「動脈管開存症とはどんな病気?生まれつきの心臓病のひとつ」で、動脈管開存症とは何かについてご説明しました。本記事では、動脈管開存症の診断と検査について昭和大学横浜市北部病院 循環器センター センター長の富田 英(とみた ひでし)先生にお話しいただきます。
胸部にある臓器(主に肺・心臓・大動脈など)、つまり呼吸器と循環器に異常がないかを調べる検査です。胸部全体にエックス線を照射して平面撮影し、肺に異常な影があるかどうか、心臓の大きさや形に異常があるかどうかを調べます。
心電図では胸と両手足にいくつかの電極をつけます。心臓で発生する微小な電気を電極から取り出して記録する検査を心電図といいます。心臓が正常に動いているかどうかがわかります。なんらかの心臓疾患のために心筋が肥大したり、障害が起きている場合も異常心電図が認められます。通常、動脈管開存症では心臓の左室が肥大します。
人間には聞こえない音(超音波)を胸の表面から心臓にあてます。そのはねかえってくる信号を集めて画像にする検査を心エコーといいます。動脈管全体の形態を描き出すことが可能です。成人では見えづらい場合もありますが、子供ではほとんどの場合形態をみることができます。
エックス線を使って身体の断面を撮影する検査です。詳細な画像を映し出すことが可能で、臓器の形態がわかりやすいという特徴があります。特に石灰化(血管が硬化してしまうこと)がよくわかります。また、大動脈・肺動脈との位置関係を含め動脈管全体像の把握が可能で、肺動脈の拡張の有無も知ることができます。一方で、検査には造影剤が必要になりますので、腎臓が悪い方には行えない場合があります。
強力な磁石でできたトンネルの中に入り、磁気の力を利用して身体の臓器や血管などの内部を撮影する検査です。詳細に臓器の画像を映し出すことはCTには劣りますが、速い速度で変化するものの画像を撮ることが可能で、動画を作成することができます。血流がどのような状態であるかがわかります。また造影剤も不要です。動脈管は形や大きさが血液の流れに応じて変わります。治療においては動脈管が最大どの程度の大きさになるかが重要になります。ですから、それがしっかりと撮影できることと患者さんの状況を考えたうえでCTとMRIが選択されます。
肺動脈の圧力・短絡量(よこ道を流れる血液量)・肺血管抵抗(肺の血管に血液が流れにくくなっているかどうか)など、血管や心臓などの循環系を流れる血液の状態を調べます。さらに、エックス線で血管を写し出す検査によって動脈管の形態も確認し、治療の対象になるかどうかや治療方法(カテーテル治療もしくは外科治療)を決定します。
急性肺血管拡張試験(薬剤や酸素を用いて、血管の周囲の筋肉が繊維状にかたくなってしまっているか、もしくは収縮する能力があるかを見極める試験)でも治療の対象になるかどうかの判断が難しい症例(重症の肺高血圧合併症)に対し、行われる場合があります。具体的には、動脈管開存を治療しても肺高血圧が治るかどうかを細胞組織的にみます。しかし、頻度はさほど多くありません。肺生検が必要となる場合を次の項「肺高血圧症の原因-動脈管開存症との関連とは」で述べます。
昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター センター長
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