地域との連携を大切にする―大津赤十字志賀病院の取り組みと今後の展望

大津赤十字志賀病院は、地域の方々との地域連携や医療施設との医療連携を大切にしている病院です。同院には、同じ日本赤十字社のグループ病院である大津赤十字病院との緊密な連携や、地域にある医療機関のバックアップを行う病院として機能しているという強みがあります。

大津赤十字志賀病院の今までの取り組みや今後の展望について、病院長である岡本元純先生にお話しを伺いました。

大津赤十字志賀病院の沿革と概要

当院は、滋賀県の大津市に位置している日本赤十字社のグループ病院の一つです。当院では、「私たちは人道・博愛の赤十字精神にのっとり、患者さんの人権と意志を尊重して、最善の医療を提供し、地域の人々の健康増進に務めます」の理念のもと、医療連携を大切にしながら患者さんに寄り添った医療を提供してきました。

当院は、2002年に国立療養所比良病院から日本赤十字社が引き受ける形で、現在の滋賀県大津市に開院しました。引き継ぐ以前の国立療養所比良病院は、1985年に国立病院・療養所の再編計画により廃止対象になりました。しかし、地域の方々から多くの署名が集まったことから、大津赤十字志賀病院として開院される運びとなりました。現在でも医療連携を大切にしながら、地域の方々に医療で安心を提供しています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

大津赤十字志賀病院の特徴

日本赤十字社グループだからこそ実現する連携

大津市には、当院と同じ日本赤十字社のグループに属する大津赤十字病院も存在しています。当院では、高度救命救急医療を必要とする患者さんに、大津赤十字病院への橋渡しも行っています。同じグループに属する病院が同市内にあることで、医療連携を緊密に行うことが可能です。当院では地域連携に重点を置き地域に密着した医療を提供しています。

診療科としての取り組み

当院の内科には専門性に特化した医師が在籍しており、糖尿病や高血圧、内分泌疾患などのさまざまな病気に対応しています。当院は、日本糖尿病学会認定教育施設Ⅰに認定されていることもあり、糖尿病診療に力を入れています。また、日本糖尿病学会研修指導医も在籍しているため、近年増えている糖尿病の診療についても若手医師が学ぶことのできる施設になっています。

大津赤十字志賀病院の展望

当院では、内科の外来診療で呼吸器疾患の診療も行っています。これからも、地域の皆さんに対して、常によりよい医療を提供するために、呼吸器内科の医師の採用を行っていきたいと考えています。

さらに、当院には幅広い知識を持っている医師も在籍しているため、総合的に診療を行うことのできる診療科の設立も検討しています。また、地域医療に関心を持っている医師も在籍していることから、地域性も考慮した訪問看護や訪問リハビリの分野にも医療領域を広げていきたいです。

大津赤十字志賀病院の目指す理想像

当院が理想とする病院像は、地域にある医療機関の後ろ盾の病院としてバックアップを行うことのできる病院です。そして、重症度の高い患者さんを大津赤十字病院へスムーズに搬送できる病院であることを理想としていきます。理想的なあり方を実現するためには、今まで以上に積極的に地域の医療機関との連携を緊密にしていく必要があると思います。地域連携に力を入れている当院と、高度救命救急センターを保有する大津赤十字病院のどちらの病院も利用することができる医療環境を整えていきたいです。さらに、患者さんだけでなく、地域の医療機関の先生方にも安心していただける医療環境作りを理想として取り組んでいきます。

岡本元純先生からのメッセージ

地域の皆さんへ

当院では以前より、緊密に地域の医療機関と連携をとり、地域の方々や患者さんに寄り添った医療を提供してきました。これからも、その姿勢を大切にし、今まで以上に患者さんによりよい医療を提供できるように努めてまいります。

若手の医師の皆さんへ

最終的な目標が専門的な分野に特化していることであっても、若い時にはできるだけ多くの病気を積極的に診てほしいです。多くの症例を診ることは、多くの視点を身につけられるだけでなく、医師自体の価値も上がるからです。

もちろん、若いうちから専門性に特化して学ぶメリットもあります。しかし、多くの症例を診て総合的に学ぶことは、若いときしかできないことだと思います。そのため、視野を広げるためにも多くの病気と向き合い、多くのことを吸収してほしいです。

地域の連携している病院・診療所の皆さんへ

当院は、これからも地域の方々や患者さんに寄り添った医療を提供し続けていきたいと考えています。そのためにまずは、地域にある医療機関の先生方に今まで以上に信頼していただける病院を目指していきます。