概要
鼻骨骨折とは、鼻の上半分を構成する鼻骨に生じる骨折のことを指します。鼻骨は薄い骨であり、顔面に対しての外力をきっかけとして骨折が生じやすく、比較的頻度の高い骨折です。
軽く肘が当たるなどの軽微な外力で生じることが多いですが、時に、より大きな外力が加わることによって鼻骨以外の部位にも同時に骨折が生じることもあります。
原因
顔面・鼻に対して外力が加わることが原因で発症します。鼻の穴の入り口付近は軟骨で覆われていますが、鼻の根元に相当する部分は鼻骨とよばれる部分であり、この部分に対して外力が加わることで鼻骨骨折が生じます。
鼻骨は比較的薄い骨であるため、軽微な外力でも骨折が生じやすいです。喧嘩によって顔面を殴られる、スポーツ中のフィジカルコンタクトで顔面に外力が加わるなどの状況で鼻骨骨折が生じます。
また、転んで顔面をぶつける、交通事故で鼻をぶつけるなどでも鼻骨骨折に至ることがあります。さらに虐待の一症状として鼻骨骨折が生じている可能性もあります。
症状
鼻骨骨折が生じると、骨折が生じた部位に痛みが生じます。局所を押さえると痛みは増強し、鼻血も同時に見られます。骨折によって鼻骨の形が変形してしまい、外から見た際に鼻が歪んで見えることもあります。
鼻骨の変形に関連して、空気の通り道としての鼻の穴の大きさに著しい左右差が生じてしまい、鼻が詰まったような感覚や、息苦しさを覚えることもあります。また、骨折を生じた部位周辺に出血斑やむくみが生じることもあります。
大きな外力が加わることによって鼻骨骨折が生じた場合には、鼻骨以外の部位も同時に骨折が生じる可能性があります。このことと関連して、たとえば眼の動きが異常を示し、ものの見え方がはっきりしなくなることもあります。
また、頭蓋底の骨折を同時に併発すると、透明な髄液が鼻から鼻水のように漏れてくることもあります。この際には、環境中に存在する病原体が逆行性に中枢神経へと入り込み、髄膜炎を続発し頭痛や発熱などを引き起こすこともあります。
検査・診断
鼻骨骨折では症状の重症度に応じて、骨折状況を確認するためにレントゲン写真やCTといった画像検査を行うことを検討します。症状の項目でも記載した通り、外力の加わり方によっては骨折が鼻骨に限局するばかりではなく、別の骨を同時に骨折していることもあります。そのため、鼻以外に対しての画像検査が検討されることもあります。
治療
鼻骨骨折を放置することで鼻が変形してしまったり、鼻の通りが悪くなってしまったりします。このことを防ぐために、鼻骨骨折は手術にて治療を行います。具体的には、鼻の中に手術器具を挿入して治療を行うため外表からの傷はありません。
手術によって骨の変形を整復し、鼻の内部・外部から骨を固定して骨のずれが再発しないようにします。年齢に応じて、局所麻酔もしくは全身麻酔が適宜選択されます。
鼻骨骨折は発症から時間が経過すると治療がより複雑になるため、外傷が生じた早い段階で治療をおこなうことが大切です。
医師の方へ
「鼻骨骨折」を登録すると、新着の情報をお知らせします