動脈管開存症の治療では、患者さんの年齢や動脈管の形・大きさによって治療法を選択します。動脈管開存症の治療法は、薬物治療・外科治療・カテーテル治療の3種類があります。小さく生まれた赤ちゃんの動脈管開存症では、薬物治療によっておよそ9割程度の赤ちゃんの動脈管が閉じるのだといいます。本記事では、そのうちの薬物治療と外科治療について、またそれぞれの治療が適応となる場合について、昭和大学横浜市北部病院 循環器センター センター長の富田 英(とみた ひでし)先生にお話しいただきます。
動脈管開存症の治療の目的は、血管や心臓などの循環系を流れる血液の状態の改善・血管内膜炎および肺高血圧リスクの低減です。患者さんの年齢や動脈管の形と大きさによって治療法を選択します。治療法は主に次のとおりです。
動脈管には自然に閉じる装置が備わっていますが、その装置の状態によって動脈管開存症は2つの種類にわけられます。
(1)の場合は装置が壊れているため、機械的に動脈管を塞ぐ手術を行います。一方、(2)の場合は薬剤で未熟な装置に刺激を与えてあげると動脈管が閉じる場合があります。用いる薬剤はプロスタグランジン合成阻害薬(インドメサシン)です。赤ちゃんの動脈管開存のうち、小さく生まれた赤ちゃんには薬を用いるケースが多くあり、9割程度動脈管が閉じます。
しかし(1)の場合では動脈管は薬に反応しないため、心臓の負担を軽くする・心臓の働きを助けるなどの動脈管開存による症状を緩和する目的で薬が用いられます。根本的な動脈管開存の治療には、カテーテル治療や外科手術が必要になります。また小さく生まれた赤ちゃんの動脈管開存の場合でも、薬で装置を刺激しても動脈管が閉じきれないという場合があります。その場合も手術が選択されます。
基本的に以下のようなカテーテル閉鎖術が困難な症例が対象となります。
動脈管を結さつ(結ぶこと)したり、離断(切り離すこと)することにより動脈管を遮断します。40歳を超える成人では、高い確率で動脈管が石灰化しています。その場合は、無理に動脈管を結さつすると血管が割れてしまい大出血を起こす危険性があるため、人工心肺を用いて手術を行うケースがあります。
昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター センター長
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