院長インタビュー

地域に根ざした病院を目指して―三州病院の取り組み

地域に根ざした病院を目指して―三州病院の取り組み
横山 憲三 先生

横山 憲三 先生

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この記事の最終更新は2018年10月02日です。

三州病院は、1988年に個人病院として宮崎県都城市に開設されました。1991年に医療法人「倫生会」を設立し、現在に至ります。

2018年8月現在は病床数67床を有し、急性期から緩和ケアまで幅広い医療を提供しています。そんな三州病院では、現在どのような取り組みがなされているのでしょうか。理事長と院長を兼任される横山 憲三先生にお話を伺いました。

病院外観 三州病院ご提供

三州病院は、消化器、乳腺、肛門、循環器を中心とした急性期医療を行っている病院です。がんの診断・治療(外科・化学療法)を行う当院では、2000年に緩和ケア病棟「さくら」、2009年に同じく緩和ケア病棟「すみれ」を増設し、がんの初期から終末期まで切れ目のない医療を提供しています。

当院は、消化器疾患を中心に肛門や乳腺などの外科、循環器や肝臓などの内科の診療を行っています。各診療科も常勤・非常勤の担当医師で診療しています。

また、手術中の病理診断が可能です。私自身ががんの外科治療には病理部門を院内に持つことが必要であるとの考えから、開院当時から病理部門を有し、術中迅速切片作成、永久標本作成を行っています。現在バーチャルスライドを用いた遠隔術中迅速システムを使って、他医療機関で診断してもらうシステムも導入しています。

当院の規模では対応が難しい手術に関しては、関連大学の附属病院に紹介しています。

すみれ病棟 三州病院ご提供

当院では2000年5月に緩和ケア病棟を立ち上げ、がんに伴う心身の痛みや苦痛の軽減のための医療を提供しています。また、緩和ケアを院外にも広めていくため、1999年に都城緩和研究会を立ち上げました。医師や看護師、薬剤師などさまざまな職種が集まり、テーマを設けて研究発表なども行っています。
宮崎県全体でも、宮崎県ホスピス緩和ケアネットワーク作りに参加し、毎年都城緩和ケア研究会と共催して研究会を行っています。また、都城緩和ケア研究会の事務局を務めています。県内でもいち早く緩和ケア病棟を取り入れた病院として、緩和ケアの普及、啓蒙活動にこれからも努めてまいります。

緩和ケア病棟のカンファレンスのご様子 三州病院ご提供

地域の方々に向けて行っている取り組みとして、三州健康教室があります。毎月1回、テーマを変えて開催し、2018年8月には開催200回目を迎えます。テーマによって差がありますが、毎回60〜80名くらいの方に参加いただいています。

講師には鹿児島大学や宮崎大学の教授や院外の著名な方を講師に招いており、当院の医師やスタッフが務めます。地域の方々に参加していただき、健康に対して関心を持ってもらう場としています。

中村総看護師長 三州病院ご提供

当院では、2016年から教育担当師長を置いて、看護師教育の見直しを行いました。大きな病院では教育体系が整っていますが、個人病院や中規模病院では現場教育を行っているところが多く、三州病院もそうでした。しかし、現場教育だと、疑問に思ったことをタイムリーに聞けるような指導者がいない場合もあります。それが、職員の離職にもつながっていました。そこで、パートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)を導入したのです。

PNSでは、先輩看護師とペアを組んで「一緒に考え」「一緒にケア」を実践していきます。この体制を整えたことで、新入職員や中途採用者の方の不安の軽減につながり、職場全体が教え合い、育つ環境となりました。この体制としてから新人看護師、中途採用者の離職はゼロとなりました。

中途採用の職員のなかには、ブランクがあって自信がないという方も多いです。そういった方のために、点滴などの実習が行える技術研修室を備えています。そこで実技を復習して、その後は個々の教育の背景や力量に応じて中途採用者教育プログラムに沿った教育を行っています。

当院では、専門看護師や認定看護師といった、専門性の高い看護師たちが活躍しています。教育の理念としては、急性期は急性期のみ、緩和ケアは緩和ケアのみではなく、急性期から緩和ケアまで広く専門性を捉えた、よりよい看護実践ができる看護師を育てたいと考えています。

本人の希望に合わせて資格の取得ができ、進みたいキャリアの道筋が見えるような教育を行うことが、指導する側としては大事だと考えています。

女性の職員が多いため、「はたらく子育て支援」という時短勤務などの職員サポートを積極的に行っています。育児休暇は皆さん取得されていますし、休暇が開けて復帰するときには保育所の送迎の関係などで限定的にしか働けない方も多くいます。そういった場合も、職員同士で助け合いながら、ライフスタイルに合わせた働き方ができるように、病院としても配慮しています。

また、当院は全員参加の行事を開催していることも特徴的です。お花見やボーリング大会、忘年会、餅つき大会などを毎年開催しております。年末に行う餅つき大会でついた餅は、院内に飾る鏡餅に使われています。お花見には職員の子どもたちが参加しており、とてもアットホームな雰囲気です。

当院はこれからも、急性期病院としての体制を強化していきたいと考えています。特に、消化器疾患の手術を中心に、整形外科手術にも対応できるように準備していくつもりです。

大学病院などで行うような高難度な手術でない限り、消化器・整形外科手術が必要になったときに、地域の皆さまが「三州病院があるから安心だ」と思える病院でありたいと思います。

2018年7月には、訪問看護ステーションを立ち上げました。自力で病院を受診されることが難しい方に往診や訪問看護を行っていきます。在宅療養が難しくなったら、当院の急性期病棟、緩和ケア病棟などへ入院することも可能です。特に当院ががん治療を行っていること、緩和ケア病棟を有する等の特徴から将来的にはがん患者に特化した訪問看護を目指しています。患者さんの状況に応じた医療を提供できるよう、これからも職員一同邁進してまいります。

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