じゅうきんぞくちゅうどく

重金属中毒

最終更新日:
2020年08月31日
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2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

重金属中毒とは、金、銀、銅、鉄に代表されるような重金属が多量に取り込まれることで、体に異常が生じている状態をいいます。重金属とは、比重(水の比重が約1g/ml)が4以上の金属のことです。工業的に生産される多くの金属や、鉱物資源として活用されるレアメタルなどが、重金属にあてはまります。

一度に大量の物質を摂取することで起こる中毒とは異なり、重金属中毒のほとんどは、長期的に重金属にさらされることで起こる慢性的なものです。慢性的な重金属中毒は、公害の影響を受けた生活環境や、職場環境などを背景として起こります。中毒をきたす重金属の主な例として、水銀、銅、無機鉛、砒素(ヒ素)、クロムなどが挙げられます。

原因

重金属中毒の原因は、何らかの経路を通って体内に多量の重金属が取り込まれ、本来の体の仕組みに悪影響を与えることです。具体的には、以下のような経路を辿り、体内に取り込まれます。

  • 重金属を多く含む食べ物や飲み物を摂取する(経口)
  • 気体となった重金属を肺から吸い込む(吸入)
  • 皮膚に接触し続けた重金属が体内に入り込む(経皮)

金属の種類によっては、血管や全身の細胞に行き渡り、酵素のはたらきを阻む場合や、肝臓など一部の臓器に溜まり、臓器障害を起こす場合があります。また、重金属が入り込んだ経路に沿って組織を損傷したり、アレルギー反応を引き起こしたりすることによって、さまざまな健康被害がもたらされます。

症状

重金属中毒の症状は、原因となっている物質によってそれぞれ異なります。主なものとしては消化器系、血液系、呼吸器系(肺、気管支)、神経系の症状、腎機能障害などがあります。

  • 消化器系:吐き気、おう吐、腹痛、消化管出血、肝障害による黄疸や意識障害など
  • 血液系:貧血など
  • 呼吸器系:咳、たん、呼吸困難など
  • 神経系:不随意運動、平衡感覚の障害、けいれん、意識障害、抑うつなどの精神症状、発達障害など
  • 腎機能障害:蛋白尿、血尿、尿毒症による意識障害など

検査・診断

医療機関では、重金属中毒の診断のために、一般的な血液検査や尿検査などが行われます。神経系の症状がある場合は、頭部CTやMRI検査が追加されます。肝臓や腎臓などの障害が疑われた場合には、全身のCT検査が行われます。

また、中毒の原因物質を特定するため、血液、尿、毛髪、便などからの検出を試みます。このほか、原因物質がどの経路を通って体内へ入ったのか、何が原因となって中毒に陥ったのかを特定するため、患者さんの生活環境はどのようなものか、患者さんの周囲にも同様の症状がある人がいないかどうか、ひろく情報を集めることも重要です。

治療

中毒状態となって間もない段階の場合、中毒に対する一般的な処置として、以下の治療を行います。

  • 酸素投与
  • 点滴
  • 胃の内容物の吸引:鼻から胃に医療用の管を留置して、内容物を吸引します。
  • 活性炭や下剤の投与:吸収される中毒物質を減らすために、体外へのすみやかな排出を促します。

慢性の中毒の場合、拮抗剤がある場合には拮抗剤(キレート剤)を投与します。また、それぞれの症状に応じた治療を行います。肝障害に対しては肝臓を保護する薬、腎障害に対しては多めの点滴、呼吸器系に対しては酸素投与や人工呼吸器を含めた呼吸支持療法を行います。

これらの治療だけでなく、原因を追求し、再発を防ぐために患者さんの生活環境や職場環境を整えること(環境改善)を徹底するよう心がけることが重要です。

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