どうみゃくかんかいぞんしょう

動脈管開存症

別名:PDA
血管

目次

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概要

動脈管開存症(PDA)は生まれつきの心臓病のひとつです。動脈管は胎児が子宮内で生存するために必要な血管です。動脈管は、本来なら出生から48時間以内にはほとんど機能しないようになります。しかし、閉じるべき動脈管がうまく閉鎖しないために残存してしまうことがあり、このような状態を動脈管開存症といいます。

開存している動脈管の太さによって症状の現れ方は異なりますが、大きく開存している場合には、哺乳障害や成長障害などの心不全症状が乳児期早期から現れることもあります。治療方法は外科的なもの(手術)だけでなく、カテーテル治療も活用されるようになってきています。

原因

動脈管開存症は、生まれつきの心臓病です。動脈管は、肺動脈と大動脈の間をつなぐ血管です。赤ちゃんが子宮の中にいるときは肺で呼吸をしていないため、動脈管は肺への血流を制限する重要な役割を担っています。

しかし、胎児が生まれた後は自らの肺で呼吸をしなければいけないため、肺への血流を増加させる必要があります。それまで血液を送っていた動脈管は出生後には不要な血管となり、生後48時間までにほとんど血液が流れないようになります。さらに数週間ほどすると、完全に動脈管は閉鎖するようになります。しかし、動脈管開存症では、このように閉じるべき動脈管がうまく閉鎖しないために残存してしまいます。

症状

動脈管開存症では、肺や心臓に大きな負担がかかり、呼吸障害や心不全の症状が現れるようになります。具体的には、以下のような症状がみられます。

  • 呼吸が荒く回数が多い
  • ミルクの飲みが悪い
  • ミルクを飲んでも体重が増えない
  • 汗をたくさんかく
  • 機嫌が悪く元気がない

これらの症状がみられる場合には早期の治療が必要となります。

何の症状もなく過ごし成人まで成長し、健診などで偶然、心臓の雑音が聞こえるなどの異常がみつかる場合もあります。ただし、成人まで長期間にわたって心臓に負担がかかっているため、息切れや動悸(どうき)を生じることもあります。また、動脈管開存症が長期間持続すると、「肺高血圧症」を続発することがあります。

検査・診断

動脈管開存症では、心臓超音波検査、胸部単純レントゲン写真、心電図が第一段階の検査として行われます。

心臓超音波検査

肺動脈から大動脈につながる動脈管を確認することができます。

胸部単純レントゲン写真

心臓や肺に負担がかかっていることを確認します。

心電図

心臓に多くの負担がかかっていることを確認します。

さらに、心臓CTやMRI、心臓カテーテル検査、肺生検などの検査を併用し治療方法を決定します。

治療

動脈管開存症では、患者さんの年齢や動脈管の形・大きさによって治療法を選択します。動脈管開存症の治療法には、薬物治療・外科治療・カテーテル治療の3種類があります。

小さく生まれた赤ちゃんの動脈管開存症では、プロスタグランジン合成阻害薬を使用することによって9割程度の赤ちゃんの動脈管が閉じると考えられています。薬物治療に反応しない場合には、外科手術やカテーテル治療が選択されます。いずれの方法も動脈管を閉鎖することが目的です。

40歳を超える成人では、高い確率で動脈管が石灰化しています。その場合は、無理に動脈管を結さつする(縛って結ぶ)と血管が割れてしまい大出血を起こす危険性があるため、人工心肺を用いて手術を行うケースもあります。