります。高血圧の原因としてほかの病気が考えられる場合は、必要に応じた検査が追加されます。
治療としては、まず生活指導が行われます。高血圧の患者さん自身が、血圧を適切な範囲にコントロールできるよう、食事や運動などについてのアドバイスが中心になります。
生活指導による血圧のコントロールが有効でない場合には、降圧薬と呼ばれる血圧を下げる薬の処方が検討されます。代表的な薬剤としては、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などが挙げられます。
そのほか、専用のアプリを使用して血圧や生活習慣の記録をとることも、ご自身の状態の把握・管理につながるとされています。医師が患者さんの状態を把握してアドバイスを行うことが可能なアプリもあるため、活用するとよいでしょう。
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