治療
治療の目的は感染症のコントロールですが、抗生物質や抗真菌薬といった治療薬では対応が難しいため、免疫細胞を再構築する必要があります。そのため、免疫細胞の根源となる造血幹細胞をほかの人(ドナー)から提供してもらい、患児の骨髄に移植する造血幹細胞移植を目指します。早期に病気を発見し、重症な感染症が発症する前にこの治療を行うことが理想的です。
造血幹細胞移植療法は、唯一、重症複合免疫不全症を完全に治すことのできる治療であり、基本的には全例がこの治療を目指します。HLA(組織適合性抗原)という型が一致するドナーから提供された造血幹細胞を移植することで、血液の根本の細胞を入れ替える治療です。大量の抗がん剤や放射線を用いて、はたらけなくなった骨髄内の免疫細胞と、正常の血液細胞まですべて破壊します。その後、ドナーから提供された造血幹細胞を移植し、それらが患者さんの骨髄にうまく適合してドナー由来の正常な免疫細胞ができてくるのを待ちます。
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