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真に社会的意義のある心臓リハビリテーションとは~社会復帰のみならず社会貢献の心を育む手厚いサポート

真に社会的意義のある心臓リハビリテーションとは~社会復帰のみならず社会貢献の心を育む手厚いサポート
沼田 裕一 先生

横須賀市立うわまち病院 病院管理者、公益社団法人 地域医療振興協会 副理事長

沼田 裕一 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年09月11日です。

横須賀市立うわまち病院では、患者さんに寄り添い、精力的に心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)を行っています。

今回は、先日開催された「スポーツ心臓リハビリテーションゴルフ」のレポートと共に、横須賀市立うわまち病院の沼田裕一先生の心臓リハビリの取り組みについてお伝えします。

横須賀市立うわまち病院 循環器内科では、開設当初より、包括的心臓リハビリに力を入れています。包括的心臓リハビリとは、多職種の専門家で連携し、心臓病の患者さんのリハビリを包括的にサポートすることです。

たとえば、薬剤師は、薬の効果や副作用を説明し、服薬に対する疑問にも答えます。看護師は、心不全の予防において、自分で血圧や体重を日常的に測定し記録することで自身の変化を把握することが極めて重要であることや、測定を習慣化するための工夫なども併せて指導する一方で、心臓病を持つ患者さんの悩みを親身に聞いたりもしています。栄養士は、モデルカフェテリアを通じて、心不全を防ぐ美味しい食事の作り方や食べ方を具体的に説明します。メディカルソーシャルワーカーは、福祉や介護の支援を行い、ときには職業を失った患者さんの力になれるよう手助けをします。

さらに、当院では、教室でよりよい運動指導を行うため、心臓リハビリ指導の専門性を高めるための講習会受講や資格取得などを理学療法士にすすめています。

私は、包括的心臓リハビリ教室を主催しています。当教室では、心臓病に罹患した患者さんやそのご家族に、リハビリや運動療法の必要性を説明しています。医学的な運動処方(種類・強さ・時間)だけでなく、上手にリハビリを続けるコツもお伝えし、心臓リハビリを身近に思ってもらえるように工夫しています。

一般的に心臓リハビリは、心筋梗塞や心臓病の術後など、心臓病を患った方の再発予防や生命予後の改善、心不全の予防、そして生活の質の向上などを目的として行われます。

私たちが考える心臓リハビリでは、これらの目的に加え、患者さんが運動やスポーツを楽しむための機会提供も大切であるという強い気持ちをもって取り組んでいます。そのため、当院では、心臓リハビリの一環として「スポーツ心臓リハビリテーションゴルフ大会」を開催しています。

第六回心臓リハビリテーションゴルフ大会

2018年5月27日に、横須賀市立うわまち病院における包括的心臓リハビリの一環として「第6回スポーツ心臓リハビリテーションゴルフ大会」を開催しました。

当日早朝から、患者さん4名と当院の医師・スタッフ・医師会員17名が、葉山国際カンツリー倶楽部のご厚意で設置された受付とパーティールームに続々と集まりました。そして、プレー前のメディカルチェックでは、問診、血圧・脈拍・体重の測定を行いました。

メディカルチェック

開会の挨拶に続き、プレー上の注意やルールの説明を行い、運動指導士の指導によるストレッチでウォームアップをしました。

ストレッチ

記念撮影を行い、ダイアモンドコースのインコースから順次4組がスタートしました。前半が終了し、クラブハウスで再度メディカルチェックをした後は、ゴルフ談義に花を咲かせた昼食も早々に、後半のラウンドへ向かいました。ホールアウト後は、成績発表です。その後、参加者の懇談を行い、一人の事故者もなく無事に終了しました。

成績発表

ドクターカー

患者さんが安心してゴルフを楽しめるように、万が一の事態に備え、クラブハウス近くにドクターカーを待機させています。また、カートには医師や看護師が控えており、薬やAEDも完備しています。

今回の「第6回スポーツ心臓リハビリテーションゴルフ大会」の参加者のうち、心臓リハビリメンバーは4名と少数でした。そのうち3名は心臓リハビリゴルフ経験者で、1名はゴルフの経験はあるものの、つい最近手術を終えたばかりの患者さんでした。

この患者さんは、「カートには医師や看護師がいて、具合が優れないようなことがあったら、待機しているドクターカーで救命救急センターに連れて行ってくれる。手術直後とはいえ、この機会を逃す手はない」と思い立ち、手術の前々日に参加を決めたとのことでした。

横須賀市立うわまち病院では、手術後間もない方でも参加できるような体制を整えています。

ゴルフ

とある心臓病治療で有名な病院でも、心臓病の患者さんがゴルフを楽しむ企画が行われていました。そこでのルールは、「心臓発作を避けるために1メートル以内のパットはOK」というものでした。当院では、このルールは採用しませんでした。それでは楽しくないだろうと考えただけではなく、1メートル以内であれば本当に心臓発作の心配はないといえるのだろうかと疑問を抱いたからです。

そこで、実際に心電図記録装置を患者さんや参加者に装着してもらい、パッティング時やティーインググラウンドでの心拍数やその他の心電図指標を調べました。その結果、特別な異常は認められませんでした。このように、患者さんが安心してゴルフを楽しめるよう、生じた疑問はそのままにせず、適切に確認をするようにしています。

葉山国際カンツリー倶楽部でのスポーツ心臓リハビリゴルフ大会の開催は、地域の医師会員の協力によって成り立っています。歴史こそ浅いものの、延べ参加者数は128名となり、そのうちの22名を地域の医師会員が占めています。先述の通り、患者さんが安心してゴルフを楽しむための環境を用意するには、一定数の医師の参加が重要です。今後も地域の医師会員の皆さまにご協力をいただき、当ゴルフ大会を継続的に開催していきたいと思っています。

私の専門は冠動脈の血管内治療ですが、25年以上前から心臓リハビリにも精力的に取り組んできました。1999年の秋、前任地の熊本で最初にスポーツ心臓リハビリゴルフ大会を開催しました。2003年から横須賀で始めた包括的心臓リハビリは、入院心臓リハビリから始まり、外来心臓リハビリ、そして昨今は年12回の講義を行う心臓リハビリ教室、年2回の心臓リハビリハイキングを開催しています。2015年からはスポーツ心臓リハビリゴルフ、2016年には患者会となる「心臓病と闘う会」を作り、心臓リハビリの普及に努めてきました。

Rehabilitationは、社会復帰、名誉回復、復権などと訳されます。私たちのRehabilitationの最終目標は、患者さんが無事社会に復帰し、名誉を回復して、復権を果たすことです。

私の考える心臓リハビリの大きな役割とは、つらい心臓病を克服した経験を、患者さんご自身のためだけではなく、同じ病気の方々のためにも役立てたいと思える心を作ることです。世のため、人のためという気持ちに達することこそ本当のリハビリテーションであり、真に社会的意義のあることだと考えています。この目標に近づくために、今後も変わらず患者さんへ手厚いサポートを行っていきたいと考えています。

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