滋賀県栗東市に位置する済生会滋賀県病院は、滋賀県湖南地域で3次救急を担っている唯一の総合病院です。また、がんセンターを有し、がんの治療にも力を入れています。
“急性期医療”“がん治療”“医療・介護連携”“予防医療”の4つを柱として地域医療を支えている同院が地域で果たしている役割について、院長の三木 恒治先生にお話を伺いました。
当院は、1924年に開設した済生会本部直営の大津診療所に由来し、1952年に“社会福祉法人恩賜財団 済生会滋賀県病院”に改称して現在に至ります。その後、各センターの設置やドクターヘリの運航開始、手術支援ロボット“ダビンチ(da Vinci)”の導入など診療体制を充実させ、現在の許可病床数は393床、手術室は10室、人工透析室は29床です(2024年4月時点)。
当院は滋賀県湖南地域で3次救急(命の危険がある重篤な患者さんへの医療)を担っている唯一の医療機関で、救急車の応需(受入)率は99%以上です。救急車の搬送のみならず、ドクターヘリやドクターカーを備えていることも大きな特徴です。
運用しているドクターヘリはほぼ毎日稼働し、滋賀県から京都府南部、場合によっては福井県南部まで、当院から20分ほどで搬送可能なエリアをカバーしています。
経営方針の柱として掲げているのは、“急性期医療”“がん治療”“医療・介護連携”“予防医療”の4つです。
特に“医療・介護連携”では、当院で救急を中心に高度な医療を提供し、10日ほど入院したら回復期の医療に強みがあるグループ内の済生会守山病院で受け入れてもらうなど、互いの強みを生かした連携を図っています。
2026年のオープンを目指して、現在の建物の真横に4階建ての新しい外来専門棟を建設する計画を立てています。1階はロビーと患者支援センターで、ロビーは災害時に100床のベッドを並べられるよう広いスペースを確保し、災害拠点病院としての機能を拡充していきます。
2階は災害時には指令拠点にもなる市民ホールと外来化学療法センターにする予定です。外来化学療法センターによって、外来で通院しながら抗がん薬治療を受けやすくします。
3階は内視鏡センターになり、診療科をまたいで内視鏡診療ができるように集約します。現在はバリウムを使った検診が主流ですが、これからは内視鏡による検査が主流になると予想しており、今後に備えて体制を強化します。
また、4階は健診センターになる計画です。女性専用のスペースも確保し、乳がん検診をはじめとした婦人科の検診を1か所で完結できるようにする予定で、女性に優しい検診センターになるのではないでしょうか。
一方、現在の本館に空きスペースができるため、救命救急センターの機能を拡充させます。計画としては、センター内に手術室をつくり、救急で受け入れた患者さんを移動させずに緊急手術ができる体制にします。また、新棟オープンに合わせて3機目となるMRIを導入する予定で、医療設備もさらに充実すると期待しています。
当院は2024年の6月より、滋賀県で唯一となるDPC特定病院群の指定を受けます。
DPC特定病院群とは、“診療密度”“医師研修の実施”“高度な医療技術の実施”“重症患者に対する診療の実施”の観点から、大学病院本院に準じる機能を持っていることが認められた医療機関のことです。高度な医療サービスの提供と、重篤で難易度が高い症例における診療実績が豊富な医療機関の証でもあることから、患者さんが安心して受診いただける1つの目安になるはずです。
当院は質の高い医療を提供できる総合病院であり続けるため、そして滋賀県で唯一といわれる医療機関であるために、診療体制の強化と設備の充実を図ってきました。また、2024年からDPC特定病院群の指定を受け、提供している医療の質と実績が豊富であることが広く認められました。
地域の皆さんが安心して当院を受診できるよう、今後も“急性期医療”“がん治療”“医療・介護連携”予防医療”の4本の柱をさらに充実させ、地域の皆さんに質の高い医療を提供していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
滋賀県済生会 常務理事、社会福祉法人恩賜財団済生会滋賀県病院 院長、京都府立医科大学 名誉教授・特任教授
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