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インタビュー

公開日 : 2017 年 02 月 16 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

肺移植の成功率・生存率を向上させるには―移植手術に求められるもの

京都大学医学部附属病院 呼吸器外科教授
伊達 洋至先生

肺移植は重症肺疾患の患者さんに行われる手術であり、他の臓器移植に比べて非常に難易度が高いことを記事1『肺移植とは。重症の肺疾患患者さんにのみ適応される難しい移植術』でご紹介しました。世界的な肺移植の術後5年生存率は約5割といわれる一方で、京都大学では術後10年の生存率が7割以上に達しています。

京都大学医学部附属病院呼吸器外科教授の伊達洋至先生は、肺移植が成功するには、日本人特有の丁寧な診療体制とチーム医療の実現が最も大切だとおっしゃいます。日本で最も多くの肺移植手術を行ってきた伊達洋至先生に、肺移植手術の流れと意識すべき点についてお話いただきました。

肺移植は大掛かり―手術は非常に難しい

術後の感染症や拒絶反応が起こりやすく慎重な管理が必要

肺移植は固形臓器の移植のなかで最も難しい手術といわれています。

もともと薬物療法での容体コントロールが難しく、余命が限られている患者さんに適応される手術ですから、移植を受ける患者さんの容体は決して良好とはいえません。

手術に高度な手技が要求されることはもちろん、肺は外気と直接交通する臓器であるため、術後感染や拒絶反応が生じやすいという特徴があります。このため術後生存率は他の臓器よりも低く、世界標準における5年生存率は5割にとどまります。

肺移植のタイプ、片肺移植と両肺移植。手術時間や術式の違いは?

片肺移植と両肺移植の違い
片肺移植と両肺移植の違い

 

肺移植には、片肺移植と両肺移植の2種類があります。日本では片肺移植と両肺移植が同程度の割合で行われていますが、世界的には両肺移植が全症例の8割以上行われています。この理由はいたってシンプルで、病気の肺をすべて取り除く両肺移植は、片肺移植よりも治療効果が高いと考えられるためです。

しかし、日本では臓器提供者が不足しているため、片肺移植の割合が多くならざるを得ません。片肺移植であればドナーの肺をふたつに分けて、2名の患者さんを救命することができるのです。ただし、感染を起こしている方や重症肺高血圧の方は両肺移植が絶対適応となります。

生体肺移植も脳死移植と同様、基本的には両肺移植が行われます。片肺移植が行われるケースとしては、臓器提供者が一人しかみつからなかったり、患者さんが幼い子どもで体格が小さく、どうしても大人(両親)の肺が移植できない場合が挙げられます。

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京都大学医学部附属病院 呼吸器外科教授

伊達 洋至先生

約3500例の呼吸器外科手術を担ってきた呼吸器外科のトップランナー。日本で初めて、臓器移植のなかで最も難易度が高いといわれる生体肺移植を執刀、成功させた。現在までに日米通算約250例の肺移植を手掛け、その成功率と患者の術後生存率の高さから、世界中の注目を集めている。趣味は日課のマラソンで、フルマラソンを30回以上完走している。