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公開日 : 2017 年 05 月 01 日
更新日 : 2017 年 05 月 17 日

乳がん検診で病変が見つかりにくい「高濃度乳房」 高濃度乳房を調べる方法・検診や検査で気を付けるべきこととは?

高濃度乳房とは脂肪よりも乳腺実質(乳管や小葉)の割合が多い乳房のことです。高濃度乳房は、病気や、乳がん発症の前段階を指すものではありません。しかし、脂肪性乳房と比べると乳がんの発症リスクがわずかに高いことや、マンモグラフィで病変が見つかりにくいという特徴があることから「自分が高濃度乳房なのか知りたい」「高濃度乳房である場合にはどうしたらいいのか」と不安に感じられる方もいらっしゃいます。

このような高濃度乳房に対する不安には、どのように向き合うべきなのでしょうか。記事1に引き続き、静岡県立静岡がんセンター 生理検査科・乳腺画像診断科の植松孝悦先生に解説いただきました。

高濃度乳房の概要については記事1『マンモグラフィで乳がんの判別が難しい高濃度乳房 その特徴や病気のリスクについて正しく理解する』をご覧ください。

検診で「高濃度乳房」はわかるのか?

検診結果

現時点の「対策型の検診」で、高濃度乳房であることの通知は必要ない

日本で行われている乳がん検診には、対策型(住民検診型)と、任意型(人間ドック型)の2つがあります。

 

対策型がん検診

(住民検診型)

任意型がん検診

(人間ドック型)

提供機関

行政

医療機関や検診機関

目的

国民全体の乳がん死亡率低下のため

個人の健康のためや会社の福利厚生など

検査内容

原則はマンモグラフィ

原則はマンモグラフィであるが、正しい理解が得られる説明のもとで個人の判断で超音波検査や乳房MRIも選択可能

費用

公的資金(税金)

全額自己負担(会社負担)

実施対象

国や行政が対象者を指定

(対象年齢:40歳以上)

(検診間隔:2年に1度)

任意であり定義なし

 

対策型検診は、国や行政が提供しているもので、国が定めた対象者が受診します。一方、任意型検診は、医療機関や検診機関がそれぞれに提供するもので、受診するかどうかは個人の価値観に左右され、個人の責任で利用します。

多くの方が公的資金(税金)を使用して受診をする対策型検診では、現時点では検診マンモグラフィで高濃度乳房であることが確認されていても、それを検査結果として、受診者すべての方に通知することは義務づけてありません。

なぜ高濃度乳房は通知されないのか?

検診

高濃度乳房に対して「死亡率減少」が科学的に証明された検診方法はない

検診でマンモグラフィを行い高濃度乳房がわかった場合、その後にどのような対応をとるのが適切かということについては、今も論議が続いています。現時点では高濃度乳房の受診者に対して死亡率減少を認める科学的根拠のある有効な検診方法はありません。そして高濃度乳房とわかって、マンモグラフィ以外の検査を受けたとしても、必ず病変が発見されるわけではありません。さらに他の検査を追加すると偽陽性などの検診の不利益が増加することがわかっています。以上のような理由で高濃度乳房の受診者に追加検査をすると不利益が利益を上回る可能性が高く不要な負担がかかってしまいます。

現在のところ、乳がんの死亡率を低下させる効果が証明されている検査方法はマンモグラフィのみです。そのため、検診で行ったマンモグラフィの結果、高濃度乳房であるということがわかっても、それを受診者全員へ通知し、他の検査を受けるよう指導することが必ずしも最善であるとはいえないのです。

高濃度乳房の通知は、不要な不安や混乱を招く危険がある

高濃度乳房に対しての理解は、まだ一般の方々に十分浸透しているとはいえません。そのため、受診者が高濃度乳房のことを十分理解できるよう説明を行い、通知後に適切な行動をとれるよう指導する体制整備が必要です。しかし、現状はそういった体制の整備が万全ではありません。このような状態のまま通知のみが行われてしまうと、通知を受けた方は不要な不安や精神的負担を被る可能性もあります。今後、受診者のニーズを踏まえたよりよい通知の方法について、日本乳癌検診学会 デンスブレスト対応ワーキンググループが中心となってその対応を検討していく予定です。

「行政の体制づくり」なしに高濃度乳房の通知はできない

高濃度乳房の通知をするためには、様々な体制づくりが必要です。

たとえば受診者が理解しやすいように、どのような言葉(受診者に理解しやすい言葉など)、どのような形(パンフレットでの説明など)で伝えるか、質問があった場合、誰がどのように対応するかということを検討する必要があります。また、このような作業を市区町村、検診実施機関などがそれぞれの立場で役割分担し、受診者が過度の不安に陥らないような体制の整備が必要になります。

まだこのような体制整備は不十分と考えられるため、現時点で、受診者すべての方へ高濃度乳房であるかどうか、一律に通知することは、時期尚早であると判断できます。こうしたことから、単に乳房の構成を伝えるのではなく、受診者が十分理解できその後適切な行動をとれるような説明・指導する体制整備が求められています。今後、高濃度乳房を正しく理解するための方策などを、国および関係各団体は協力して検討して行く予定です。

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