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非結核性抗酸菌症治療における今後の展望について
治療効果が低く、完治が難しい非結核性抗酸菌症ですが、新たな治療へ向けた動きもあるようです。福岡大学病院呼吸器内科診療教授の藤田昌樹先生に、非結核性抗酸菌症治療に対する今後の展望についてお話をうか...
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非結核性抗酸菌症治療における今後の展望について

公開日 2016 年 04 月 17 日 | 更新日 2017 年 09 月 28 日

非結核性抗酸菌症治療における今後の展望について
藤田 昌樹 先生

福岡大学病院呼吸器内科 主任教授

藤田 昌樹 先生

治療効果が低く、完治が難しい非結核性抗酸菌症ですが、新たな治療へ向けた動きもあるようです。福岡大学病院呼吸器内科診療教授の藤田昌樹先生に、非結核性抗酸菌症治療に対する今後の展望についてお話をうかがいました。

理想的な組み合わせの併用療法は?

非結核性抗酸菌症治療の基本は薬物療法です

しかしながら、薬による治癒率は非常に低く、有効な治療法がないのが現状です。病態はゆっくりと進行し、一度治ったと思っても再発することも多く、その場合は10年、20年をかけて再発を繰り返します。再発時には薬への耐性がついていることも少なくないため、治療がさらに難しくなります。これが難治性といわれるゆえんです。

現在治療薬としては、抗菌薬であるマクロライド(クラリスロマイシンあるいはジスロマイシン)と抗結核薬であるリファンピシンとエタンブトールによる併用療法が推奨されています。その中でも特にクラリスロマイシンが中心的な治療薬となりますが、リファンピシンを併用すると、クラリスロマイシンの血中濃度が半分程度下がるという報告が出されています。

そもそも、現在日本で行われているクラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールによる併用療法は、日本発のエビデンスがありません。クラリスロマイシンは元々エイズ(後天性免疫不全症候群)に対する非結核性抗酸菌症に対して効果があるということで1990年代から使用されていた薬で、リファンピシンとエタンブトールは以前から使っていた経緯もあって継続して使用されているのです。イソニアチド(商 :イスコチン)という抗結核薬が使われていた時期もありましたが、あまり効果がないということで使われなくなりました。しかし英国では、イソニアチドとリファンピシン、エタンブトールがいまも標準的な治療になっています。

キノロン系抗菌薬を用いた併用療法を検討中

先にクラリスロマイシンが中心的な薬になると述べましたが、併用薬であるリファンピシンは副作用が強い薬で、肝機能障害や貧血などの症状が現れます。そこで考えているのが、リファンピシンを外して、エタンブトールとクラリスロマイシンにキノロン系の抗菌薬を加えて行う併用療法です。

キノロン系抗菌薬というのは、細菌のDNA(遺伝情報物質)の複製をブロックする抗菌剤で、昨年にはクラビット(レボフロキサシン水和物)などが結核に対して新たに適応がとれました。非結核性抗酸菌症への効果も期待されています。しかし、まだ非結核性抗菌症に対しては保険適応外であるため臨床試験を行うことが難しい状況にあるのが現状です。

サプリメントを用いた治験も計画中

AHCC(Active Hexose Correlated Compound)というサプリメントを現在の薬物併用治療に加えて行う研究も進めています。AHCCとは、細胞性免疫、マクロファージの活性化、NK活性化の増強作用などで知られる生体免疫修飾物資で、がん患者さんへの投与でその効果が報告されています。市販されている健康補助食品で、初発の非結核性抗酸菌症患者さんに対して現行の併用療法に加えて投与することでAHCCの上乗せ効果を検討します。

福岡市医療圏で独自の登録をスタート

非結核性抗酸菌症は、伝染性がないこともあって、現在登録などは行われていません。そのため正確な患者数の把握も困難なうえ、耐性化したり、遺伝的な関与も示唆されたりするなか、病態の解明もされていないという状況です。そこで、昨年スタートさせたのが患者登録です。菌株を集めて、その患者さんがどういった経過をたどるのかをみていこうというものです。菌が検出されるにも関わらず自然治癒する場合や変化がない場合などの臨床表現型と、菌を遺伝子的にいくつかのグルーブに分類してその遺伝子型との関係などについて検討しています。福岡市内10施設と大牟田病院による福岡市医療圏を中心に現在進行中です。

これまで非結核性抗酸菌症に関しては、レトロスペクティブ(後ろ向き)に判断されているだけでした。日本からのエビデンスを出し、これからはプロスペクティブ(前向き)に検討していく必要を考えています。

福岡大学病院呼吸器内科 主任教授。肺炎や結核などの呼吸器感染症をはじめ、喘息やアレルギー疾患、移植や間質性肺炎など呼吸器疾患領域全般の診療にあたっている。2000年頃から非結核性抗酸菌症に関心を持ち治療に取り組んできた。非結核性抗酸菌症に対しては、有効な治療法がない中で、疫学的な部分の解明に向けた取り組みを開始すると同時に、新たな治療にむけて、積極的に研究を進めている。

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