あだむてぃーえす13

ADAMTS13

別名
フォン・ヴィレブランド因子切断酵素
血液検査
血液を採取し、その中に含まれる物質などを測定する検査です。
確定診断
この検査を行うことで、ある特定の病気であるかどうかが明確にわかるものです。他の検査の結果を受けて精密検査として行われる場合もあります。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
Icon close

ADAMTS13は、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)を特異的に切断する、“はさみ”のようなはたらきをする酵素です。VWFとは、出血時に血管の細胞と血小板、あるいは血小板同士をくっつけて血の塊(血栓)をつくり、止血する“のり”のような役割をする物質です。VWFは主に血管の内皮細胞でつくられ、血流中に分泌されたときの分子量は非常に大きいことが知られています。高分子量のVWFほど血小板とくっつきやすく血栓をつくりやすいため、ADAMTS13はVWFを適切な大きさへ切断することで、不必要な血栓ができてしまわないように調節しています。

しかし、ADAMTS13が欠乏したり、はたらき(活性)が低下したりすると、VWFを切断できないため血液中に大きなVWFが蓄積し、血管内で血小板が集まり、不必要な血栓がたくさんつくられます。この状態によって引き起こされる病気が、国の指定難病の1つである血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)です。血液検査によってADAMTS13の活性を調べ、10%未満に低下している場合は、TTPと診断されます。

原因不明の血小板の著しい減少(通常10万/µL未満)と、著明な溶血性貧血が認められた場合に、ADAMTS13活性を測定し、10%未満に著減していればTTPと診断されます。続いてADAMTS13抗体検査を実施し、陽性であれば後天性TTPと判断します。

以前は発熱や腎機能障害を含む5つの症状(古典的5徴候)によりTTPと診断されていましたが、現在ではADAMTS13の結果によって確定診断されるようになりました。しかし、ADAMTS13検査は外注で行われる医療機関がほとんどであるため、結果を入手するまでに5~7日を要することが多いといわれています。

ADAMTS13の状態を詳しく調べるために、主に以下の2つの測定が行われます。

ADAMTS13活性

血漿(血液の成分)中に、VWFを切断する能力がどれくらい残っているかをパーセンテージ(%)で測定します。TTPの確定診断における基準は、この数値が10%未満であることです。

ADAMTS13インヒビター

ADAMTS13のはたらきを阻害するインヒビター(自己抗体)の有無を調べます。

一般的にインヒビターが存在し(陽性)、ADAMTS13を攻撃する場合は、後天性TTPと呼ばれています。対して、インヒビターが存在せず(陰性)、遺伝子の異常により生まれつきADAMTS13活性が著しく低い場合は先天性TTPと呼ばれます。ただし、非常にまれですが、インヒビターが陰性でも、ADAMTS13に結合して、その排泄(クリアランス)を高めるはたらきを有する自己抗体(非阻害型抗体)が存在する場合もあります。

ADAMTS13は血液検査によって測定します。服用している薬の種類によってはADAMTS13活性が低下することがあるため、お薬手帳を持参して、事前に医師に伝えましょう。

採血を行うため、検査当日は採血部位(肘の内側など)をスムーズに露出できるよう、袖口のゆったりした服装や着脱しやすい服装で受診しましょう。また、血小板が減少しているため、血が止まりにくい状態になっています。万が一血液が付着しても目立ちにくい色味の服などを着用していくとよいでしょう。

ADAMTS13活性が10%未満であれば、TTPと診断されます。さらにインヒビターが陽性であれば後天性TTPと診断され、陰性であれば先天性TTPと診断されます。

  • ADAMTS13活性10%未満かつインヒビター陽性……後天性TTPと診断されます。
  • ADAMTS13活性10%未満かつインヒビター陰性……先天性TTPが疑われます。先天性TTPが疑われた場合、ADAMTS13遺伝子解析が行われます。

この検査によってTTPと診断された場合は、医師の指示に従って検査や治療、経過観察を継続することが重要です。なお、TTPは指定難病に該当するため、医療費助成制度の対象となる可能性があります。医師に確認してみましょう。

新鮮凍結血漿輸注(しんせんとうけつけっしょうゆちゅう)

新鮮凍結血漿(正常なADAMTS13を含む健康な人の血漿)を補充し、血栓の形成を防ぐ治療法です。先天性TTPに対して行われます。

アパダムターゼアルファ/シナキサダムターゼアルファ

2024年に保険承認された先天性TTPの治療薬です。この薬は遺伝子組み換えのADAMTS13製剤であり、静脈内に注射することによって、体内で不足するADAMTS13を補充します。

血漿交換療法

後天性TTPでは、まず新鮮凍結血漿を用いた血漿交換療法が検討されます。血漿交換療法は、血液中の異常に大きなVWFやインヒビターを取り除き、正常なADAMTS13を補充する方法です。なお、TTPが疑われた段階で確定診断の前に治療が開始されます。

また、同時に副腎皮質ステロイドを投与する“ステロイド療法”が行われることがあります。

カプラシズマブ

近年、後天性TTPに対する治療薬として、カプラシズマブと呼ばれる薬が保険承認されました。カプラシズマブは血小板とVWFの結合を防ぐことにより、新たな血栓ができることを抑える抗体薬です。

採血後に出血が止まらない場合や、あざ(内出血)ができていた場合、めまいや意識がぼんやりすると感じた場合は、転倒やけがに注意したうえで医療機関に連絡しましょう。

また、先天性TTPでは感染症や妊娠、アルコールの大量摂取が症状出現の引き金となる場合があります。特に妊娠時に症状が現れると胎児に影響を与えるため、適切な治療を受けることが重要です。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。

実績のある医師をチェック

ADAMTS13

Icon unfold more