【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 a7d561dc dfdd 4c3c 877e 66d688754fab
浜松医療センター(静岡県)における自己心膜を用いた大動脈弁再建術
静岡県浜松市にある浜松医療センターでは、自己心膜を用いた大動脈弁再建術を行っており、静岡県内で当手術を成人に対して提供できる病院として、大動脈弁膜症患者さんと日々向き合っています。当病院で積極的...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

浜松医療センター(静岡県)における自己心膜を用いた大動脈弁再建術

公開日 2018 年 11 月 30 日 | 更新日 2019 年 06 月 13 日

浜松医療センター(静岡県)における自己心膜を用いた大動脈弁再建術
田中 敬三 先生

浜松医療センター 心臓血管外科部長

田中 敬三 先生

目次

静岡県浜松市にある浜松医療センターでは、自己心膜を用いた大動脈弁再建術を行っており、静岡県内で当手術を成人に対して提供できる病院として、大動脈弁膜症患者さんと日々向き合っています。

当病院で積極的に自己心膜を用いた大動脈弁再建術を実施している田中敬三先生は、この手術の開発者のもとで技術習得のためのトレーニングを積み上げてこられました。

今回は浜松医療センター心臓血管外科部長である田中敬三先生に、この手術を始めるに至った経緯や浜松医療センターにおける大動脈再建術についてお話を伺います。

自己心膜を用いた大動脈弁再建術の詳しい方法やメリットについては、記事2『自己心膜を用いて大動脈弁膜症を治す「大動脈弁再建術」とは?そのメリットについて』をご覧ください。

自己心膜を用いた大動脈弁再建術を始めたきっかけ

人工弁の使用による抗凝固薬の服用を防ぎたい

現在、大動脈弁狭窄症大動脈弁閉鎖不全症に対する治療として「人工弁による弁置換術」が多くの病院で一般的に行われています。

この手術では、機械弁(金属でできた人工弁)または生体弁(ウシやブタの組織で作った人工弁)を使用しますが、機械弁では生涯、生体弁でも数か月間は抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)の服用を継続しなくてはいけません。しかし、抗凝固薬は服用方法を誤ると合併症が起こる危険性があります。また、ビタミンKの摂取によって効き目が悪くなってしまうため食事に制限が出てしまうなど、服用によるいくつかの弊害が存在します。

私自身も、これまでの診療の中で抗凝固薬による合併症を起こす患者さんをみてきて、「抗凝固薬の必要がない治療法があればいいのに」と感じていました。

開発者である尾崎重之教授からの指導

そのようなとき、抗凝固薬の服用の必要がない「自己心膜を用いた大動脈弁再建術」が開発されました。開発者は東邦大学医療センター大橋病院の尾崎重之先生です。

開発を知った私は、「大動脈弁膜症の患者さんにこの手術を提供したい」と強く思い、手術の技術を身に付けるために、尾崎先生のもとを訪れました。

その後、私は尾崎先生のいる東邦大学医療センター大橋病院に通い、直接尾崎先生の手術を見学し、技術を習得するためのトレーニングを積み重ねました。当院で実際に自己心膜を用いた大動脈弁再建術を行う際には、尾崎先生にお越しいただき、直接に指導をしていただきました。

浜松医療センターにおける自己心膜を用いた大動脈弁再建術

当院では2012年、静岡県内で初めて自己心膜を用いた大動脈弁再建術に成功しました。

さまざまなケースの患者さんに対して手術を行う中で、手術方法に悩むような難易度の高い症例もあります。そのようなときには、尾崎先生をはじめとした経験豊富な先生方から手術の方法についてアドバイスをいただいたり、場合によっては当院にお越しいただき手術に参加していただいたりしています。

また、全国の先生方と定期的にお会いして、手術症例について情報交換を行っています。手術手技については、開発から約10年間の間で少しずつ改良されてきていますが、そのような交流を通じて、「どのような理由で、どのような点が改良されたのか」を細かく把握しています。現在も日々トレーニングを積み重ねて、手術の質の向上に努めています。

自己心膜を用いた大動脈弁再建術における今後の展望

田中敬三先生

自己心膜を用いた大動脈弁再建術には、抗凝固薬を服用する必要がなかったり、心臓への負荷がかかりにくかったりなど、さまざまなメリットがあります。しかしながら、2007年に開発されたばかりの治療法のため、現段階では術後10年までの成績しか出ておらず、それ以上の長期成績が出ていないという課題が残されています。

そのため、今後はさらに症例を積み重ねていくことで臨床データを蓄積していくことが、私たちがやるべきことだと考えています。そして、将来的に大動脈弁膜症の多くの患者さんが、自己心膜を用いた大動脈弁再建術の恩恵を受けることができることを望んでいます。

 

1996年三重大学医学部卒業。大学時代の生理学実習で、動く心臓に触れたことをきっかけに、心臓という臓器に強い興味を抱き、心臓血管外科の道へ進む。これまで、心臓血管外科だけでなく呼吸器外科領域におけるトレーニングも積み上げてきた。成人心臓大血管全般を専門とし、「外科医は結果がすべて」をモットーに日々の診療に従事している。