原因
角膜から眼の中に入った光は、水晶体や硝子体と呼ばれる透明な部分を通過して、眼球の中を裏打ちする網膜と呼ばれる部分に到達します。網膜とは眼の中に張り付く形で存在する神経で形成される膜であり、物体情報を脳へと送り込み、視覚として自覚するに際して重要な役割を果たすことになります。ものの見え方に重要な役割を果たす網膜ですが、網膜にて感知される視力は網膜全体を通して均一というわけではありません。
よく見える場所、視力の形成にそれほど重要なインパクトを有さない場所など、部位に応じた視力の違いが存在しています。網膜の中でも中心窩と呼ばれる部分は最も視力に鋭敏な部分で、中心窩を囲う形で黄斑と呼ばれる部分が存在しますが、この部分も視力の形成になくてはならない生命線としてのはたらきを示しています。
黄斑上膜は、ものの見え方に重要な黄斑部にセロファン状の膜が形成されてしまう病気です。眼球の内部には硝子体と呼ばれる物質が本来は網膜と密着した形で存在しています。年を重ねると、後部硝子体剥離と呼ばれる反応が生じ硝子体の後方部分が網膜から離れていくようになります。後部硝子体剥離は40歳頃から加齢現象の一部分として生じるようになりますが、この変化の一部として硝子体の膜が黄斑部に残存してしまうことがあり、黄斑上膜が発症することになります。
加齢現象に付随して発症することの多い黄斑上膜ですが、外傷やぶどう膜炎、網膜裂孔、網膜剥離の手術後などに続発症として発症することがあります。
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