院長インタビュー

江戸川区唯一の総合病院・東京臨海病院の地域への貢献

江戸川区唯一の総合病院・東京臨海病院の地域への貢献
小林 滋 先生

日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院  病院長

小林 滋 先生

この記事の最終更新は2017年06月13日です。

東京都・江戸川区に位置する東京臨海病院は、江戸川区唯一の総合病院として、地域住民の方へ高い技術による医療サービスを提供してきました。なかでも、東京都がん診療連携協力病院の1つとして、がんの治療に特に力を入れています。さらに、近年では救急医療にも積極的に取り組んでいます。病院長である小林 滋先生は、地域の皆さんに信頼される病院を目指し、様々な活動に取り組んできました。今回は、東京臨海病院の病院長である小林 滋先生に、同病院の取り組みや地域の皆さんへの想いをお話しいただきました。

東京臨海病院は、主に江戸川区民の皆さんへ医療サービスを提供するため、2002年に江戸川区唯一で初めての総合病院として誕生しました。26の診療科を備え、最新の医療機器と高い技術力を有するスタッフにより、地域の皆さんへ医療サービスを提供しています。また、当院は、東京都がん診療連携協力病院に指定されており、がんの治療に力を入れていることに加え、近年では救急医療にも積極的に取り組んでいます。

写真提供:東京臨海病院

当院の病院のシンボルマークは、当院が誕生したばかりの頃にスタッフにより作られたものです。緑と青、オレンジの円は、それぞれ以下のように森林や海、太陽の光を意味しており、患者さんにとって安らぎの場になりたいという願いが込められています。さらに、中央にある黄色い輪は、患者さんを中心としたチーム医療を実現していくという当院の思いを表しています。

東京臨海病院のシンボルマーク(写真提供:東京臨海病院)

当院は、総合病院としてすべての科が高い技術と最新の医療機器を有し、診療にあたっています。その中でも、ここでは、がんの最新放射線治療であるIMRTと、心房細動(しんぼうさいどう)の最新治療であるクライオアブレーションをご紹介します。

お話ししたように、私たちは、東京都がん診療連携協力病院の1つです。そのため、がんの治療には特に力を入れており、常に最新の治療を取り入れています。たとえば、当院ではがんの最新の放射線治療であるIMRT(強度変調放射線治療)の機器を導入しています。このIMRTは、従来のがんの放射線治療と比べ非常に精密な放射線の照射を可能にしており、その結果、高い治療効果とともに副作用を抑えることに成功しています。今後はさらに、この治療により救えるがん患者さんを増やしていきたい、というのが我々の思いです。

また、2016年からはクライオアブレーションを本格的に実施しています。クライオアブレーションとは、脳梗塞を引き起こす心房細動(しんぼうさいどう)に対する最新の治療です。従来のアブレーション治療では、カテーテルを使用し、不整脈の原因となる心筋を焼灼(しょうしゃく)させる高周波カテーテル心筋焼灼術が一般的でした。クライオアブレーションでは、高周波による焼灼ではなく、風船(クライオバルーン)を使用し冷凍凝固壊死を心筋に作成することで治療をおこないます。このクライオアブレーションにより手術時間が大幅に短縮し、高い治療効果とともに患者さんの身体への負担が軽減しました。

このクライオアブレーションには高い技術が必要であるといわれており、現状では実施可能な病院は限られています。当院の循環器内科には、アブレーションを専門として昔から取り組んできた医師がおります。そのため、安心して治療を受けていただけるでしょう。

写真提供:東京臨海病院

東京臨海病院は、二次救急指定病院として、緊急の治療を要する方のなかでも、主に入院・手術を必要とする患者さんを積極的に受け入れています。救急外来は、救急科が担当し、休日・夜間は内科系・外科系・小児科・循環器系の当直医師が診療をおこなっています。

なかでも、特に小児救急の経験が豊富な医師がそろっていることは大きな特徴です。当院の小児科の医師は、全員NICU(Neonatal Intensive Care Unit:新生児特定集中治療室)を経験しています。NICUとは、特に緊急を要する重篤な状態のお子さんを診る場所です。その経験があるため、小児の急病にも対応できる体制が整っていると思います。

さらに、当院の大きな特徴は、よいスタッフがそろっていることです。これは、医師のみならず、看護師やコメディカルなども含め働くスタッフ全員に共通しています。皆、保有している技術や志が高い点が特徴でしょう。

写真提供:東京臨海病院

また、職種間の連携の垣根が非常に低い点も当院の特徴です。たとえば、がんの病院横断的なカンファレンスを定期的に開いており、そこには多職種が広く参加しています。ほかにも、外科の術前術後および病理カンファレンスにも看護師や放射線技師など多職種が参加し意見を交換しています。このように、多職種が常日頃から連携し意見を交換していることが、よりよい医療の提供につながっていると感じます。

近年、チームによる転倒ゼロキャンペーンを始めました。高齢化が進行していることもあり、院内で転倒する患者さんが増加しています。転倒は、寝たきりなど重篤な状態につながることがあります。そのため、いかに患者さんを転倒させないかということが非常に重要になります。私たちは、医師や看護師のみならずリハビリ技師などを含めた多職種によるチームを作り、転倒をいかに防ぐかについて意見を交換しています。このチームから生まれた意見を具体的な行動につなげ、徐々に効果が現れています。

少し話は逸れますが、私は「病院長ボックス」というものを病院内に設けています。これは、スタッフが誰でも意見を投書できる目安箱のようなものです。この病院のここを変えたいとか、こういう医療機器が欲しいとか、スタッフの意見を幅広く聞くようにしています。実際に、小児科外来近くのトイレに小児用の便座がないのはおかしい、という意見をもらい、小児用の便座を取りつけたことがあります。このように、スタッフの意見から病院が改善されることも多いのです。これからも、患者さんへより良い医療を提供するため、スタッフのどんな意見も真剣に聞き、必要であれば改善につなげていきたいと考えています。

写真提供:東京臨海病院

また、地域への貢献の一環として、当院では定期的に区民公開講座を開催しています。これは、地域の皆さんと一緒に健康な環境を作っていきたいという思いで始まった取り組みです。年に2回開催しており、1回はがん、もう1回はそれ以外の話題を取りあげています。すでに10回以上開催しており、地域住民の皆さんにご好評いただいています。

小林院長

私は、この東京臨海病院を「よい病院」にしたいと思っています。よい病院とは、地域の方が信頼してくれる病院のことです。地域住民の皆さんに「東京臨海病院に行けば必ず(体の不調が)よくなる」と思ってもらえるような病院になることを目指し、これまで医療サービスを提供してきました。今後もこの思いは変わりません。また、患者さんのみならず、地域のかかりつけ医の先生からも信頼して患者さんを紹介してもらえるような病院でありたいと願っています。今後もよい病院を目指し、スタッフ一丸となり、信頼を得るために地道な活動を続けていきます。

受診について相談する
  • 日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院  病院長

    小林 滋 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。