公益財団法人 淀川勤労者厚生協会附属 西淀病院(以下、西淀病院)は、大阪府大阪市の西北部、西淀川区に位置しています。1947年の開院以来、2006年に回復期リハビリテーション病棟、2014年に地域包括ケア病棟を開設するなど、診療体制の充実を図り、より多くの患者さんのニーズに応える病院として地域に貢献し続けてきました。また、どのような方でも気軽に相談できる空間づくりを目指し、患者さんに寄り添った医療の提供を心がけています。
西淀病院の病院長である大島 民旗先生に、病院の特色や今後の展望についてお話を伺いました。
当院では、患者さんに気軽に受診していただきたいという思いから、2013年に総合外来を開設しました。当院には、日本プライマリ・ケア連合学会に認定された家庭医療専門医・指導医に加えて幅広い診療能力を持った内科医が在籍し、病気に関するさまざまな相談に応じています。家庭医の特徴は、患者さん個人のことだけでなく、ご家族の状況や生活、仕事上のことなども含めて幅広く総合的に関われることです。
患者さんのなかには、気になる症状があっても受診すべき診療科がわからず、悩んでしまう方がいるのではないでしょうか。受診をためらっている間に病気が進行してしまうこともあれば、反対に、すぐに専門的な治療をする必要がない場合もあります。総合外来では、ご自身の症状や心配事についてまず相談していただければ、診察や初期対応を行い、必要だと判断した場合にはより適した診療科へ紹介をしています。
最近では、「費用・生活のことが心配」という方も増えており、医療相談員がその場で相談にのり、無料低額診療制度などの活用を助言させていただきます。
当科では、通常の午前診療以外にも平日の午後、毎週火、水、金曜日は夜間診療を行っています(2019年2月時点)。日中の受診が難しい患者さんも多いことから、夜間診療のない日は時間外診療となりますが、症状があれば当院では断らずに診療を行っています。
病気のことで不安がある場合や、体の不調を感じる場合には、遠慮なくご相談いただければと思います。
当院は入院ベッドの半分は急性期治療を行う病棟ですが、残りの半分は回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟をもつケアミックス型と言われる構造をしています。
急性期治療を行う一般病棟では、心臓カテーテルなどの侵襲の大きい治療を除いたほとんどの内科分野の病気と整形外科分野の病気に対する手術などに積極的に対応しています。
回復期リハビリテーション病棟は、脳の血管系の病気や骨折の患者さん、肺炎などの急性期の治療中に安静にしていたことで体力が低下した患者さんに対して、集中的にリハビリテーションを行っています。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフが在籍し、それぞれの専門知識をもって協力しながら、リハビリテーションを行います。さらに、365日対応できる環境も整えているため、切れ目のないリハビリテーションが可能です。
病棟はジャーマンカモミールというハーブの白い花をモチーフにした、明るい作りになっています。「逆境に負けない強さ」がジャーマンカモミールの花言葉で、「逆境に負けず、人生の紡ぎ直しをサポート」するという思いを込めています。
近年では高齢化が進み、急性期の病院を退院することになっても、自宅に戻ったあとの介護体制が十分でなく、退院後の生活に支障が出てしまうことなどが問題視されています。当院では地域包括ケア病棟を開設し、在宅生活を過ごすための準備や、新たな施設への退院調整、家で介護をされる方に何らかの問題が生じ介護が困難になった患者さんのレスパイトなどの役割を担っています。
また、1日でも早い在宅復帰や施設への入所を目指して、リハビリテーション科と連携し、患者さんに必要な生活のためのリハビリテーションも取り入れています。これからも、急性期治療を終えた患者さんおよび自宅で療養している患者さんへの、積極的なサポートを行っていきます。
当院では、患者さん一人ひとりに適した医療を提供するという病院としての機能に加えて、地域と一体になれる空間を構築していきたいと考えています。
病院は「病気になってしまった人が立ち寄る場所」と考えている方は多いかもしれません。しかし当院は、病院という場所を、病気を抱えている患者さんだけでなく、健康な人も気軽に立ち寄れる空間にしていきたいと考えています。そうすることで、医師や看護師などに気兼ねなく話や相談ができる空間になり、体の健康だけでなく心の健康にもつながることを期待しています。私たちは、患者さんや地域の皆さんに寄り添い、受診しやすい病院づくりに努めていきます。
当院では、健康上の悩みだけでなく、生活上の悩みに関するご相談にもしっかりと耳を傾ける姿勢を心がけています。悩みがあるときには抱え込まず、お気軽にご相談ください。また、近所にお住まいの方の中にも、病気を我慢している方がいらっしゃったら、病院で相談することをご提案いただければと思います。
気軽に受診できる病院を目指していきますので、当院をこれからもよろしくお願いいたします。
地域の医療機関の皆さんには、日頃より大変お世話になり、深く感謝しております。当院では、急性期医療をはじめ、一般病棟で治療を終了した患者さんの支援や、救急車の搬送の受け入れにも対応するなど、診療体制の充実に努めてきました。地域に求められる医療機関としての役割を果たしていけるように努めますので、今後ともご協力をお願いいたします。
若手の医師の皆さんには、勤める病院の状況や、病院に対して患者さんがもつ印象を客観的に認識して、患者さんが取り残されることのない医療を構築してほしいと思います。
たとえば、大学病院や総合病院に対して、「軽い症状なのに受診するのは大げさだ」「混雑していて相談しにくい」といったイメージを持ち、受診することに抵抗を感じてしまう患者さんがいらっしゃいます。そういった患者さんは、地域の病院や診療所などのほうが親しみやすく、受診しやすいとおっしゃるかもしれません。
大学病院や総合病院などで働くことを目指す場合、もしくは地域の病院や診療所で働くことを目指す場合のどちらであっても、広い視野を持ち、患者さんの気持ちに寄り添った医療を心がけてほしいと思います。また、地域に近い病院で医師としての人生を過ごしたい方がいたら、ぜひ私たちと一緒に、地域の健康増進と患者さんの幸せを生み出す病院づくりに取り組んでいきましょう。
西淀病院 副院長
西淀病院 副院長
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医・指導医日本内科学会 総合内科専門医・内科指導医日本呼吸器学会 呼吸器専門医日本禁煙学会 禁煙専門医
京都府立医科大学を卒業後、当時では珍しい一般市中病院での研修を開始し、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医を取得後、より地域住民のニーズにこたえる医療を展望し、日本プライマリ・ケア連合学会の理事も務めながら、家庭医療専門医の育成などを目的に大阪家庭医療・総合診療センターのセンター長として活動。
診療所長を経て病院長となり、2021年より法人副理事長、副院長、回復期リハビリテーション病棟医長、透析部門責任者としても活動している。2022年より同一法人相川診療所院長となる。
大島 民旗 先生の所属医療機関
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。