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角膜化学腐蝕

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

角膜化学腐食とは、何らかの化学物質が誤って眼に入ることによって起こる眼表面の障害です。薬剤によって眼表面の組織が直接障害され、炎症が引き起こされます。また、感染症を併発することがあります。さらに、障害の程度によっては、ひきつれ(瘢痕化)が起こり、長期的な管理が必要となることもあります。軽症の場合は後遺症を残さず回復しますが、重症の場合は失明に至ることもあります。

原因

化学腐食を引き起こす代表的な化学物質は、工事現場などの専門的な化学薬品だけなく、家庭で使用する化粧品や洗剤など身近なものもあります。アルカリ性のものでは生石灰、セメント・パーマ液・毛染め液・家庭用洗剤・カビ取り剤・シャンプーなどがあります。酸性のものでは、消火剤・バッテリー液などがあります。とくに化学物質がアルカリ性の場合、眼表面の障害にとどまらず速やかに眼球内に浸透するため、重症化することがあります。

症状

化学物質が眼に入ると、見えにくくなり、充血、涙目、強い痛みで、自分で目を開けるのもつらい状態になります。重症の場合は角膜全体が白く濁ったり、眼球とまぶたがくっついたりしてしまうこともあります。さらに、時間が経つとひきつれを起こしてしてまぶたが閉じなくなる兎眼(とがん)という状態になることがあります。また、緑内障白内障を引き起こすこともあります。

検査・診断

問診で眼に入った化学物質を特定し、その化学物質の濃さやpH(酸性やアルカリ性の程度)を把握します。そのため、原因となった化学物質本体や内容物がわかる容器などを受診時に持参すると治療に役立ちます。

一般的な視力検査、眼圧検査のほか、細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)で眼表面の障害の範囲を調べます。重症度を判定するには、結膜の充血をみたり、角膜の表面が剥がれた部位・範囲(角膜上皮欠損)などを観察したりします。特に、角膜と結膜の境界部(角膜輪部)がどの程度傷つけられているかを確認します。角膜輪部には、角膜の表面をおおう細胞を生み出す元となる細胞(幹細胞)があり、その部位が広範囲に傷つけられると、角膜の表面の傷が治らなくなるからです。また、重症の場合は角膜全体がすりガラスのように白く濁ることがあります。

治療

化学物質が眼に入ってしまった場合はすぐに治療を開始することが重要です。医療機関を受診する前に、ただちに大量の水で眼を洗います(洗眼)。洗面器などに水を貯めて洗顔するように洗うのではなく、その場で眼を開けたまま、水道水などの流水で10分以上持続的に洗眼します。医療機関を受診した後も、眼表面が中性になるまで生理食塩水などで持続的に洗眼します。

洗眼後、薬物療法を開始します。まず、感染予防のため、抗菌薬の軟膏や点眼を使用します。また、炎症を抑える目的でステロイド点眼を投与します。重症度によってはステロイドの内服や点滴を行うこともあります。

通常は角膜の表面が剥がれてしまっても回復しますが、回復しないときは治療用ソフトコンタクトレンズを装用し眼の表面を保護します。場合によっては外科的治療(角膜輪部移植など)を行います。

これらの治療をして痛みや充血などの症状が治まっても、のちに角膜に強い濁りが残ることがあります。その場合は外科的治療(全層角膜移植術や深層層状角膜移植術など)を行います。しかし、さまざまな治療を行っても、重症な場合は視力が回復せず失明に至ることもあるため、何より予防が大切です。危険な化学物質を扱う場合には、ゴーグル、防護メガネなどを装用し、できる限り化学物質が眼に入るのを防ぎましょう。

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