連載「健康経営の最前線」ー現場に聞いたリアルストーリー

IT企業ならではのデジタルを駆使した取り組みと、経営層と現場の双方向コミュニケーション―株式会社キューブシステムの健康経営

公開日

2025年03月03日

更新日

2025年03月03日

更新履歴
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「健康経営」とは、従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実施することです。企業理念に基づき従業員などへの健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上などの組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待され、経済産業省により2016年に「健康経営優良法人認定制度」が設立されました。

2022年から3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されている株式会社キューブシステム。企業の持続可能な成長と従業員の健康の両立を目指し、多彩な施策を展開しています。具体的な施策や成果、今後の展望などについて担当者に話を伺いました。

「健康経営」はサステナビリティに寄与する重要課題

――健康経営を始めたきっかけについて教えてください。

弊社ではもともとCSR(企業の社会的責任)活動の観点から、企業が持続的に成長するためには社員の健康がもっとも重要な資本であると認識していました。そのなかで世間的にもサステナビリティ経営の一環としてESG(環境・社会・ガバナンス)が重視されるようになり、弊社でもサステナビリティに寄与する重要な経営課題として健康経営に注力し始めました。

企業理念や行動指針として従業員の健康を大切にする文化は根付いていましたし、経営者にも「従業員の健康は付加価値を生み出すもっとも重要な資本である」という考えがあるので、今では健康経営をさらに進めた従業員一人ひとりの心身の健康、働きがい、そして組織への帰属意識を高める「ウェルビーイング経営」を目指して取り組んでいるところです。

デジタルで遊びゴコロを取り入れ、健康への意欲を促進

――推進体制や具体的な施策についてお聞かせください。 

サステナビリティ推進室を中心とし、人事、総務、社長室、事業企画など多くの部門が一丸となって進めています。

具体的な施策としては「ヘルスシェアプロジェクト」を立ち上げ、社員の健康促進に向けたさまざまなイベントやセミナーを社内で企画しつつ、外部とも連携して幅広く展開しています。これまでに、健康を意識した食事セミナーやストレスマネジメントに関するワークショップの開催、ヘルスケア領域に強い企業と連携しスマートウォッチを使って行う健康データ測定や管理栄養士による食事アドバイスなどを実施してきました。

社内ではDX事業推進室が開発したウォーキングアプリで社員の日常の歩数をランキング化したり、歩数に応じてもらえるポイントでアプリ内のアイコンを変更できたりといった、楽しみながら運動できる施策にも取り組み中です。

最近では「歩こうキャンペーン」という社内ゴルフコンペでカートを使わずに歩いた歩数を競うイベントを実施したところ、新規の参加者が多く、これを機にゴルフを始めた従業員もおり、運動習慣作りのきっかけにもなっています。今後は近隣の山をハイキングするイベントも開催する予定です。

またIT企業としての強みを生かし、社内の仮想通貨「キューブコイン」を独自開発、ピアボーナスとして活用することで、従業員同士のコミュニケーションが生まれ、エンゲージメント向上を図っています。

『上から、下から、真ん中から』全方位からの施策展開

――健康経営を社内に浸透させるために工夫されていることはありますか?

弊社では社長が月に1回、全社員に向けて配信しているメールの中で、「社員の健康が会社の健全な成長を支える要素である」というメッセージを度々伝えています。年に1回全社員が一堂に会する機会でも、健康に留意してプロジェクトを進めるよう強調して伝えており、従業員の中でも徐々に健康意識が高まってきている段階です。

さらに、弊社はエンゲージメントを重視しており、『エンゲージメイト』と呼ばれる社員グループを設け、アイデアを出しあったり、自部署の取り組みを発表しあったりしています。今後はよいと思った取り組みに投票できる仕組みをつくり、グランプリには『キューブコイン』を付与するなどの展開を検討中です。

このように、経営層からの発信だけでなく、イベントなどを通して現場からの声を拾ったり、有志が集まって意見交換したりといった『上から、下から、真ん中から』の施策展開が弊社の健康経営の強みだと思います。

従業員の健康を「非財務目標」に掲げ、地道に努める

――今後の課題や目標についてお聞かせください。

従業員の健康と組織としての業務のバランスを適切に取ることが今後の課題です。納期と労働時間の問題は永遠のテーマですが、そこの調整を図り、心身ともに健康な状態で働きがいを持ち続けられる環境を作っていくことが重要だと考えています。

コロナ禍を経て多様な働き方が重視されるようになるなか、オフィスワークとリモートワークの使い分けも行っていますが、リモートワークで疎外感を感じてしまう人のメンタル面への配慮も継続していく必要があると考えています。

非財務目標に掲げている従業員が「心身ともに健康でやりがいを持って働く」姿を実現すべく、ITの活用や従業員との対話を重視しながらコツコツと励んでいきたいです。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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