原因
HIVは体液中に存在し、精液や腟分泌液、血液、母乳などに含まれるHIVが粘膜や傷口から体内に侵入することで、ヒトからヒトへの感染が成立します。そのため、感染原因としてHIVの治療を行っていない陽性者との性行為による感染が多いとされるほか、血液感染や母子感染などが挙げられます。
ただし、HIV陽性者であっても、抗HIV薬を服用して血中のHIVウイルス量が検出感度以下の状態を6ヶ月以上維持している場合には、ほかの人にHIVが感染することはありません。
一方で、HIVの治療を行っていなくても汗、涙、唾液、尿、便といった体液に含まれるウイルス量はごく少量で、HIVは感染力が弱く体外に出ると感染力を失うといわれています。そのため、これらの体液の接触によって感染することはありません。キスやハグ、握手などの身体的接触や物品の接触、飲食物の共有などの接触によって感染することもないとされています。
性行為などの接触によって体内に入ったHIVはCD4陽性細胞にくっつき、この細胞の中を利用して増殖します。CD4陽性細胞は、免疫細胞の中でも司令塔のような役割を持っています。そのため、HIVが増殖してCD4陽性細胞が壊されると、司令塔を失った免疫系は正常にはたらかなくなり、結果として免疫力が低下していきます。
また、感染してから無治療のまま経過すると、数年のうちに日和見感染症や悪性腫瘍、神経障害など、さまざまな病気を合併する“進行性HIV疾患(AIDS)”と呼ばれる状態になります。
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