概要
頭皮湿疹とは、頭皮にできる湿疹の総称です。湿疹はさまざまな原因から生じますが、原因不明のものについては、発症後数日しか経過していない“急性湿疹”、または症状が長く続いている“慢性湿疹”と呼ばれます。急性湿疹は炎症が強く、かゆみが生じやすいのが特徴ですが、慢性湿疹では皮膚が厚くなったり硬くなったりしやすいといわれています。
頭皮湿疹の治療方法は原因に合わせて、炎症を鎮めるステロイドの塗り薬や抗真菌薬などが検討されます。湿疹を引っかいてできた傷から細菌感染が起きると、膿痂疹*などを引き起こす可能性があるため、頭皮への刺激はできるだけ避けることが重要です。
*膿痂疹:黄色いかさぶたや膿を伴う小さな水疱(水ぶくれ)を生じる皮膚感染症の1つ。黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌のどちらか、あるいは両方が原因となる。
原因
頭皮湿疹は主に以下のような原因が考えられます。しかし、中にははっきりした原因が分からないケースもあります。
脂漏性皮膚炎
頭皮をはじめとした皮脂分泌が盛んな部位に生じる湿疹で、マラセチアという常在菌が発症に関わっているといわれています。環境の変化に伴って皮脂分泌や成分が変化することやビタミンの代謝異常のほか、ストレスなども原因の1つであると考えられています。
接触皮膚炎
シャンプーなどのヘアケア製品に含まれる薬剤が頭皮に刺激を与えたり、ヘアアクセサリーなどがアレルギーを引き起こしたりして湿疹を引き起こすことがあります。
皮脂欠乏性湿疹
皮脂が失われることで頭皮が乾燥し、皮膚のバリア機能が低下して湿疹ができることがあります。もともと頭皮の皮脂分泌が少ないことや、過度なシャンプーのような誤ったヘアケアなどによって引き起こされます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎では、乾燥などが原因となり皮膚のバリア機能が低下します。結果として湿疹を生じますが、頭皮に湿疹を引き起こすこともあります。
症状
頭皮湿疹の症状の現れ方は原因により異なりますが、主に以下のような症状が現れます。
- 皮膚が赤く盛り上がる
- 小さなプツプツができる
- 水ぶくれができる
- 皮膚の一部がただれる
- かさぶたができる
- 皮膚の表面が剥がれ落ちる
また、原因不明の湿疹では、急性湿疹では一般的にかゆみが強いとされています。一方、慢性湿疹は湿疹を生じている部位が硬く盛り上がり“苔癬化”することが特徴です。
検査・診断
頭皮湿疹は視診や問診、かゆみの有無などから診断されます。しかし、頭皮湿疹の中には感染症などの病気が原因となるものもあるため、病気が疑われるときは病変部の組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査や血液検査を行う場合もあります。
また何らかの物質へのアレルギーが疑われるときは、原因と考えられる物質を皮膚に付着させて反応を調べるパッチテストが必要になることもあります。
治療
頭皮湿疹の治療方法は原因によって異なりますが、基本的には炎症を鎮めるためにステロイドの塗り薬を使用します。真菌や細菌感染を原因とする頭皮湿疹では、併せて抗真菌薬や抗菌薬などが用いられる場合もあります。
また、かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬、炎症が強い場合にはステロイドの飲み薬などが必要になることもあり、症状の重症度によって治療方法を検討します。
なお、原因が不明な場合でもステロイドの塗り薬によって症状が改善することがありますが、自己判断で塗り薬を使用すると、症状の悪化や副作用が生じる可能性があるため医療機関の受診が推奨されます。
予防
頭皮湿疹はさまざまな原因によって引き起こされますが、予防のためには以下の点に注意が必要です。
頭皮への刺激
体質に合わないシャンプーやヘアケア製品などは頭皮にダメージを与え、炎症の引き金となります。頭皮に刺激を感じるようなものは使用を控えましょう。
頭皮の乾燥
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下して、炎症が起こりやすくなります。髪の洗いすぎや紫外線の刺激はできるだけ避け、頭皮を乾燥させないことが大切です。
アレルギー物質
アレルギー症状が引き起こされ、湿疹の原因になることがあります。金属製のヘアアクセサリーをはじめ、ハウスダストや花粉などアレルギーを引き起こす可能性があるものには十分注意しましょう。
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