2025年02月26日
2025年02月26日
更新履歴2016年に経済産業省は、企業が従業員の健康に投資することで、従業員の活力向上や生産性向上など組織の活性化につながり、業績向上や株価向上に寄与することを期待して、「健康経営優良法人認定制度」を設立しました。
また認定企業のうち大企業法人部門の上位500社を「ホワイト500」、業界を代表し健康経営に取り組む企業には「健康経営銘柄」など区分して顕彰制度を設けています。
2017年から「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に計4年間、「健康経営優良法人(ホワイト500)」に計4年間、合計8年認定されているNTTコミュニケーションズ株式会社。メンタルとフィジカルの両面から従業員の健康を支える取り組みに力を入れています。具体的な取り組みやその効果、今後の展望などについてヒューマンリソース部EXデザイン部門の皆さんにお話を伺いました。
―健康経営を始めた背景や基本方針について教えてください。
弊社の健康経営は、2016年の健康経営優良法人制度の創設とともにスタートしました。制度が導入されたことで企業が従業員の健康を重視し、よりよい働く環境を提供しようとする意識が社会的にも高まったと感じています。
弊社の基本方針としては、会社、労働組合、健康管理センターの三者がしっかり連携して効果的に推進していくことを大切にしています。健康経営優良法人認定制度がスタートする前の2005年から、弊社ではすでにメンタル不調の対策として「メンタルヘルス委員会」を立ち上げ、三者で従業員のメンタルヘルスケアに取り組んでいました。健康経営がスタートしたことで、2018年に「ウェルネス推進委員会」という名前にアップデートし、フィジカルヘルス対策にも取り組みを広げています。
メンタルとフィジカルの両面からトータルで従業員の健康をサポートする施策を早い段階から実施してきた点が弊社の健康経営の特色です。
「ウェルネス推進委員会」は毎年春に開催して、当年度の特定保健指導の対象者率や、企業側が健康管理を必要とする要健康管理者・休職者の割合などの具体的な目標値を決め方針を議論しています。この委員会には副社長も参加します。春の会議から半年後には中間報告として施策の効果検証を行い、必要に応じて軌道修正しながら取り組んでいます。
―コロナ禍で、従業員の健康状態に大きな変化はありましたか?
コロナ禍でリモートワークが導入されたことにより、メンタルヘルスの疾患者の割合が一時的に減少しました。その後、孤独感や疎外感を感じる従業員が増加し、再び増加傾向となりました。
そこでメールやチャットを中心にコミュニケーションをとるのではなく、Teams会議を推奨し、相手の表情や様子を把握できるようにしました。カメラをオンにすることで相手の表情に加え身だしなみなどの視覚的情報も得られ、上長にはそれらの情報を踏まえたラインケアの実施を推奨することでコミュニケーションの質を高めることができました。
また、新入社員に対しては配属3か月後に保健師との面談を実施するほか、仕事や私生活に関する相談ができるメンターをつけることで、いつでも相談しやすい環境を整えています。
―効果の高い取り組みとしてどのようなものがありましたか?
チームマネジメント研修や睡眠改善施策などが効果的でした。チームマネジメント研修は部下にメンタル不調を抱える上長向けの研修です。上長の負担軽減やメンタル不調者の新規発症・再発防止を目的として、メンタル不調となった部下本人、周囲のメンバーへのサポート方法や再発防止策などを学んでもらいました。 睡眠改善施策では、NTTグループの「ねむりの応援団」というサービスを活用し、睡眠センサーで睡眠を可視化し、睡眠アドバイザーからデータに基づいたアドバイスを受けることで、睡眠の質の向上を目指しています。トライアルでは施策参加を希望した300名以上の社員に参加してもらい、睡眠の質の向上、心身のストレス軽減、そして労働生産性向上といった効果がみられました。そのため今年度は、ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員や、メンタル不調で休職した従業員の復職支援に、このサービスを活用していく予定です。
他にもウォーキングイベントを定期的に開催し、楽しみながら健康増進を促しています。たとえば、看板などに書かれた文字を写真に撮り、次の人にしりとりでつなぎ文字数を競いながら歩く「写真でしりとり」など、ユニークな企画で参加者のモチベーションを高めています。チームで協力しながら楽しく歩くことで、運動不足解消だけでなく、コミュニケーション活性化にもつながっていると感じます。
―最後に今後の展望についてお聞かせください。
今後はデータの可視化と仕組みづくりを重要なテーマとして掲げています。特に、先述の睡眠施策の例のように、成果・効果をデータで示し、根拠ある情報を提供して従業員の行動変容を図ることで、健康施策を進めていく方針です。NTTグループの提供する各種サービスを活用しながら自社独自のデータを生かした施策展開ができる仕組みづくりもしていきたいです。
従業員の成長を促進し企業全体の成長にも寄与することが健康経営の本質なので、従業員一人ひとりの心身の健康、働きがい、そして組織への帰属意識を高めることを目指す「ウェルビーイング」の概念はよりいっそう重視していきたいですし、そのために必要な取り組みを今後もどんどん展開していきます。また、社内で実践や改良を重ねたこれらの取り組みを外部向けのサービスとして提供できることも弊社の強みですので、引き続き柔軟で先進的な取り組みに励んでいきたいと思います。
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