北海道北見市で地域の医療提供に尽力する北見赤十字病院は、開院から80年以上が経過しています。同院は、地域以外にオホーツク管内にお住まいの方々も来院されるそうです。広大な診療圏になる同院では、地域で医療を完結させることを目指して日々尽力されています。
同院は地域完結型医療を実現させるために、多くの取り組みを行っています。同院が行っている取り組みについて、日本赤十字社 北見赤十字病院院長の吉田茂夫先生にお話を伺いました。
当院は、1935年(昭和10)11月に日本赤十字社 北海道支部 野付牛療院として開院いたしました。その後、1938年1月に、現在の名称である北見赤十字病院と改称しました。2018年2月現在で、開院から80年以上が経過いたしました。開院から、北見市やオホーツク管内のみなさまへ安心安全な医療を提供するために尽力しています。
当院は赤十字社が創立した病院ですが、その創立時には北見市が支援してくださいました。北見市に支援していただいた背景があるため、当院は北見市の市立病院としての役割を担うべきだと考えています。
また、当院は北見市だけでなく近隣の市町村からも患者さんがいらっしゃいます。北見市のみなさまや、オホーツク管内のみなさまの診療や健康維持に貢献していきたいです。そのためには、当院の診療科を充実させ、患者さんに必要な医療の提供を行っていくことが重要になると考えています。当院は24の診療科があり、地域の医療ニーズに対応することができるように尽力しています。
当院では、それぞれの診療科のなかでも、がん治療や周産期医療に注力しています。また、当院の敷地内にある北海道立北見病院と連携を行うことで、より地域の医療ニーズに応えられるように連携を深めています。
当院の敷地内には、北海道立北見病院があります。北海道立北見病院の建物と当院の北館が連絡通路でつながっており、患者さんやスタッフの行き来がしやすいようになっています。
また、当院の3階と北海道立北見病院の3階はともに手術室があります。救急患者さんの受け入れや、北海道立北見病院にない診療科の患者さんがいらっしゃった場合に、連絡通路を使用してスムーズな医療の提供を行えていると考えています。
たとえば、当院で検査を行い、道立北見病院で手術などを行うことができます。医師同士も連携を取り、地域医療に貢献していきたいと思います。
当院は、周産期母子医療センターを設立し、地域の周産期医療に尽力しています。同センターでは、ほかの診療科や多職種と連携を取り、周産期医療や産科外来を行っています。また、同センターでは、お母さんに安心して出産や育児をしていただくために、いくつかの支援を行っています。
同センターの助産外来では、助産師が妊婦健診や、保健指導を行います。助産外来では、妊婦さんそれぞれに合ったマタニティライフを送っていただくためにさまざまな支援を実施しています。
妊婦体操や骨盤ケア、母乳ケア、分娩などについて助産師とお話ししていただき、出産前の運動や、産後のことについて相談も受けています。助産師とマタニティライフや、出産について一緒に考えていただき、出産に備えてほしいと思います。
母乳の会 たんぽぽは、毎月第2水曜日に開催しています。たんぽぽでは、主に生後1か月から1才未満の赤ちゃんとお母さんを対象としています。もちろん1才以上のお子さんとのご参加も歓迎しています。たんぽぽのなかでは、赤ちゃんのあそびやおもちゃのこと、離乳食のこと、予防接種のことなどをご相談していただいています。内容が毎回異なりますので、興味のある内容や、疑問に思っていることがありましたら、1度お問合せしてみてください。
当院は母体や胎児の状態に応じて、ドクターカーやドクターヘリを使用して道内のほかの病院に搬送しています。当院には、小児外科が標榜されておらず、緊急を要する場合には、医師がヘリや救急車に同乗します。搬送が完了するまで、できる限りの治療を行います。
当院は2005年に地域がん診療連携拠点病院に指定さました。がん診療連携拠点病院に指定されたことで、地域のみなさまやオホーツク管内のみなさまに標準的な治療や、東京や札幌などの都心部に向かわなくても当院で、がん医療を提供することができると考えています。
当院の創立に北見市が支援していただきました。地域やオホーツク管内のみなさまの治療を行っていくために、今後もがん診療に尽力していきたいと思います。
また、当院にはがん相談支援センターがあり、がんと診断された患者さんやご家族と相談し、メンタル面でも支えていけるように尽力しています。
当院のがん相談支援センターでは、がんの治療や、医療費、退院後の療養先の不安など、がんと告知された患者さんやご家族の相談支援を行っています。
不安なことや心配なことは多くあると思います。同センターを活用してがん治療を行っていっていただけたらと思います。
当院では、災害発生時に被災地へ救護班などを派遣しています。当院ではDMAT(災害医療派遣チーム)を2班編成しています。近年では、東日本大震災や熊本地震の被災地に派遣し、救護を行いました。
また、北見市は災害が少ないといわれていますが、冬には猛吹雪を観測することもあります。地域やオホーツク管内で発生した雪の事故や、災害に対応していくことは当院が行うべき責任だと考えています。そのために、院内では訓練を行い、迅速な治療の提供を行えるようにしています。
当院は、地域完結型の医療を行っていかなくてはならないと考えています。北見市は北海道内でも、札幌市などの都市部とも遠く、今後は患者さんが医療を受けるうえで困ることが増えてしまうかもしれません。地域のみなさまが、住み慣れた地域で治療を完結させることができるように、救命医療や高度医療の提供をしていかなくてはなりません。
当院は創立から北見市や、地域のみなさまに支えられてきました。今後も医療の提供という形で北見市やオホーツク管内のみなさまの健康維持に尽力して参ります。
また、都市部の病院と遜色ない医療の提供のために、若手医師の育成や、医師の働き方を調整しています。働き方改革の一環として、メディカルクラークを導入いたしました。メディカルクラークを導入したことで、医師が診療に専念できる環境が整い始めています。医師が診療に専念することで、地域のみなさまによりよい医療を提供していければよいと考えています。
当院で働くスタッフたちにはワークライフバランスを充実させて、日々の業務にあたってほしいと思います。また、病児保育を行っていますので、当院の女性スタッフが活用し、産休後のキャリア形成にも役立ててほしいと考えています。
北見赤十字病院 病院長、日本赤十字 医療本部経営委員会委員
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。