治療
遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療には、発作時の治療、短期予防、長期予防の3つの目的があります。
発作時の治療
腫れやむくみなどの症状が現れているときに症状を抑えるための治療です。
保険診療では、C1インヒビター製剤、ブラジキニン受容体拮抗薬と呼ばれる治療薬が主に用いられます。C1インヒビター製剤は点滴・注射によって投与する必要があるため、治療には医療機関の受診が必要です。一方、ブラジキニン受容体拮抗薬は皮下注射する治療薬で、事前に医療機関でのトレーニングを受けていれば、自身で注射を打つこともできます。発作の部位によっては経過観察を行うこともあります。
喉に発作が現れた場合は呼吸困難をきたすことがあるため、ICUで気管内挿管、気管切開などの緊急治療が必要になることもあります。
短期予防
遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作は歯科治療や外科手術などのストレスがきっかけで発生することが多いため、ストレスの原因となる予定がある場合は、あらかじめC1インヒビターを補充する治療が行われることがあります。
長期予防
発作の頻度が高い場合(1か月に1回以上など)、1回あたりの発作の期間が長い場合(1か月に5日以上など)、発作が喉に発生したことがある場合などは、発作を予防するために長期的な治療を行うことがあります。
長期予防としては、トラネキサム酸、ダナゾール、ラナデルマブといった薬の継続的な投与が検討されます。ただし、トラネキサム酸、ダナゾールは保険適用ではなく、トラネキサム酸では効果が限定的であること、ダナゾールでは肝障害や高血糖などさまざまな副作用がみられることにも注意が必要です。
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