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インタビュー

難病・黄色靭帯骨化症とは?足のしびれなどの症状と診断方法

難病・黄色靭帯骨化症とは?足のしびれなどの症状と診断方法
大川 淳 先生

東京医科歯科大学医学部附属病院 前病院長、東京医科歯科大学整形外科学 教授

大川 淳 先生

黄色靭帯骨化症とは、背骨に位置する靭帯が骨化することで生じる指定難病の一つです。近年では、スポーツ選手が罹患し治療を受けたことで大きな話題になりました。

靭帯の骨化が脊髄神経を圧迫することで足の麻痺などの障害が現れる点が大きな特徴である黄色靭帯骨化症。疾患の原因は未だ解明されていないそうですが、いくつかの推測がなされています。では、どのようなことが原因となり発症する可能性があるのでしょうか。

また、診断では、足のしびれとともに歩行の状態も重要になるといいます。それはなぜなのでしょうか。

今回は、東京医科歯科大学医学部附属病院の大川 淳先生に黄色靭帯骨化症の症状から診断までお話しいただきました。

黄色靭帯骨化症(おうしょくじんたいこつかしょう)とは、背骨の中心にある脊髄神経の後ろに位置する黄色靭帯が骨化することで生じる疾患です。

背骨は、たくさんの骨が重なり筒状になっているのですが、そのつなぎ目のところに位置し、骨と骨の間を補強する役割を持つものが靭帯です。本来柔かいものであるはずの靭帯が骨化することで、黄色靭帯骨化症は発生します。

靭帯は、背骨がある首から腰にかけて存在しています。そのなかでも背中から腰にかけて骨化することが多く、内部にある脊髄神経を圧迫することで足の麻痺などの障害が現れます。

黄色靭帯骨化症の原因は解明されていませんが、加齢や遺伝が関係していると推測されています。特に、黄色靭帯骨化症の患者さんには40歳以上の方が多いため、加齢が一因になるといわれています。

しかし、その一方、20代や30代でも発症するケースがあり、単純に加齢によって生じる疾患であるということはできません。

また、背骨の靭帯が骨化する他の疾患として、後縦靱帯が骨化することで神経障害が生じる後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこつかしょう)があります。近年の研究では、この後縦靱帯骨化症には遺伝子が関与していることがわかってきました。具体的には特定の6つの遺伝子が原因となり得ることが明らかになっています。

黄色靭帯骨化症に遺伝が関与しているか否かは明らかになっていませんが、後縦靱帯骨化症と同様、何らかの遺伝的要素が関わっていると推測されています。ほかにも、何らかのホルモンが影響しているという説もあり、今後の解明が期待されています。

また、これはあくまで予測になるのですが、体質的に靭帯が骨化しやすい方には、大柄な女性が多いといわれています。

大柄な女性

たとえば、後縦靱帯骨化症では、BMI30〜35で体重が80〜90キロの女性が罹患し重症化しやすいといわれています。さらにこの方たちは糖尿病を合併しているケースも少なくありません。

まだ解明されていませんが、これらの体質と骨化は何らかの関連があるのではないかと考えています。

黄色靭帯骨化症の典型的な症状は、足のしびれです。この足のしびれを放っておくと徐々に力が入らなくなり歩きづらくなって、最終的には歩くことが困難になるケースもあります。また、多くの方に排尿障害(頻尿・尿漏れなど)が現れます。

それほど多くはありませんが、黄色靭帯骨化症の患者さんのなかには、お話しした後縦靱帯骨化症と合併して罹患する方もいます。黄色靭帯骨化症と後縦靱帯骨化症は対象となる靭帯は異なりますが、骨化するという点で非常に似た疾患ということができるしょう。

靭帯が骨化する過程は、比較的ゆっくりと進行することが多いのですが、症状が現れ始めると進行が比較的速いといわれています。

また、骨がかなり大きくなるまで無症状の場合もあります。骨化が大きく進行しても、神経はそれに耐え無症状で進行するケースがあるのです。しかし、無症状が続いたとしても、しびれなどの症状が現れ始めると一気に進行することが多いでしょう。

また、発症して1〜2年ほどで重症化するケースが多くみられる点も特徴です。

座っている患者さん

黄色靭帯骨化症の診断では、まず以下の症状があるかを確認します。まず、黄色靭帯骨化症の患者さんには、何もせずじっとしているだけで足がしびれている感覚があるのです。

また、脊髄神経が圧迫されている場所によって、歩きづらさの症状が異なります。背中の靭帯が骨化した場合は、急に足の力が抜けたり、足が突っ張るような感覚を持つ点が特徴です。一方、腰の靭帯が骨化し腰の神経に強い圧迫があると、足にはダラリとした力の入りづらさがあるでしょう。

背骨の専門家がいるような医療機関であれば、これらの症状から黄色靭帯骨化であるか否か、さらには骨化の場所を判断することが可能です。

さらに、これらの症状の確認に加え、診断ではMRI(磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査)によって脊髄神経が圧迫されていることを確認します。

MRI

黄色靭帯骨化症と似た症状を現す疾患に、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)があります。腰部脊柱管狭窄症とは、加齢によって背骨の神経の通り道が自然に狭くなることによって生じる疾患です。

お話ししたように、黄色靭帯骨化症が20〜40代で多く発症することに比べると、70歳以上の患者さんが多いという違いはありますが、足のしびれなど症状は非常に似ています。

しかし、先ほどお話ししたように黄色靭帯骨化症の患者さんがじっとしているときに症状が現れる一方、腰部脊柱管狭窄症の患者さんは、歩き始めるとしびれが現れるという違いがあります。

足にしびれがある場合、最初に整形外科を受診される方が多いでしょう。このような方は、整形外科でさまざまな治療を受けても改善されず、そこで初めてMRIを受けるというケースも少なくありません。

黄色靭帯骨化症の診断においてMRIを受けることは有効なのですが、課題もあります。多くの場合、足のしびれがみられると腰の疾患が疑われます。しかし、腰をMRIによって撮影しても、骨化している場所が背中であれば骨化による神経の圧迫を確認することはできません。このようにMRIを受けても見逃されてしまえば、それだけ治療のタイミングが遅れてしまいます。

大学病院

症状が進行してから治療を受けても神経麻痺などの後遺症が残る場合もあり、早期発見が重篤化を防ぐために非常に有効です。このため、足のしびれなどの症状がある場合には、なるべく背骨の専門家がいる大学病院などを受診することが、早期発見・早期治療につながるでしょう。

黄色靭帯骨化症の手術・新たな治療の可能性に関しては、記事2をご覧ください。

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  • 東京医科歯科大学医学部附属病院 前病院長、東京医科歯科大学整形外科学 教授

    大川 淳 先生

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