【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 c2835b42 f2c0 4066 9a9a 2694e03a6a0a
マンモグラフィで乳がんの判別が難しい高濃度乳房 その特徴や病気のリスク...
近年、乳がんの判別が難しい高濃度乳房が話題になっています。高濃度乳房では、なぜ乳がんの診断が困難なのでしょうか。静岡県立静岡がんセンター生理検査科・乳腺画像診断科の植松孝悦先生にお話を伺いました...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

マンモグラフィで乳がんの判別が難しい高濃度乳房 その特徴や病気のリスクについて正しく理解する

公開日 2017 年 05 月 01 日 | 更新日 2018 年 09 月 21 日

マンモグラフィで乳がんの判別が難しい高濃度乳房 その特徴や病気のリスクについて正しく理解する
植松 孝悦 先生

静岡県立静岡がんセンター 生理検査科・乳腺画像診断科

植松 孝悦 先生

近年、乳がんの判別が難しい高濃度乳房が話題になっています。高濃度乳房では、なぜ乳がんの診断が困難なのでしょうか。静岡県立静岡がんセンター 生理検査科・乳腺画像診断科の植松孝悦先生にお話を伺いました。

高濃度乳房を知る前に ~乳房の基礎知識~

乳房の構造とは

乳房の構造

乳房は主に乳腺実質脂肪組織から成り立っています。

乳房の土台を作っているのは乳腺実質で、乳汁を作る乳腺(小葉)と、乳汁を乳頭に運ぶ管(乳管)から形成されます。その周りを囲むように覆っている部分が脂肪組織です。乳房は、主にこの2つの組織によって構成されています。

高濃度乳房とは?

乳腺実質の割合が多い乳房

高濃度乳房とは、乳腺実質の割合が多い乳房のことです。乳腺実質内に混在する脂肪の割合が40~50%程度以下を目安にして判断します。

乳房にX線を照射すると、乳腺実質は白く、脂肪組織は黒く写し出されます。高濃度乳房の患者さんでは、乳腺の割合が多いため、乳房の大部分が白く、そして非常に強く(濃く)写ります。

高濃度乳房のレントゲン画像

マンモグラフィ画像で見る「脂肪性乳房」と「高濃度乳房」の違い

マンモグラフィで撮影されたX線画像の乳房は、乳腺実質と脂肪組織の比率から下記の4つのタイプに分類されます。

----

  1. 極めて高濃度乳房
  2. 不均一高濃度乳房
  3. 乳腺散在乳房
  4. 脂肪性乳房

---

このうち、①極めて高濃度乳房と、②不均一高濃度乳房の2つのタイプが高濃度乳房と呼ばれています。

乳房の構成

高濃度乳房の問題点とは?

脂肪性乳房と比較すると、マンモグラフィで腫瘍が検出されにくい

マンモグラフィで撮影すると腫瘍(乳がん)の部分が白く映りますが、高濃度乳房の方の場合、乳房の多くの部分が強い白色で映し出されるため、腫瘍が検出されにくくなってしまいます。そのため、高濃度乳房の方は、脂肪性乳房よりも乳がんなどの異常が発見されにくくなります。

マンモグラフィでの乳房の画像

マンモグラフィで乳がんが見つからないケース

実際にこれまでの研究結果でも、高濃度乳房の状態が強いほどマンモグラフィの感度が低下することが報告されています。下記の表は宮城県、福井県のデータですが、脂肪性乳房よりも極めて高濃度の乳房のほうがマンモグラフィの感度が低下することが示されています。

【各乳房濃度に対するマンモグラフィの感度】

Suzuki A. et al. Cancer Sci. 2008

Ohta K et al.日乳癌検診学会誌2015

高濃度乳房の乳がん検査については記事2『乳がん検診で病変が見つかりにくい「高濃度乳房」 高濃度乳房を調べる方法・検診や検査で気を付けるべきこととは?』もご覧ください。

高濃度乳房では、脂肪性乳房よりも乳がん発症リスクが高まると考えられる

高濃度乳房はマンモグラフィで腫瘍が検出されにくいばかりがリスクではありません。脂肪性乳房の方に比べると、高濃度乳房の方の乳がんリスクがわずかに高くなることがわかっています。

乳がんは、乳房のなかの乳管と小葉、つまり乳腺実質の部分に発症します。そのため、乳腺実質の量が多い高濃度乳房では脂肪性乳房に比べると、発がんリスクが高まります。

しかし現状では、高濃度乳房の方が脂肪性乳房の方に比べて、何倍のリスクがあるといった客観的かつ根拠のある日本人のデータはまだ示されていません。今後、さらなる研究が必要とされています。

高濃度乳房は、決して病気ではない

上記で、高濃度乳房では脂肪性乳房に比べると乳がん発症リスクが高まることを解説しましたが、高濃度乳房は乳腺実質の割合が多い状態を指すものであり、病気を意味するものではありません。またがんを予兆するものでもないので過度に心配する必要はありません。高濃度乳房は多くの方にみられる状態ですので、珍しい所見ではありません。

高濃度乳房の特徴や症状 - どのような人に多いのか?

高濃度乳房は「40歳代の女性」「アジア人」に多い

高齢者と比較すると、40歳代の女性は高濃度乳房の比率が高いことがわかっています。また、欧米の女性と比べると、日本人を含むアジアの女性では高濃度乳房の比率が高いようです。

高濃度乳房になる要因とは?

高濃度乳房は、女性ホルモン補充療法、出産数、授乳経験などのホルモン環境が要因になっているという報告もあるようですが、明確なエビデンスは示されていません。

乳房濃度は年齢とともに変わる

乳房濃度は、一般的には加齢と共に変化するとされています。マンモグラフィの画像を比べると、40歳代で高濃度乳房の割合が多いことがわかっています。また加齢と共に、脂肪性乳房の割合が多くなることがわかっています。これは閉経に伴い脂肪性乳房に変化していくためと考えられています。

高濃度乳房のトピックス ‐高濃度乳房通知について

検診で高濃度乳房を通知しないことが話題となっている

ご説明したとおり、高濃度乳房の場合、脂肪性乳房よりもマンモグラフィの診断精度が落ちてしまいますが、日本では高濃度乳房であるかどうかを対策型乳がん検診受診者に通知していません。こうしたことは、受診者の知る権利を勘案すると問題なのではないかと、一部マスメディアで取り上げられ、話題となっています。

対策型乳がん検診…予防対策として行われる行政の医療サービスで、地域住民(引いては国民)全体の乳癌死亡率を下げることを目的とした検診

アメリカでは高濃度乳房の告知をしている州もある

現在のところアメリカの27の州では、高濃度乳房の告知を行っています。アメリカでは2009年から8年間の歳月をかけてアメリカ全50州の27州(54%)で高濃度乳房の告知が行われるようになりました。しかし、全世界で見てみると、米国27州以外で高濃度乳房の告知を施行している国はありません。例えば、EUSOBI(European Society of Breast Imaging: 欧州乳房画像診断学会) 加盟の対策型乳がん検診を施行している欧州30か国をみても、高濃度乳房の告知を法制化している国はありません。つまり、高濃度乳房の告知が行われているのはアメリカの27州のみで、それ以外の世界各国で行われていません。

また、アメリカの乳がん検診は任意型の検診です。日本で行われている対策型検診とは制度が異なります。高濃度乳房の告知について考える際には、国によってもこうした違いがあることをぜひ知っていただきたいと思います。

任意型検診についてはこちらの記事2『乳がん検診で病変が見つかりにくい「高濃度乳房」 高濃度乳房を調べる方法・検診や検査で気を付けるべきこととは?』で詳しく解説しています。

マンモグラフィだけではなく超音波検査を追加すべきか、議論が進む

受診者への高濃度乳房の通知について問題提起されたことで、マンモグラフィに追加して、超音波検査も対策型乳がん検診に追加すべきではないか、と議論されるようになってきました。

この点に関して、日本乳癌検診学会 デンスブレスト対応ワーキンググループで対応策が検討されています。現時点では「マンモグラフィに超音波検査を追加して行うことについては、超音波検査導入の効果に関するエビデンスと超音波検査の導入体制が十分でないことから、国および関係各団体は協力して検討して行く必要がある」という結論が出されています。

なぜ日本の対策型検診では高濃度乳房の通知がなされないのかについて、引き続き記事2『乳がん検診で病変が見つかりにくい「高濃度乳房」 高濃度乳房を調べる方法・検診や検査で気を付けるべきこととは?』で植松先生にご解説いただきます。

まとめ:「高濃度乳房」に対する正しい理解とは

高濃度乳房については、下記のことが分かっています。

・高濃度乳房の場合はマンモグラフィで乳がんを発見しにくくなる可能性があること

・高濃度乳房の場合は脂肪性乳房の場合よりも乳がんリスクが高い可能性があること

しかし、高濃度乳房は決して珍しい所見ではなく、異常な状態(病気)ではないということを正しく理解することが重要です。また、乳がん検診を受診すればがんの心配はない、ということではなく、検診後であっても定期的にセルフチェックを行い、乳房にしこりがあるなど、自覚症状がある場合は速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

治療ガイドラインは日本乳癌学会HPで

乳癌学会

 

 

乳がん検査(植松 孝悦先生)の連載記事

1992年、新潟大学医学部卒業。2001年まで同大附属病院、新潟県立がんセンター新潟病院などで勤務する。2002年から静岡がんセンターに勤務し、現在は生理検査科・乳腺画像診断科の部長を務める。乳腺画像診断科では、当院乳腺外来の1つを担当して乳房画像診断および乳房のインターベンション(画像誘導下針生検など)を施行するとともに乳腺外来の新患も担当している。早期かつ正確に乳がんの診断し、速やかな乳がんの治療に導くことが科の基本方針である。当科では年間600件数超の乳房針生検、吸引式乳房組織生検などの乳房画像誘導下生検は乳房画像診断を専門とする日本放射線学会放射線診断専門医および日本乳癌学会専門医の資格を有する乳房放射線診断医が責任をもって全て担当して施行している。このような乳腺診療方式は乳がん診療の最先端であるアメリカと同様であり、わが国では当院だけの取り組みである。このように画像専門の放射線診断専門医師が乳房のインターベンションを施行するで迅速かつ正確な診断を患者さんに提供することが可能となることからこうした取り組みを行い、よりよい診療体制づくりに努めている。

「乳がん」についての相談が22件あります

関連記事