なんちせいぜんそく

難治性喘息

同義語
重症喘息
最終更新日:
2021年12月22日
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2021/12/22
更新しました
2021/12/16
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概要

難治性喘息とは、気管支喘息のうち一般的な治療を行っても効果を示さないもののことで、重症喘息とも呼びます。

気管支喘息は空気の通り道である気道に炎症が起こり、咳や呼吸困難などの喘息発作を繰り返す病気です。気管支喘息は吸入ステロイド薬を中心とした喘息治療薬を使用することで症状を抑え、支障なく日常生活が送れるよう治療を行います。

しかし、難治性喘息では吸入ステロイド薬やそのほかの喘息治療薬を併用しても十分な効果を示さず、発作を繰り返すために日常生活が制限されてしまいます。

日本の喘息患者全体でみると難治性喘息の患者数は多くありませんが、成人の喘息患者で約15%が難治性喘息であるといわれており、珍しい病気ではありません。

原因

難治性喘息をはじめとして、喘息は何らかの原因で気道に炎症が起こることで発症します。

気道に炎症が起こる原因にはさまざまなものがありますが、もっとも多いものはチリダニ、ハウスダスト、ペットのフケ、カビなどに対するアレルギー反応で、アトピー型と呼ばれます。一方、中には喘息の発症にアレルギーが関わっていない場合もあり、非アトピー型と呼ばれます。

喘息は非アトピー型がアトピー型に比べて難治化しやすいといわれており、そのほかの難治化の因子として肥満、副鼻腔炎(ふくびくうえん)、真菌、喫煙、アスピリン感受性、女性であることなどが挙げられます。そのほか、ストレスなどの心理的要因も難治性喘息の発作の原因となっていると考えられています。

症状

難治性喘息の主な症状は喘鳴(ぜんめい)(呼吸時のぜーぜー、ひゅーひゅーという音)、息切れ、咳、胸の締め付け感などで、これらの症状が発作的に繰り返されます。一般的には、夜間や早朝にひどくなりやすく、そのほかウイルス感染や運動、アレルゲンによる刺激などで引き起こされることもあります。

これらは難治性喘息以外の喘息にも共通する症状ですが、難治性喘息とそれ以外の喘息では発作の頻度や症状が異なり、未治療の難治性喘息の症状の特徴として、日常生活が制限されるほどの発作が毎日起こる、夜間症状がしばしばみられる、治療を行っても症状がしばしば悪化する、などが挙げられます。

検査・診断

難治性喘息は、喘息の診断を受けたもののうち、高用量の吸入ステロイド薬にそのほかの喘息治療薬の併用が必要になるもの、またはこれらの治療を行っても発作がコントロールできないものと定義されています。

喘息の診断は、喘息の特徴的な症状(発作的な咳や痰、喘鳴などの呼吸症状)を繰り返し、呼吸機能検査で気道の空気の流れが悪くなる気道閉塞(きどうへいそく)の状態が認められること、気管支拡張薬と呼ばれる薬の使用で呼吸機能が改善することなどが目安となります。また、気道の慢性的な炎症状態を検査するため、呼気NO濃度測定や末梢血好酸球数(まっしょうけつこうさんきゅうすう)の測定といった検査が行われることもあります。

難治性喘息の場合は、特に喘息に似たほかの病気との鑑別が重要になるため、胸部X線、胸部CT、心電図、一般的生化学検査などを行うこともあります。

治療

難治性喘息の治療は薬物治療を中心に行います。しかし、難治性喘息の場合は薬物治療を行っても十分な効果を示さないことがしばしばあり、そうした場合はそのほかのアプローチが必要になります。

薬物治療

喘息の薬物治療には、喘息発作のコントロールと発作治療の2つの目的があります。

喘息発作のコントロール

日常的に喘息治療薬を使用し、喘息発作が起こらないようにする治療です。

症状に応じて用いる薬の数や種類が異なり、難治性喘息の場合は高用量の吸入ステロイド薬に加え、長時間作用性β2刺激薬、長時間作用性抗コリン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤、抗体製剤、経口ステロイドといった薬を組み合わせた治療が行われます。

発作治療

喘息発作が起こったときに発作症状を抑える治療です。短時間作用性吸入β2刺激薬と呼ばれる、短時間で作用して気管を広げる薬を使用します。

薬物治療の効果が不十分な場合の治療

薬物治療を行っても十分な効果が得られない場合の治療として、気管支熱形成術と呼ばれるカテーテル治療があります。

また、薬物治療に効果を示さない原因が服薬順守状況や薬の使用方法など、喘息以外の場合もあるため、これらを見直すことが有効であることもあります。

ほかに喘息を重症化させる合併症がないか、これらの合併症の治療が正しく行われているか、喘息を悪化させる薬剤を服用していないか、日常生活で喘息を悪化させるような因子がないかなどの評価も重要となります。

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