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内視鏡外科の過去と未来をつなぐ場に-第30回日本内視鏡外科学会総会に向けて
腹腔鏡など内視鏡を用いた外科的アプローチは、1990年代以降に日本の医療現場で広がりはじめ、今では誰もが知るところとなっています。モニターをみながら手術を行なう光景は、開腹手術が主流であった約3...
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内視鏡外科の過去と未来をつなぐ場に-第30回日本内視鏡外科学会総会に向けて

公開日 2017 年 11 月 19 日 | 更新日 2017 年 11 月 21 日

内視鏡外科の過去と未来をつなぐ場に-第30回日本内視鏡外科学会総会に向けて
坂井 義治 先生

京都大学消化管外科 教授

坂井 義治 先生

腹腔鏡など内視鏡を用いた外科的アプローチは、1990年代以降に日本の医療現場で広がりはじめ、今では誰もが知るところとなっています。モニターをみながら手術を行なう光景は、開腹手術が主流であった約30年前の医師にとっては衝撃的なものであったと、第30回日本内視鏡外科学会総会の大会長を務める坂井義治先生は語ります。

次の30年の間には、ロボットやAIといった新たな技術が、手術において欠かせない存在となるのかもしれません。

坂井先生は、2017年12月7日より開催される第30回日本内視鏡外科学会総会を、「内視鏡外科の軌跡を振り返り、未来へとつないでいくための場にしたい」とおっしゃいます。本会に向けた抱負と見どころについて、坂井先生にお伺いしました。

テーマは心技一体 30年の想いを新たなる30年へ

来たる2017年12月7日(木)から9日(土)までの3日間、国立京都国際会館(京都府京都市)にて、第30回日本内視鏡外科学会総会が開催されます。

第30回というひとつの節目を迎えるにあたり、私は本会を、内視鏡外科の過去と未来をつなぐ場にしたいと考えています。総会のテーマとして掲げた「心技一体 30年の想いを新たなる30年へ」というフレーズは、このような想いから生まれたものです。

内視鏡外科手術は、この30年間で驚くほどの革新を遂げ、いまや腹腔鏡や胸腔鏡を用いた手術は、外科的治療のスタンダードとなっています。次の30年間に一体何が起こるのか、医療がどのような変革をとげているのか、予想するのは大変困難です。本会では、無限の可能性を持つ次の30年を、診療科や学問領域の枠を超え、多くの方々と共に「妄想」してみたいと考えています。

第30回日本内視鏡外科学会総会 開催概要

会期:2017年12月7日(木)~9日(土)

会場:国立京都国際会館

〒606-0001 京都市左京区岩倉大鷺町422番地

会長:坂井 義治(京都大学 消化管外科 教授)

メインテーマ:心技一体 30年の想いを新たなる30年へ

1989年、カナダで腹腔鏡手術を垣間見る

腹腔鏡手術

今から28年前の1989年、私はカナダで移植外科フェローをしていた時、初めて腹腔鏡下胆嚢摘出術を垣間見ました。そのときは「彼らはモニターをみながらどんな操作をしているのだろうか」と不思議に思ったものです。

当時の私には、約30年後に腹腔鏡下でがんの切除術を行っている自分自身の姿など、到底想像することはできませんでした。

手術に導入される技術や機器、医療現場の在り方やシステムは、次の30年の間にも、私たちの想像を超えて様変わりするのではないかと考えています。近年進展が著しいAI(人工知能)やロボットが、手術現場で中心的役割を果たす日もそう遠くないかもしれません。

技と心が一体となる必要性

医療の進歩と技術伝承に欠かせない患者さんやチームへの思い

しかし、仮にAIやロボットが人の手を越える技を獲得したとしても、それを使う医療者が技術に溺れてしまうことはあってはなりません。

この先時代が進んでも、医療の現場で人の「心」が不要になることはないと思います。

患者さんに対する思い、チームに対する思い、同僚に対する思い。こういった心がなければ、どれほど素晴らしい技術であっても、修練を通し、次世代に継承されていかないのではないかと感じるのです。

本会のテーマに「心技一体」という言葉を盛り込んだ理由も、私たち医療者の根底に、このような信念が必要と考えるからです。

30年後の手術を妄想する ―AI・ロボット―

第30回日本内視鏡外科学会総会の見どころのひとつ

総会初日である12月7日(木)には、「30年後の手術を妄想する ―AI・ロボット―」と題した特別企画を予定しています。この企画は、本会のプログラムのなかでも特に楽しみにしているもののひとつです。

前項では、人の心があるからこそ技術は伝承されていくという、私自身の考えを述べました。しかし、未来は想像できないとお話ししてきたように、ロボットが医師に手術教育を行う未来もあり得るかもしれません。このように、未来を自由に「妄想」する場として、第30回日本内視鏡外科学会総会を楽しんでいただけたらと願っています。

坂井義治先生の「妄想」とは?

坂井先生

これは私の妄想ですが、全国のコンビニエンスストアに「ワンコイン・クリニック※」というAIが設置されると、病院の受診が減るのではないかと想像します。ワンコイン・クリニックとは、何か不安な症状があるとき、500円を投入し、質問事項を入力していくと、疑われる疾患名や受診すべき診療科を提案してくれるという技術です。

※架空の名称、サービスです。

現行法の規定ではワンコイン・クリニックの実現は難しいものの、がんの病理診断などをAIが行えるようになった今、技術としては実現可能ではないかと考えています。

遠い未来に思いを馳せる企画にしたい

以上は私の想像する未来の一端ですが、本会に足を運んでいただいた参加者の方々にも、ぜひ眼前の課題だけでなく壮大な未来に目を向け、ワクワクした気持ちを持っていただきたいと思っています。そのためには、世界を知り、よい刺激を受けることが必要です。

このような思いから、「30年後の手術を妄想する ―AI・ロボット―」という特別企画を用意しました。

 

特別企画:30年後の手術を妄想する ―AI・ロボット―

日時:12月7日(木) 13:30 ~ 15:00

場所:第1会場 1F メインホール

司会:京都大学消化管外科   坂井 義治

   大阪大学大学院情報科学研究科   前田 太郎

1. 来たる超高齢化社会でいきるロボットとは?

株式会社メディカロイド/川崎重工業株式会社ロボットビジネスセンター 橋本 康彦

2. `Digital Surgery`, democratizing surgery Marketing and Business Development, VERB SURGICAL, USA  Dave Hermann

3. 人工知能によって世の中はどう変わるのか 公立はこだて未来大学  松原 仁 

(敬称略)

登壇者の紹介

最初に登壇していただく川崎重工株式会社の橋本康彦氏は、長年ロボット事業に携わり、現在同社のロボットビジネスセンター長を務めておられます。続いてグーグル社とジョンソン・エンド・ジョンソン社により新たに設立されたヴァーブ・サジカル社の技術者Dave Hermann氏にお話しいただき、最後にはこだて未来大学の松原仁先生にAIについて語っていただく予定です。

若手医師の育成とワークライフバランスを考える

日本中、そして世界中で活躍できる医師となるには?

総会3日目の12月9日(土)には、若手医師を世界で活躍できる外科医へと育成していくための特別企画(トークショー)を開催します。

 

特別企画:トークショー 外科医の「心」から「技」、「技」から「心」へ

日時:12月9日(土)10:20 ~ 11:40

会場: 第1会場 1F メインホール

司会:京都大学消化管外科  坂井 義治

大阪赤十字病院消化器外科:金谷 誠一郎

虎の門病院消化器外科:黒柳 洋弥

北里大学医学部外科:渡邊 昌彦

(敬称略)

スマホを用いた質疑応答も実施予定

ご登壇いただく3名の先生は、ご自身が異動した各施設で多くの若手外科医を育てた実績を持っておられます。異なる環境下でどのように若手外科医を育成しているのかお聞きしたいと考えています。

また、中国や韓国で多数の招待講演を経験されている金谷誠一郎先生には、海外で幅広く活躍する医師となるために必要なものをお伺いしたいと考えています。

このトークショーには、スマートフォンから投稿していただいた質問に、登壇者がリアルタイムで回答するという初めての試みも盛り込む予定です。

女性医師の多い内視鏡外科ならではの企画も

女性の医師

内視鏡外科領域は、女性の医師にとって非常に適している診療科といえます。実際に、多くの女性医師が、腹腔鏡を用いて精緻な手術を行っています。特に産婦人科には女性の医師が多く在籍しており、今回は各方面からの依頼を受け、医師のワークライフバランスを考えるための特別企画を開催する運びとなりました。

なお、本項では特に女性医師のワークライフバランスについて述べましたが、特別企画は、性差なくあらゆる外科医にとって有益なものとなると考えています。

 

特別企画:ワークライフバランスを考えたスターサージャンへの道

日時:12月8日(金) 9:40 ~ 11:10

会場:第1会場 1F メインホール

司会:京都大学産科婦人科  馬場 長

   高槻赤十字病院消化器外科  平松 昌子

1, 診療、教育、研究の充実にはオフの活動が不可欠!

札幌医科大学産婦人科学講座 齋藤 豪

2. 手術室の新ルール:3時間手術交代制が何を変えたか

京都大学産科婦人科 安彦 郁

3. 二人三脚、laparoscopistとendocrinologistまだまだ道半ば

倉敷成人病センター産科婦人科 太田 啓明

4. 教室の女性若手外科医の育成方法

東京大学大学院医学系研究科消化管外科学 野村 幸世

5. 将来の地域医療を担うスターサージョン育成を目指した地方大学の取り組み

高知大学医学部外科1 花﨑 和弘

(敬称略)

医工連携プログラムも盛り込み、領域横断的な総会を目指す

多分野が集まる日本内視鏡外科学会総会だからこそできる議論を

私の専門である消化器外科の学会では、しばしば「腹腔鏡手術を選択すべきか、開胸・開腹手術を行なうべきか」といった議論をするセッションが設けられています。しかし、日本内視鏡外科学会総会は、こうした一診療科の学術総会とは性質が異なります。消化器外科、泌尿器科、呼吸器外科、婦人科、整形外科、耳鼻科、さらには眼科など、複数分野の医療者が領域を超えて集まる内視鏡外科学会総会では、診療科横断的により先進的・先鋭的な議論がなされるべきでしょう。他領域の技術や考え方を実際に見聞きすることで、より広い視野を獲得することもできると考えます。

また、内視鏡を用いて外科的治療を行なうという本領域の特色を活かし、学問の垣根を超えた「医工連携プログラム」も開催する予定です。この医工連携プログラムには、企業や地域の産業支援機関など、工学領域に属するさまざまな組織の方にご協力をいただいています。

新たな試みも多く盛り込まれた第30回内視鏡外科学会総会が、参加者の方にとって刺激と希望溢れる学術総会となるよう、大会長として引き続き工夫を凝らしていきたいと思います。

 

<第30回 日本内視鏡外科学会総会 WEBサイト>

URL:http://www.c-linkage.co.jp/jses30/index.html

*会場案内や事前参加登録申請法、「参加者へのおもてなし企画」など、より詳細なご案内については、上記の公式WEBサイトをご覧ください。

 

1981年より消化器外科医師としてキャリアをはじめるも、途中で呼吸器外科を修練(約3年)、さらにカナダで肝移植の修練(2年)を受ける。腹腔鏡手術は1992年から修練をはじめ、胆嚢・大腸・胃・食道へと領域が拡大した。2005年に現職となってからは主に大腸領域に特化し2013年からはロボット手術もはじめる。2013年からは日本外科学会理事、2016年からは日本内視鏡外科学会副理事長に就任。