概要
貨幣状皮膚炎とは、貨幣・コインのような丸い形の皮疹が生じる病気を指します。貨幣状皮膚炎の皮疹は四肢や腰臀部に出現することが多く、かゆみを伴うことも特徴です。
どの年代にも発症する可能性がありますが、特に中年以降の成人に多くみられるといわれています。
原因や皮膚症状の強さもさまざまであるため、個々の状況に応じて治療方針を立てることが大切です。
原因
貨幣状皮膚炎の原因は完全には明らかになっていませんが、感染・細菌アレルギーとの関連が考えられています。また、いくつかの関連因子も指摘されています。
たとえば、やけどや引っ搔き傷、虫刺されなどによって皮膚が傷つくことをきっかけとして引き起こされることがあります。また、アトピー性皮膚炎やうっ滞性皮膚炎などの皮膚疾患に反応する形で生じることもあります。
そのほかにも、乾燥肌や金属アレルギー(ニッケルなど)、血流障害やむくみ、扁桃腺などの感染症、薬剤などがきっかけになることもあります。
症状
貨幣状皮膚炎では、四肢伸側や腰臀部などに皮疹が生じます。貨幣状皮膚炎の名称から推察されるように、貨幣やコインのように丸い形をしていることが特徴です。
貨幣状皮膚炎で生じる皮膚変化が、同時期に多数見られることもあります。皮膚症状は時間経過と共に水ぶくれになったり、かさぶたになったりすることもあります。
また、見た目の皮膚変化に加えて、かゆみやヒリヒリ感など自覚症状を覚えることもあります。症状が強い場合には、夜間の就寝が妨げられることもあります。
貨幣状皮膚炎で生じる変化は、時間経過と共に増悪(悪化)・軽快を繰り返すこともあります。また、洗剤や石けん、温度変化によって皮膚症状が変化することもあります。
検査・診断
貨幣状皮膚炎は、皮疹の形態的な特徴や全身での分布様式、自覚症状などをもとにして診断されます。
また、その他の病気や原因を調べるための検査が行われることもあります。たとえば、真菌をはじめとした感染症の存在が疑われる場合には、病変の一部を擦り取って顕微鏡で観察する検査が行われることもあります。
その他にも、アレルギーが疑われる場合にはパッチテスト、慢性炎症が疑われる際には血液検査が検討されることもあります。
治療
貨幣状皮膚炎では、皮膚の状態を良好に保つために保湿を心がけることが大切です。皮膚の反応を抑えることを目的として、ステロイドの塗り薬を用いることもあります。
ステロイドの塗り薬で対応ができない場合には、内服薬の使用、紫外線療法、免疫抑制剤の使用なども検討されます。また、細菌感染症が疑われる場合には、抗生物質も適応となります。
皮膚症状を放置することで病状が進行し、治療までの時間が長くなることも懸念されます。そのため、病気の存在が疑われる際には、早い段階で医療機関の受診を検討することが大切です。
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