原因
胎児期の消化管の発生において、直腸や肛門は一時的に膀胱などと空間的なつながりを持っている時期があります。胎児がお母さんのお腹の中で成長するにしたがって、こうした空間的なつながりは断絶されます。女の子の場合には、尿道と直腸の間に子宮、膣が位置するように発生が進みます。しかし、こうした空間的な断絶過程が適切に進行しない場合、鎖肛の発症に至ります。
肛門から便を排泄する際、恥骨直腸筋を代表とする筋肉が主要な役割を担っています。鎖肛の治療や重症度を考えるうえで、消化管が閉鎖している部位と恥骨直腸筋との位置関係が重要です。鎖肛は両者の位置関係に応じて高位、中間位、低位の3つに分類されます。
鎖肛が生じる原因として、必ずしも生活習慣や遺伝性疾患が関わる訳ではありません。しかし、複数の遺伝子異常が積み重なることから鎖肛が発生すると考える研究者もおり、鎖肛の発生はさまざまな要素が複雑に関与しているものと考えられます。
また、VACTER症候群の一症状として鎖肛をみることもあります。
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