院長インタビュー

済生会滋賀県病院

済生会滋賀県病院
三木 恒治 先生

社会福祉法人恩賜財団済生会滋賀県病院 院長、滋賀県済生会 常務理事、京都府立医科大学 名誉教授...

三木 恒治 先生

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この記事の最終更新は2017年05月22日です。

滋賀県栗東市に位置する済生会滋賀県病院は、3次救急指定病院として、地域のみならず滋賀県全体の患者さんの救命にあたっています。また、がんセンターを有し、がんの治療にも力を入れています。中でも、がんの最新の局所療法を導入しており、多くのがん患者さんを救ってきました。

その背景には、地域の患者さんに貢献したいという強い想いと、より良い医療を目指して切磋琢磨しあう病院の風土があるようです。今回は、済生会滋賀県病院の三木 恒治院長に、同病院の取り組みや患者さんへの想いをお話いただきました。

写真提供:済生会滋賀県病院

私たちは、3次救急指定病院として、治療に緊急を要する患者さんの救命にあたっています。救急車の搬送のみならず、ドクターヘリやドクターカーを備えていることも大きな特徴です。

具体的には、済生会滋賀県病院では、年間約7000件の救急車の搬送を受け入れています。また、ドクターヘリは1日平均1.3回ほど稼働しており、滋賀県内のみならず京都府の南部の患者さんの救命にも取り組んでいます。いつ要請がきてもいいように、医師が毎日待機しており、現在も8名の医師が救命にあたっています。このドクターヘリは滋賀県内であれば、どこであっても必ず20分以内に患者さんの元に到着することができます。

写真提供:済生会滋賀県病院

このような救急医療の中で、小児救急にも力を入れています。私たちの病院はこの地域の病院には少ない小児科を有する病院です。小児救急に特化している医師もおり、地域のお子さんをお持ちの皆さんにも安心してお越しいただける病院であると思います。

済生会滋賀県病院では、整形外科の手術を年間1300件ほど実施していますが、救急も含め、これは滋賀県の中で最も多い手術数です。整形外科には9名の医師がいますが、土日でも夜中であっても、整形外科の医師による手術が可能です。

脳卒中には、その病型や程度に応じて、様々な治療法があります。済生会滋賀県病院の脳卒中センターは、それらの治療をすべて24時間365日提供可能です。専門医が常時院内に備え、迅速に脳血管治療を含めて脳卒中診療を行える体制を確立しています。

お話したような救急医療とともに、私たちはがんの治療にも力を入れています。済生会滋賀県病院はがんセンターを有し、地域がん診療連携支援病院の指定を受けた病院でもあります。がんの治療には、主に放射線療法、化学療法、手術がありますが、済生会滋賀県病院ではこのすべてに対応しています。さらに、私たちはがんの局所療法に積極的に取り組んでいる点が大きな特色であるでしょう。

たとえば、私たちの病院には、腎がんの最新治療である凍結療法の機械があります。これはクライオサージェリーと呼ばれる治療を可能とし、がんを凍らせることで周囲の正常組織はそのままに、がん細胞のみ死滅させるものです。全身麻酔を必要とせず、治療を受けた翌日には帰宅できるような負担の少ない治療であるため、患者さんにとって非常にメリットが大きいでしょう。腎がんにおけるクライオサージェリーは保険も適用されており、多くの患者さんを救うことができる、可能性の大きな治療法であると思います。

ほかにも、がんの局所療法には、がん細胞を加熱して死滅させるラジオ波やレーザー光を用いた光線力学療法(PDT: photo dynamic therapy)など、様々な手法があります。このような治療法をうまく取り入れていきながら、常に患者さんによりよい医療を提供できるような取り組みを続けていきたいと考えています。

我々の病院のがんセンターでは、毎週、患者さんの症状や治療方針を共有するキャンサーボードを実施しています。そこでは、患者さん毎に、よりよい治療がないか議論します。がんの治療は、1つの診療科だけで取り組むには限界があると考えているからです。診療科や職種を横断し、常に意見を交換しながら病院全体で連携を実現しています。

写真提供:済生会滋賀県病院

私たちは市民のための総合病院としてすべての診療科に力を入れています。そのため、様々な診療科がそれぞれ患者さんの治療に尽力していますが、今回は乳腺外科の取り組みを例としてご紹介します。乳腺外科では、マンモチームを立ち上げ、女性医師による女性のための乳がん治療に取り組んでいます。乳がんは女性が羅患するがんの中で最も多いがんです。治療のみならず検診をきちんと行うことで早期発見につなげたいと考えています。さらに、将来的には乳房再建も実現したいと考え、最新のエコー機械も導入しています。そして、より一層、乳がんの検診や治療により救える患者さんを増やしていければと考えています。

「緩和医療」と聞くと、治療を諦めるようなイメージを持たれる方も少なくないのではないでしょうか。たとえば、治療ができないような進行がんの場合、手術でも切除できませんし、抗がん剤や放射線による治療も難しいことがほとんどです。しかし、そのように治療が難しい状況であっても、少しでも長く生きたいと願う患者さんは少なくないでしょう。

私は、先にお話したような局所療法によりがんの進行を抑えた上で、緩和療法を実施する高度緩和医療を実現したいと考えています。そして少しでもご家族と一緒に過ごせる時間を増やすことができれば、意義がある治療なのではないでしょうか。このような意味でも、今後は局所療法とともに緩和療法にも力を入れていきたいと考えています。

私たちは地域医療支援病院として、地域の医療機関や介護施設と連携を実現しています。たとえば、関連施設である特別養護老人ホームや介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどとチーム医療を実施する体制を整えています。

私たちの病院のスタッフには、疾患が進行し状態が悪くなったとしても、最後まで患者さんの面倒を見ようと話しています。行き場を失ってしまう「がん難民」や「治療難民」を生み出さない病院でありたいと思っています。

写真提供:済生会滋賀県病院

お話したようながんの凍結療法の機械のように、私たちは常に最新の医療機械を導入していきたいと考えています。それは、患者さんに常によい医療を提供したいからです。たとえば、手術支援ロボットであるダヴィンチも2017年7月に導入予定です。ほかにも、よい医療機械を積極的に導入していくことで、患者さんに貢献していきたいというのが私たちの想いです。

私は、現場の声を大切にしたいと思っています。スタッフである若手の医師や看護師にも積極的に意見を出してほしいと伝えています。それは、必ずしも院長の言うことがいつも正しいとは限らないからです。私は、患者さんのためになることであれば、積極的に現場の意見を取り入れます。そして病院スタッフ全員で切磋琢磨しながら良い医療をつくりあげていきたい、というのが私のこの病院の院長としての願いです。

お話してきたように、私たちは様々な取り組みを行っています。最新の医療機械や治療法を導入していることもあり、患者さんの中には敷居が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、私たちは健康上の心配がある方に、気軽に来院していただきたいと考えています。済生会滋賀県病院は、市民のための病院を目指しており、地域の皆さんとのつながりを何よりも大切にしています。どんな疾患であっても対応していく体制を整えておりますので、どなたでも気軽にご相談にいらしてください。

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  • 滋賀県済生会 常務理事、社会福祉法人恩賜財団済生会滋賀県病院 院長、京都府立医科大学 名誉教授・特任教授

    三木 恒治 先生

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