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インタビュー

非結核性抗酸菌症とはどのような病気?

非結核性抗酸菌症とはどのような病気?
藤田 昌樹 先生

福岡大学病院 呼吸器内科 主任教授

藤田 昌樹 先生

ゆっくりと進行する慢性の呼吸器感染症非結核性抗酸菌症です。病態が解明されておらず、有効な薬もないことなどから、患者数は増加傾向にあるといいます。福岡大学病院呼吸器科内科診療教授の藤田昌樹先生に、非結核性抗酸菌症についてお話をうかがいました。

結核菌以外の抗酸菌による感染症のことを非結核性抗酸菌症といいます。頻度的には、MAC症(Mycobacterium avium-intracellular)とM.kansasii症の発症が多く、大半を占めています。結核のようにヒトからヒトへ感染したり、数年で死亡するということはありません。結核が減少しているのとは対照的に発病する人が増加しています。

呼吸器感染症とは肺の中で菌が増殖するものですが、菌の増殖のスピードによって症状は変わります。例えば大腸菌の場合は、ひとつの細胞がふたつに分裂するのにかかる時間はおよそ30分で、増殖のスピードが速いことで知られています。結核の場合はそれが1日から2日程度かかりますが、非結核性抗酸菌症の場合は結核よりもさらに時間がかかります。つまり、非結核性抗酸菌症は、毒力の弱いタイプの菌による慢性の呼吸器感染症ということになります。

ところが、治癒という観点においては、増殖が速ければ速いほど、薬による効果が高いという側面があります。結核菌については、最近は薬がよく効くようになりましたが、非結核性抗酸菌症はゆっくりと増殖するため、薬の効果が得られにくいというのが現状です。

症状としては、結核と同じく体重が減少する、微熱が出る、血痰が出るなどしますが、いずれも結核と比べると軽く、慢性の呼吸器感染症の症状を呈します。結核のように重症化すると数年で死亡するということはありませんが、10年や20年という年月をかけて進行していくと、呼吸状態が悪くなってしまい亡くなる方もおられます。

年間の死亡者数は、結核が2000人強であるのに対して、非結核性抗酸菌症は1000人を超える程度とされています。しかしながら、死亡者数については、近い将来結核を抜いて逆転するのではないかともいわれています。患者数についてはよく質問を受けますが、結核のように登録制度がないため、国内にどの程度の方が罹患されているのかはっきりとした人数はわかりません。非結核性抗酸菌症研究協議会のアンケート調査の結果によると、年間の発生率は2005年に10万対5.7、患者実数でいうと6500人以上と推定されています。

過去の同様の調査によると、1970年代には10万対0.8~1.9、80年代後半には10万対2.1~2.9と推定されており、時代の経過とともに増加傾向にあることがわかります。その背景には、非結核性抗酸菌症という疾患が知られるようになったことに加えて、CTや気管支内視鏡などといった検査の進歩で軽症が発見されるようになったことが考えられます。しかしその一方で、実質的にも罹患者が増えているとも考えられます。

以上のことをまとめると、非結核性抗酸菌症は緩徐に進行する呼吸器感染症で、難治性であるため、患者数は蓄積される傾向にあります。しかし、その実態についてはまだはっきりと解明されていない部分が多い疾患です。

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